妊産婦の健康プロジェクト: ミャンマーのチャウンゴン・タウンシップにて始動

2014.2.27

  • レポート
  • ミャンマー
エヤワディ管区チャウンゴン・タウンシップ病院でのプロジェクト開始式(タウンシップ(地方行政府)代表、保健局職員、母子保健推進員50名など、計約80名が一堂に会しました。

エヤワディ管区チャウンゴン・タウンシップ病院でのプロジェクト開始式(タウンシップ(地方行政府)代表、保健局職員、母子保健推進員50名など、計約80名が一堂に会しました。

プロジェクト始動

2014年2月1日から国際協力機構(JICA)の草の根技術協力事業である「ミャンマーの農村地域における妊産婦の健康改善のためのコミュニティ能力強化プロジェクト」が始まりました。このプロジェクトは、ミャンマーの南部デルタ地域のエヤワディ管区チャウンゴン・タウンシップ(人口約16万6800人、Kyaung Gone Township)で行われる、ジョイセフとミャンマー保健省保健局母子保健課、健康教育課および同タウンシップとの連携協力事業です。対象は15歳から49歳の妊娠可能年齢の女性であり、地域組織や住民の参加を強化し、妊産婦の健康改善を推し進めることを目的とした事業です。

ミャンマーでの経験と実績

ジョイセフがミャンマーで事業を開始したのは、2000年にまで遡ります。国連人口基金(UNFPA)やユニセフ(UNICEF)、JICAなどの支援を得て、保健省や地方政府とパートナーシップを組み、リプロダクティブヘルス・母子保健分野の技術協力を実施してきた実績があります。以降ずっと、政治的状況の変化に関わらず活動を継続してきたジョイセフは当地にしっかりとしたネットワークを持ち、充分な経験と実績を積んできていると自負できます。今回のプロジェクトも多くの関係機関や関係者とともに、妊産婦の健康の更なる向上の期待に応えるべく開始されました。

プロジェクト開始式と母子保健推進員さんのパワフルな活動

2014年2月10日~19日の間、ミャンマーへ行ってまいりました。チャウンゴンではタウンシップ病院と農村保健所4カ所を視察できました。また、2月13日には、タウンシップの関係者によって、プロジェクト開始式が行われました。現場ではコミュニティのリーダーや合計で135人の母子保健推進員さんともお会いできました。

この度、2005年から技術協力で始めた「母子保健推進員制度(MCHP)」がミャンマーにしっかりと根付いているのを現場で確認でき、大変感激しました。2010年に5年のプロジェクトが終了した後も、ミャンマーの自助努力で、その後32タウンシップの約19,000人の推進員さんたちが、妊産婦と新生児の命と健康のために働いています。今回それが着実にそしてパワフルに展開しているのをチャウンゴン・タウンシップで直接体感できました(同タウンシップでの2010年の母子保健推進員(MCHP)養成数は1,161名、現在の活動数は1,125名と報告されています。)

新プロジェクトのキックオフミーティング(首都ネピドーの保健省にて)、ティンギ母子保健課長(右端)及びエインダ健康教育課長(左端)とプロジェクト実施計画や今後の進め方についての検討や確認が行われました。

新プロジェクトのキックオフミーティング(首都ネピドーの保健省にて)、ティンギ母子保健課長(右端)及びエインダ健康教育課長(左端)とプロジェクト実施計画や今後の進め方についての検討や確認が行われました。


プロジェクトの説明をする腰原亮子プロジェクトマネージャー。

プロジェクトの説明をする腰原亮子プロジェクトマネージャー。


タウンシップ行政府代表、タウンシップ保健局代表と。

タウンシップ行政府代表、タウンシップ保健局代表と。


タウンシップ病院(25床、常に定員オーバー)の前で。中央が病院長。

タウンシップ病院(25床、常に定員オーバー)の前で。中央が病院長。


保健所へ向かうメインロード、これを外れるとガタガタのほこりまみれの村道が続く。車の窓からの景色は、一面に広がる田んぼ。

保健所へ向かうメインロード、これを外れるとガタガタのほこりまみれの村道が続く。車の窓からの景色は、一面に広がる田んぼ。


保健所レベルでのプロジェクト説明会。母子保健推進員や村の代表から母親の命を救った多くの体験談を聞くことができました。この日は農村保健所2カ所、準農村保健所2カ所を視察しました。

保健所レベルでのプロジェクト説明会。母子保健推進員や村の代表から母親の命を救った多くの体験談を聞くことができました。この日は農村保健所2カ所、準農村保健所2カ所を視察しました。

こちらの保健所は最近改築がなされた。センターの中の家具(テーブルや椅子など)は村の人々の寄附。ソーラー電気システムも村の有志による寄贈で、夜でも分娩室が使えるようになったとのこと。

こちらの保健所は最近改築がなされた。センターの中の家具(テーブルや椅子など)は村の人々の寄附。ソーラー電気システムも村の有志による寄贈で、夜でも分娩室が使えるようになったとのこと。

チャウンゴンから好事例を発信

チャウンゴンがこれから新プロジェクトの拠点となり、母と子の命を守るための新たな好事例や戦略を発信していくことになりそうです。

2月11日のネピドーでのキックオフミーティング、そして2月13日~14日のチャウンゴン・タウンシップでのプロジェクト開始式、現状の視察を通して、推進員さんによる地域活動がすでに妊産婦の健康改善活動の大きな力となっているのを見ることができました。今後の進展に期待して下さい。

(2014年2月、ミャンマーにて 報告者・鈴木良一)

推進員さんは、みんなで決めた、そろいの色のロンジーを身につけて、推進員のバッジとカバンを持って妊婦さんのいる家庭訪問しています。一人30軒を担当。

推進員さんは、みんなで決めた、そろいの色のロンジーを身につけて、推進員のバッジとカバンを持って妊婦さんのいる家庭訪問しています。一人30軒を担当。


毎年の河川の増水で相当高いレベルまで浸水する。この保健所は1967年に建設された建物。雨漏りが激しい。多くの保健施設の老朽化が進んでいます。村の唯一の保健施設の改善が望まれる。

毎年の河川の増水で相当高いレベルまで浸水する。この保健所は1967年に建設された建物。雨漏りが激しい。多くの保健施設の老朽化が進んでいます。村の唯一の保健施設の改善が望まれる。