女性性器切除(FGM/FGC)報告(ユニセフ)―1億2500万人が被害
2013.8.19
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- ジョイセフコラム
国連児童基金(ユニセフ)から、世界の女性性器切除(Female Genital Mutilation/Cutting)に関する報告書が7月22日に発表されました。FGM/Cの被害者数は、徐々に減少してはいるが、依然として、社会の深部に根差しているこの悪しき慣習は残っており、少女たちにとって危険で、厳しい現実は変わらないと報告しています。
アフリカや中近東の29カ国の調査では、現在これら地域に暮らす約1億2500万人の女性がFGM/Cを受けており、今後さらに数10年に約3000万人の少女が同じ被害にあい、健康上、精神上の危険にさらされるであろうと推測されています。
調査の対象となった国の中で、特にFGM/Cの比率の高い国々は、以下の通りです。カッコ内は全女性に占めるFGM/Cを受けた女性の比率を示します。
高い順番から、
①ソマリア(98%)、②ギニア(96%)、③ジブチ(93%)、④エジプト(91%)、⑤エリトリアおよびマリ(89%)、⑦シエラレオネおよびスーダン(88%)です。
一方、報告書は、「女性たちはこの慣習が危険であることをよく認識しています。しかし、依然として、このことをしなければならないという社会的プレッシャーを強く受けており、他の選択肢はなく、そのことが、この施術を行う理由となっている」とさえ記述しています。法律を変えても、この悪しき慣習(Evil practice)を簡単に変えることはできないという悲観論もあります。しかし、一方では着実な減少も見られます。
ケニア、タンザニアなどでは約3分の1に、中央アフリカ共和国、リベリアなどでは約半分へと低減していますし、各国のさまざまな努力が不可能を可能にすると考えられます。
多くの国々で実施している、禁止のための法制化、住民への教育、反FGM/Cキャンペーンや行動変容のためのコミュニケーションなど、さまざまな試みの好事例を組み合わせることにより、さらなる低減を実現できると信じています。そのためにも、国際社会は、女性の人権や健康の視点から、引き続き声を上げていく必要があると思います。私たちは、常に、強い意志をもち、この悪しき慣習に立ち向かわなければならないと考えます。
(メモ)女性性器切除(FGM/FGC)とは(IPPFやWHOの定義を基に作成):
医療目的でなく、慣習的行為として、女性の外性器の一部または全部を切除する、また、女性性器その他に傷をつける行為をいう。
段階があるが、それらはクリトリスおよび/または包皮の一部または全部を切除(クリトリス切除術)。クリトリスと小陰唇の一部または全部を切除。大陰唇の切除を伴う場合とそうでない場合がある(切除術)。または、小陰唇及び大陰唇を切除し、経血の流れる程度の部分を残して、膣の入り口を縫合し、膣口を狭める(外性器縫合術)、などという施術を、医療技術のない地域の女性が、ガラス片やかみそり、縫い針などで、それも麻酔なしで、初経前後の少女たちに行うことをいう。
またこれは宗教的行事ではなく、アフリカや中近東地域で、約2000年にわたって実施されている慣習である。目的は、女性の性行動を抑え、結婚までの純潔を守るためといわれている。そしてこの慣習は、女性たちの手によって継承されている。
(2013年8月、東京にて)