日本政府の働きかけ、国際社会を動かしたか ~資金動員の面で課題残る、MDGsフォローアップ会合閉会~

2011.6.3

  • お知らせ

途上国の女性と妊産婦を支援する国際協力NGOジョイセフ(東京都新宿区、会長:明石康)は、6月2日(木)、3日(金)に開催されたMDGs(ミレニアム開発目標)フォローアップ会合に関し、下記のような声明を発表します。
MDGsフォローアップ会合は、2010年9月国連で開催されたMDGs国連首脳会合をフォローアップするとした菅首相のコミットメントの下、閣僚級会合として日本政府が主導となり開催しました。

(C)Miki Tokairin / JOICFP

最終日に発表された議長ステートメントでは、母子保健への取り組みの遅れを認識し、家族計画などのリプロダクティブ・ヘルス*サービスや栄養改善など包括的なパッケージで妊産婦死亡、乳幼児死亡を予防すること、またサービスへのアクセスを拡充する必要性を指摘するなど、妊産婦保健を改善していくために重要な項目が含まれました。さらに、会合では、妊産婦死亡を減らすために、対策から抜け落ちてしまうことの多い、少女や若い女性のニーズに応えることの重要性、危険な中絶による妊産婦死亡を減らす必要性など、MDGsの中で最も進捗が遅れているMDG5(妊産婦の健康の改善)達成に不可欠な取り組みが強調されました。
会合に出席した石井澄江(GII/IDIに関する外務省/NGO懇談会事務局長、(財)ジョイセフ常任理事・事務局長)は、今回の会合を評価するとともに、以下のように、日本政府の更なる取り組みを求めています。

東日本大震災後にも関わらず、日本政府の主導の下、MDGs達成のため世界がむかうべき道筋を示す会合を開催した点は評価できる。

しかしながら、MDGs達成に向けた取り組みで、市民社会の果たす役割が不可欠であることは再度強調されたが、実施面での議論には至らず、今後の課題は残されたものとなった。

また、「持続可能な形でMDGsを達成するためには、格差を是正し、弱い立場におかれた人々に配慮した「優しい社会」を作ることが必要」との日本政府の認識が示されたが、だからこそ、日本政府はMDGs達成のために必要なODAを減らすべきでない。

今回の会合では、成果を重視した具体的取り組みが強調されましたが、数値的な成果を重視するあまり、その裏に、人がいることを忘れるようなことがないように、今後もジョイセフは日本政府の確固たる取り組みを求めていきます。

*リプロダクティブ・ヘルス

妊娠・出産のシステムおよびその機能とプロセスにかかわるすべての事象において、単に病気がないあるいは病的状態にないということではなく、身体的、精神的、社会的に良好な状態(well-being)にあること。(WHO)

本件に関するお問合せ先

ジョイセフ アドボカシーグループ 矢口真琴、塩田恭子
Tel:03-3268-5875
E-mail: advocacy@joicfp.or.jp