フィリピン被災女性・妊産婦支援緊急募金へのご協力をお願いします
2013.11.15
- お知らせ
最新情報 第7号(2014年1月26日)
現地の情報 第6号(2013年12月27日)
11月8日(金)、観測史上最大級の台風30号(ハイエン)による被害は、フィリピン国内の広大な地域に甚大な被害をもたらしました。被災者数1410万人、死者6109人、行方不明1779人、負傷者2万6233人、家屋倒壊120万戸、国内避難民は413万人、381カ所の避難センターと仮設シェルターに退避した住民10万1527人、親戚や友人の家に宿泊している退避者399万3753人(OCHA:United Nations Office for the Coordination of Humanitarian Affairs 国連人道問題調整事務所、2013年12月24日現在)。
倒壊家屋112万7041棟のうち、57万8248棟は全壊です。そのため30万戸分の建築資材の提供と50万戸の修理を進めています。
住民の多くは倒れたココナツの木を利用して自力で家を建てています。被災自治体は被災者用仮設住宅を建てていますが住宅の質が課題となっています。家屋の屋根に使う質の良いトタンが不足しています。仮設住宅に入っている住民の中では、人身売買の防止策がとられています。
被災地の1204の公立病院や保健所の内、870施設が全壊または一部倒壊し、多くの医薬品や医療備品が消失しました。この緊急事態に対応するには、被災者の命と健康を守る活動が最優先です。
被災地では、被災者への保健医療ケアがいまだに圧倒的に不足しています。
被災地はレイテ島、サマール島、セブ島、ネグロス島、パナイ島など複数の島々にわたり、地理的に非常に大きく広がっています。現在、レイテ島、サマール島、パナイ島の沖合の小さな島々への支援が届いていません。レイテ島のタクロバン市と比較して、レイテ西部地域への支援強化が必要です。
このような状況で、ジョイセフはフィリピン家族計画協会(FPOP: Family Planning Organization of the Philippines、IPPF加盟)の緊急救援活動方針を共有し支援しています。FPOPは全国に29支部を有し、被災地6カ所に緊急オペレーションセンターを設立し、支援が最も届きにくい被災地の女性、妊産婦、新生児を対象に支援を行っています。FPOPは、ミニマム・イニシャル・サービス・パッケージ(MISP:リプロダクティブヘルス必須アイテム)を購入し、被災した6万人以上の妊産婦と授乳中の女性に配付しています。このMISPは妊産婦と授乳中の女性に優先的に提供され、緊急時の新生児と妊産婦の死亡と病気を予防することができます。被災地では、女性への暴力、HIV・性感染症の予防にも十分な注意が必要です。
FPOPはリプロダクティブヘルス医療チーム(RHMM: Reproductive Health Medical Mssion)派遣活動を一層強化し、今後6カ月間で200以上のRHMMを被災地に派遣する計画です。FPOP医療チームは、国内外の医療チームとも連携し活動を行っています。これらの連携活動によりカピス州、イロイロ州、レイテ州、東サマール州のリプロダクティブヘルス医療チームは、2120人の妊産婦に対して産前産後の健康診断と家族計画サービスを提供しました。レイテ州では、今後3カ月間で1300件の出産に伴う合併症に対応する必要があります。
被災自治体では181医療チーム(国内116チーム、海外65チーム)から、240医療チームに増えました。その後、55海外医療チームに減り、その内6海外チームが被災者に対して外科手術ができます。
現在、25医療ユニットでは結核の診断と治療をする医師が不足しています。
来年1月下旬から2月にかけて被災地には雨期が到来するため、被災者の健康を守り、また支援物資等にも被害が及ばないようする緊急対応策が必要です。
被災地には360万人の妊娠可能年齢の女性と少女がいます。その内、26万人の女性がが妊娠中で、17万3千人が授乳中です。毎月、4300件の出産と妊娠について合併症が起きると危惧されています。
被災地の1万2千人の子どもたち(6カ月~59カ月)が急性重度栄養障害と推計されています。今後6カ月間で、10万500人の新生児・乳幼児(ゼロ歳~23カ月)と妊婦に対して栄養改善を行う計画です。
優先度が高い栄養指導活動は、以下の3つです。
- 被災地の25万人の妊婦と介護士に対して栄養指導を行い、乳幼児の栄養障害を防止する。
- 被災地の14万5千人の子どもに対して、補助的な食事を提供し栄養障害を防止する。
- 被災地の2万7千人の急性重度栄養障害の子どもに対して治療を行う。
被災地では下痢症の報告が増えています。レイテとオルモク地域では、ロタウイルス下痢症(白色便性下痢症)が発生しました。ロタウイルスは感染力が強く、乳幼児が感染すると激しい嘔吐と下痢を起こし脱水症状になります。重篤な新生児や乳児は死亡するケースが多くあります。口から感染を起こすことも多く、感染予防には手洗いが重要です。医療従事者は、患者の嘔吐物や糞便を処理する時のみでなく、患者の処置や診察時に接触感染予防策を講じる必要があります。
蚊が媒介するデング熱とドブネズミなどが媒介するレプトスピラ症の感染症が報告されました。避難センターや仮設シェルターには蚊帳がないため、デング熱の大発生が危惧されています。
レプトスピラ症はイヌ、ネコ、豚、牛など保菌動物の尿で汚染された水や土壌から人間が感染しますので、その対策が必要です。
感染症の防止には、被災地の住民の適切な糞便処理が不可欠です。被災した1491自治体の内、177自治体にいる国内避難民が利用する公衆トイレが慢性的に不足しています。東ビサヤス州の43カ所の避難センターには公衆トイレがありません。公衆トイレがあっても20人以上がひとつのトイレを使う比率です。また、163カ所の野営キャンプには、男女を区別した沐浴の施設がありません。
レイテ島では、24件の破傷風が疑われる症状が発生しました。被災地では、住民の生活環境の悪化により、高血圧、ぜんそく等の非感染症の症状も増えています。
これまでの報告についてはこちらをご覧ください。
緊急募金は以下の目的に使われます。
- 必須医薬品の購入と配付。
- 簡易分娩キットを購入し、地域の助産師に配り安全な出産を支援。
- 妊婦用必需品セットを購入し、出産の多い地域で配付し妊産婦を支援。
上記支援により、FPOP が派遣する緊急医療チーム、人道支援チーム、ボランティアによる以下の活動が効果的に行われます。
- 被災地の妊婦及び授乳中の女性に地域的な偏りや漏れがなく確実に妊産婦ケアが届くように登録を行う。
- 被災地における出産可能施設を確保し、妊婦に情報を提供し安全な出産に備える。
- 被災地の女性への性的被害や暴力を防ぐ。
FPOPは被害が大きかった地域を重点的に支援する人道支援チームを結成し、ルソン島、ミンダナオ島、マニラ本部からもスタッフと各地からのボランティアを動員しています。
FPOPが設けている緊急支援オペレーションセンター所在地は以下の通りです。
ジョイセフは地域にネットワークを有する現地で実績のあるNGO・FPOPと連携することで、寄附金を効果的な支援につなげます。
皆さまの温かいご支援とご協力をお願いいたします。