ブックタイトル開かれ活力ある日本を創る

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概要

開かれ活力ある日本を創る

も高齢人口は増加を続け、2042年に3878万人でピークを迎えた後に減少に転じると予測されている。また後期高齢者である75歳以上の人口は2012年現在1519万人であるが、「団塊の世代」が75歳以上となる2025年には2179万人に急増すると見込まれており、医療・介護の分野では「2025年問題」などと呼ばれている。総人口が減少するなかで高齢者が増加する結果、高齢化率(65歳以上の人口の割合)は上昇を続け、2013年には25.1%(国民の4人に1人)であったが、2035年に33.4%(国民の3人に1人)となると予測される。2042年以降は高齢者人口が減少に転じても高齢化率は上昇を続け、2060年には39.9%に達し、国民の約2.5人に1人が65歳以上の高齢者となる社会が到来すると見込まれている。総人口に占める75歳以上の人口の割合も上昇を続け、いわゆる「団塊ジュニア」(1971年~1974年に生まれた人)が75歳以上となった後の2060年には26.9%となり、国民の4人に1人以上が75歳以上の高齢者となる見通しである。超高齢化の進展による社会保障制度の危機が懸念されている。年金制度の持続可能性への不安、医療需要・要介護者の急増、施設やサービスの不足、介護人材の不足などへの対応は急務である。とりわけ後期高齢者人口への取り組みを集中的に議論することが求められている。日本は世界の中で最も高齢化率の高い国であり、それゆえに日本の高齢社会での政策や施策が後続の高齢化社会を迎えつつある途上国、とりわけ東南アジア諸国を含めた国々から注目されている。その際、一つのモデルとなる高齢者像は、「アクティブ・エイジング」(生活の質を低下させることなく社会参加を続けながら年を重ねていくこと)である。日本は世界の高齢社会の「さきがけ」であると同時に、いまだ他の国々が経験したことのない大きな課題を抱えた国である。多岐にわたる課題に果敢に取り組み、高齢社会のモデルとなるような政策を打ち出すことによって、高齢者がさらに活躍する社会づくりへと挑戦することが期待される。◆高齢者の働く場所や機会を広げる社会に貢献する高齢者像を構築し、体力や健康状況に合わせて、できる限り高齢者が働ける場所や機会をつくることを求める。まず、65歳以上の就業のあり方について、関係部門の英知を出し合うことが不可欠である。また、退職以前の企業等での経験を踏まえ、小回りのきく会社やNPOを起業することなどが考えられる。高齢者が経済活動に参画するのは、単なる経済活動への貢献にとどまらず、健康寿命を増進し「生きがい」を促進することにもつながる。それは若者の雇用を圧迫する14