男が変われば、妊産婦の命が救える!?

2012.1.11

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  • ジョイセフコラム

私の開発途上国での経験も踏まえて、今回は「男が変われば、妊産婦が救える!?」を考えてみたいと思います。
妊産婦が命を落とす「3つの遅れ」:
途上国で妊産婦の命を救うには「3つの遅れ」を防ぐことが重要であると言われて久しいと思います。それらは、以下のとおりです。

1.決断の遅れ

健康に関する情報や知識を得られない、または女性の社会的地位が低く決定権がないために、体調が悪くなっても、家族の誰も病院や診療所に行くかどうかの決断ができないまま、手遅れとなってしまうことがあります。

2.搬送・アクセスの遅れ

病院や診療所までの距離が遠く、徒歩ではたどり着けない、代わりの交通手段もないという地域がたくさんあります。仮に交通機関があっても、料金を払えないこともあります。

3.治療の遅れ

病院や診療所に着いても、適切な治療が受けられないことがあります。手術や輸血が必要でも、必要な機材や医薬品が不足していたり、専門の医師がその場にいないこともあります。
1と2に関して、男性の関与が大きいことは、容易にお分かりになると思います。多くの途上国では男性優位社会であり、決定や決断は男性が行うことが多いのです。
妊産婦が異常を訴えた時に、夫に相談する。すると夫が「大丈夫だ、問題ない」と言う。また、実際に出血があるにもかかわらず、「大丈夫だ、問題ない」という。いざ、緊急となり移動が必要な時に、「そんな金はない」と言う。開発途上国の村々では、このようなことが日常的に起こっています。いかなる決定権も持たない、持たされていない、女性だけでは、この「3つの遅れ」を変えることができないのです。
ジョイセフでは、このような状況に合わせて、「男性の参加」や「男性の巻き込み」をテーマにした活動を、地域での母子保健プロジェクトに取り入れています。男性のための実践的な意識・行動変容や動機づけ(モティベーション)活動が必要になります。かく言う私も、男性の意識・行動変容のための指導を男性の立場から長年実施してきました。実際、「男が変わると妊産婦の命が救われる!」ことを実感してきています。私たちのプロジェクトには、男性のボランティアもたくさん働いています。彼らの重要な仕事は、同性である男性の意識や行動を変えることなのです。
(2012年1月、カンボジアにて)