3年振りのミャンマー(その2) 誕生した日の曜日が大切な国
2013.2.12
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- ジョイセフコラム
ミャンマーの人々は、怒りを表に出すことは、はしたないことだと考えているため、日常生活において大声を上げることはまずないように思います。大声を出しているのは外国人であることが多いようです。私は、他人に対して常に敬意をもって接するミャンマーの人々の姿を長年見てきましたし、仏教徒(約9割が仏教徒)としての文化が、自然に馴染んでいるようにも感じます。
どの町や村を訪ねても、人々は、一様にお寺に対する敬意を表し、そこでは両手を合わせて頭を深く垂れ、座位の場合は額を床にしっかりとつけて、何度も礼拝する姿を見ることができます。その姿には感動すら覚えます。
礼拝の時に、ミャンマーの人々は、生まれた曜日によって同じお寺であっても拝む場所が異なるのは、日本では見かけない光景です。誕生曜日の守護神がいて、心を込めて水をかけ、花を供えて、ろうそくや線香を立てます。水をかければ人生が平和になり、お供え物は美や賢さ名声などを手に入れることができるとされているのです。
そのため、ミャンマーでよくある質問が「あなたは何曜日に生まれましたか?」です。日本人で、自分の生まれた曜日がわかる人はあまりいないのではないでしょうか。普段の生活では生まれた曜日まで聞かれることはないと思います。ところが、ミャンマーでは、生まれた曜日や生まれた時間がとても大切なのです。七曜のうちで水曜日生まれの人は、午前か午後かによっても区分けされています。つまり水曜日は2曜日となり、全部で8曜日あることになります。
それによって、その人の性格診断をしたり、相性を確認したりするのです。とりわけ結婚相手や人との関係性を判断する時、そして引越しの時には、曜日が大変重要な基礎的データになるようです。この考えは、世代に関係なく生活の深部にまで浸透しているので、軽視することはできません。
ちなみに、私は「月曜日」生まれです。それをミャンマーの人々に告げた瞬間に「なるほど」と言われました。何が「なるほど」なのかは、私には、いまだに不明ですが。また曜日によって象徴となる動物も違うようです。それもまた性格判断に使われます。私は「トラ」だそうです。
自分の曜日の礼拝場所でお祈りする人々の姿は、神々しく見えます。今回の滞在中もヤンゴンにあるシュエダゴンパゴダを夜訪ねました。私の曜日「月曜日」の礼拝所で座ってミャンマーの人々を見ていましたら、自分と同じ曜日に生まれた人々にはとりわけ親近感を覚えました。
皆さんも、ミャンマーに行く機会があれば、事前に生まれた曜日と、できれば生まれた時間を確認しておくことをお勧めします。この話だけで、かなり盛り上がりますし、ミャンマーの人々のいろいろな文化や考え方、人との接し方を学ぶことができると思います。若者も未婚の子どもを持つ両親も、相手の生まれた曜日は気になるようです。相手と話を進める前に、まずは曜日を聞いておくというやり方が一般的なようです。
もうひとつ、月曜について情報まで。月曜日といえば、ミャンマーでは床屋さんの定休日にあたります。これは決して理髪組合が決めたのではなく、実は、仏陀が出家のため髪を切ったのが月曜日だったので、そのような重要な日に一般の人々が髪を切ることを避けたからだと聞きました。関連は分かりませんが、日本の定休日も月曜日が多いようですね。
このように、曜日にまつわる習慣は実にミャンマーの人々の生活のあらゆる場面に浸透しています。
今回はこの話でスペースが尽きてしまいました。
次回は、ミャンマーの母子保健に関するお話をしたいと思います。
(2013年2月、東京にて)