性交渉を経験した女性の5割から8割は、
子宮頸がんのおもな原因とされる
「ヒトパピローマウィルス」に感染する。
子宮頸がんは、HPV(ヒトパピローマウイルス)が引き起こす、女性特有のがんです。性交渉を経験した女性の5割から8割がHPVに感染するとされ、そのうちの9割は自然消滅しますが、ウイルスが居座り続けると細胞が異常な形に変化した「子宮頸部異形成」になり、やがて「前がん病変」を経てがんに移行していきます。
「子宮頸部」と呼ばれる子宮の入り口付近に発生することが多い子宮頸がんは、婦人科検診で比較的発見しやすく、早期であれば子宮を温存して治療することもできます。しかし進行すると、子宮のみならず卵巣や周囲のリンパも含めた広範囲の摘出が必要になり、他の臓器などに転移すると5年生存率も22.5%(*1)と低くなるため、早期発見がきわめて重要です。
日本では、1年間に約1万人が子宮頸がんに罹患しています。年を追うごとに亡くなるケースが増えており、2019年は2921人が命を落としました。
また、性行為の低年齢化とともに、若年層の罹患率が高くなっているのも深刻な問題です。若い女性が子宮を失えば、妊娠・出産ができなくなってしまいます。
HPV感染が引き起こすのは子宮頸がんだけではありません。中咽頭がん、肛門がん、陰茎がんなど、さまざまながんの原因となっています。性交の経験があれば誰でも感染する可能性があるため、HPVワクチン接種は女性だけでなく、男性も対象となります。
参考:※1 https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/17_cervix_uteri.html