ブックタイトル開かれ活力ある日本を創る
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開かれ活力ある日本を創る
を短期労働力として想定するにしても、受け入れるための綿密な態勢づくりが必要である。その際、外国人労働者の待遇、日本社会との共生もしっかりと検討すべきなのは当然である。いまだ国会においても、メディアや市民社会においても、十分な議論がされているとはとても言えない。しかし、単純労働は「ノー」で頭脳労働は「イエス」という二分法ではなく、日本の労働市場で長期的に不足すると見込まれる労働力、たとえば介護人材等の受け入れは、丁寧に前向きに受け入れ態勢を構築していかなければならない。しかし介護福祉人材を確保するための現行の障壁は依然として大きい。ケアをする立場の人的資源を、単に「言葉の障壁」があるという理由だけで断つべきではない。日本企業の国際化に並行して、グローバル人材の必要性もさらに高まってくるのはあまりにも明白である。まずは日本の大学や大学院を卒業・修了したすぐれた外国人留学生の積極的な雇用を考慮に入れた施策や奨励策が切に望まれる。この国に相応しい移民政策を持つことによって、計画的・戦略的な移民の受け入れが可能となる。さらには、分野別(建設分野、介護分野、サービス・小売業、農林水産業等)の明確な指針づくりについて、外国人技能実習制度の見直しも含めて、業界・民間とも連携協力した国民的な議論が求められる。日本では、いまだに外国人労働者・移民の受け入れに関し、政治的にも社会・文化的にも、消極的な面があることは事実である。しかし一方で、国際社会では優秀な外国人材の獲得競争がすでに始まっているのも否定できない事実である。優秀な人材は受け入れ態勢が外国人にとってより有利な国に集まることはあまりに明白であろう。◆日本再興戦略に向けて政府が2014年6月に改訂した「日本再興戦略-未来への挑戦」は、「女性・若者・高齢者の活躍の推進」と合わせて「外国人材の活用」を掲げている。そして、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年に向けて経済を本格的な成長軌道に回復させる一方で、「一時的な好景気を目標とするのではなく、多様な文化を受け入れて国際社会に溶け込むとともに、経済社会構造の抜本的な改革に取り組む」とまで踏み込んでいる。これは歓迎すべきである。しかし、この戦略のなかで、外国人材の活用の柱として言及されているのが、外国人技能実習制度なのは驚かされる。技能実習制度を「抜本的に見直す」としているが、戦略が掲げる「多様な文化を国際社会に溶け込ませる」のであるならば、外国人の定住化を前提とした19