2014年「国際女性デー」記念 ジョイセフ活動報告&交流会 開催レポート
2014.3.31
- イベント告知
- 実施レポート
この日、会場を訪れた参加者は70名以上。お招きした支援企業・団体のご担当の方、ジョイセフフレンズ、メディア関係者など、たくさんの方の来場がありました。
会は、石井澄江ジョイセフ理事長(以下:石井)の挨拶に始まり、フィリピン台風被災地の様子と、東北各地で行われた女性支援プログラムについて、それぞれジョイセフより報告を行いました。加えて、2月に実施したインドネシア・アチェの国際家族計画連盟(IPPF)メディアツアーに同行した、読売新聞編集委員の永峰好美さんにその概要とアチェを訪れた感想をお話しいただきました。
以下に当日の報告概要を紹介します。
フィリピン支援
昨年11月8日にフィリピン国内の広い地域にわたって甚大な被害をもたらした台風30号ハイエン。
1月末、石井と斎藤が現地の被災状況、支援の進捗を視察するために訪れました。現地では、ジョイセフと連携して支援活動を行っているパートナー団体FPOP(フィリピン家族計画協会)と共に、産後のお母さんたちへの聞き取り調査も行いました。
台風被害から2カ月半が経ったにもかかわらず、街は災害の爪あとがむき出しのままの状態で放置されており、復興はほとんど進んでいない状況でした。もう2カ月半、まだ2カ月半。日本国内では「もう」という認識が進んだからか、すでに報道を続けるメディアは滅多にありません。しかしながら、現地では遅々として進まない復興や、女性や子どもへの支援が後手に回っていることに対する憤りが人々の間に広がっています。その証拠に、FPOPによってようやく始まった母子健診では、訪れた母親たちが「やっと私たちのための支援がきた」と喜んでいたとのこと。
健診を受けにきた女性に石井が話を聞くと、恐怖と混乱の記憶が蘇ってきて、思わず泣き出してしまう女性もいたと言います。彼女のように心のケアが必要な人々はまだまだたくさんいますが、人手も資金も足りず、手が回っていないのが現状です。
FPOPはジョイセフと連携して、被災地の母子を対象とした健診を行っています。事業はまだ始まったばかり。被災地全域を網羅するには1年以上かかるとも言われています。
「現地のスタッフたちは、自分たちも大変な状況の中、現地の人々のために献身的な支援活動を行っています」。
石井は最後に「まだまだ我々の支援が必要」と継続した支援を呼びかけました。
東北女性支援プログラム
2013年はジョイセフの東北における女性支援活動が、新たなステージに移行した年でもありました。2011年の3月11日以降、ジョイセフでは緊急支援に始まり、妊産婦に1人5万円の義援金(ケショ)を届けるなど、物資と資金の両面での援助を重点的に進めてきました。
震災から2年目を迎えた13年度は、一歩先へ進み、東北の被災女性/妊産婦・新生児を対象に、エンパワーメント(能力強化)を目的としたプログラムを中心に行いました。
開催されたプログラムは次の4つ。
- 助産師活動の広報・普及、およびサロン事業にてお母さんと赤ちゃんの心と体のケアを行う「助産師フェスタ」、「じょさんしサロン」の支援。
- (公社)母子保健推進会議、自治医科大学、厚生労働省と協働で、岩手・宮城・福島のお母さんたちの心のケアを行う「リフレッシュ・ママクラス」の開催。
- ママとママが出会ってつながるトーク&交流会「MOM meets MOM in TOHOKU」を岩手、宮城、福島で実施。
- 東北を元気にしたいと考える女性リーダー養成のための連続講座「JOICFP COLLEGE TOHOKU」の実施。
物資や資金による援助が必要だった時期を過ぎ、東北ではきめ細かな心のケアやエンパワーメントなど、かたちを変えた支援が求められています。ジョイセフは専門家と協働して、東北の女性たちに寄り添った支援活動を14年度も行っていく予定です。
IPPFメディアツアー
14年は、04年に発生したインドネシアスマトラ沖大地震・津波から10年目にあたる年です。日本で11年3月11日の東日本大震災から3年目の日を迎える前に、14年2月現在のインドネシア・アチェの街を視察し、復興までの9年の経過報告を取材し経験を学ぶために、ジョイセフは日本のメディア関係者5名と共に訪れました。アチェでは、ジョイセフが東京連絡事務所を務めるIPPF(国際家族計画連盟)の加盟協会であるIPPA(インドネシア家族計画協会)の復興支援活動を中心に視察し、被災者の中でもとくに後回しにされがちな女性や子どもの支援が、いかに重要であったかを取材しました。
また、このツアーには、ジョイセフの東北支援プログラム「JOICFP COLLEGE TOHOKU」に参加した東北の女性3人(うち、1人はジョイセフフレンズ)が同行し、取材に加え、現地で震災を乗り越えた女性たちとの交流をはかりました。
その他、復興したアチェの街巡りに始まり、IPPAによるトラウマケアや母子保健分野における支援活動、女性へのマイクロクレジット(小口融資)の成果の様子、被災した子どもたちへの奨学金制度などを視察しました。
ツアーに参加した永峰さんからは、「ジョイセフのメディアツアーに参加すると、普段は行けないようなところに行ける」との感想や、アチェの街の復興にIPPFがいかに貢献しているかなどについて、率直な報告がありました。
後半はおいしい料理と交流会で和やかに
「震災復興と女性」をテーマに2013年の活動を振り返った後は、しばし和やかな歓談タイムに。
この日は、味も見た目も斬新なケータリング料理で人気の寺脇加恵シェフにお願いし、フィリピン、東北、インドネシアをイメージした料理を用意しました。参加した皆さまに楽しんでいただきました。
軽食を楽しむ間、ジョイセフ広報から今後のイベントについてもお伝えしました。
今年で10年目を迎える「想い出のランドセルギフト」が3月10日~5月31日まで回収が行われることや、5月に行われるチャリティイベント「ぽんママ会」、同じ5月から始まる若い女性を対象とした8回連続講座「GIRL meets GIRL College」についてお知らせしました(各イベントの詳細はジョイセフホームページをご参照ください)。
また、タンザニアのプロジェクト地域にあるホマンゴ診療所に水道開設(150万円)を目指し、売り上げの10%がジョイセフに寄附される「キャリネス水道プロジェクト」の進捗について、キャリネスの片山聖子さん(美容皮膚科医)から報告されました。
報告会の締めの言葉として、石井より「ジョイセフの活動は、すべての女性が『選択』できるような社会にすることを目的に行っています。開発途上国にはいまだに病院に行きたくても行けないなど、選択することすらできない状況にある人がたくさんいます。だからこそ、我々の支援が必要ではなくなる日が来るまで、私たちは女性たちが『選択』できる社会づくりを支援し続けたいと思っております」と挨拶があり、参加者の皆さまに向けて、お礼と温かなご支援をお願いして報告会を閉会しました。
その後の時間には、参加者の皆さまによる交流会が行われ、ジョイセフの活動に関心を寄せてくださる方々の新たなつながりが芽生えていました。