ザンビアの妊産婦支援プロジェクトは、今
2012.11.7
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- ジョイセフコラム
8月の中旬にザンビアを訪ねましたが、ちょうど、ザンビアでは、Safe motherhood week (8月12日~18日、「安全な母性週間」)の最中でした。ザンビア国中で、妊産婦の命や健康についての会議やイベントが多数行われていました。
ジョイセフはIPPFザンビア(ザンビア家族計画協会、PPAZ)と連携・協力して、コッパーベルト州マサイティ郡フィワレ地区の「農村地域における妊産婦支援プロジェクト」を実施しています。 8月14日にはザンビアのTV局による取材を受け、SMAG(Safe Motherhood Action Group:母子保健推進員)140名の合唱と踊りや、マタニティハウス(出産待機ハウス)に焦点を当てた「妊産婦は今」の特集がニュースとして放映されました。
現在、ジョイセフとPPAZによるSMAGやマタニティハウスは、全国モデルとして注目されています。プロジェクトも妊産婦支援のモデル事業として他の地域でも活用できる「グッドプラクティス(好事例)」として評価されています。農村地域のさらなる母子保健向上のために、政府系の保健機関(保健所)とNGO(PPAZ)の連携・協力システムができあがっており、保健施設と妊産婦や新生児を「つなぐ」母子保健推進員が育成され展開しています。政府とNGOの連携・協力事業としてのモデルとなっています。
IPPFザンビア(PPAZ、1972年発足)は、2012年の今年が、創立40周年で、IPPFの60周年と合わせて記念すべき年となっています。ジョイセフとのプロジェクトを基礎にした長年の業務連携は、28年前の1984年から始まっており、今までにも「家族計画・栄養・寄生虫予防プロジェクト」や「HIV予防プロジェクト」などが実施されてきています。よって、現在の妊産婦支援もその連携の成果として位置付けられます。長期間にわたる経験交流や人的交流が今日の成果となっていると確信しています。現在実施中の「農村地域における妊産婦支援プロジェクト」は、2011年1月1日~2013年12月31日の3年計画ですが、多くの支援企業や多くの支援者の協力に支えられています。
ザンビアに関して、最近の話題をもう一つジョイセフのHP最新ニュースから拾ってご紹介します。
10月東京で、IMF世界銀行総会があり、その折に来日したクリスティーン・カセバ・サタ・ザンビア大統領夫人に10月11日、私たちはお目にかかる機会をいただき、ジョイセフの紹介やザンビアでのIPPFザンビアと協働で実施している妊産婦支援プロジェクトについて紹介することができました。クリスティーンさんとは、プロジェクトで育成した母子保健推進員(SMAG)のモチベーションをいかに継続させるか、また妊婦さんが出産前の日々を待機できるマタニティハウスの運営・維持について等、サステイナビリティ(維持可能性)の観点からの話し合いがもたれました。
また、産婦人科医であるクリスティーナさんは、「ザンビアの特に農村地域での家族計画サービスへのアクセスが限られている現状の中で、家族計画サービスを提供するための人材育成支援の重要性、そして女性をエンパワーメントさせることが、ミレニアム開発目標5の妊産婦の健康改善、そして国家を発展させることにつながる」と力強く訴え、「ジョイセフとのパートナーシップをさらに強化して展開していきましょう」というご提案もいただきました。
クリスティーナさんは、IPPFザンビアが運営するクリニックを創設した時の産婦人科医として、またザンビアにおけるパイオニアのひとりとして家族計画を普及してきた経験もあり、今後のザンビアの地域における母子保健、リプロダクティブ・ヘルスの展開について、ジョイセフとしても、とても心強く感じる会合となりました。
もうひとつザンビアのニュースをご紹介しましょう。10月23日に、協力企業からの連携事例をザンビアに焦点を当てて勉強会を実施しました。多くの関連企業のCSR等の担当の皆さんが集まってくださいました。ザンビアでは、ユニクロ、Cath Kidston、ヴィリーナジャパン、そごう・西武、赤ちゃん本舗、テルモや多くの支援者の協力によって、プロジェクトが着実に推進されています。また、今回は、Better than today.の山田エイジさん(ソーシャルクリエイティブディレクター)によってザンビアのSMAG(母子保健推進員)の紹介ビデオが現地で制作され、その映像と、SMAGの歌(山田さんが作詞、SMAGが作曲)も披露されました。
妊産婦の健康の向上のメッセージを込めた歌を合唱するSMAG(母子保健推進員)の皆さん(於マサイティ郡フィワレ地区)
この数カ月のみでも、ジョイセフが実に多くの皆さまの温かい「人の輪」によって支援されているのを強く感じます。
現在、ジョイセフでは、ザンビアのマタニティハウスの他地域への展開で、安心してお産のできる2つ目のマタニティハウスをマサイティ郡フィワレ地区から30キロメートルほど離れたムコルウェ診療所に建設すべく、ご寄付をお願いしています。アフリカの女性の健康と明日の幸せのために皆さまの引き続きのご支援ご協力をお願いいたします。
マタニティハウスを待ち望むムコルウェ診療所の助産師
(2012年11月、東京にて)