「父の日」に思う― 女性の健康と権利を守るには男性の参加と教育が鍵!
2014.6.13
- お知らせ
今年も、「父の日」を迎えるに当たり、父親への感謝を込めるとともに、父親をはじめ男性参加が、いかに女性の健康や権利を守るかを考えてみました。かつてジョイセフの会長(1995年~2001年在職)であった故加藤シヅエが、生前、繰り返し言っていたことがあります。それは、「女性のエンパワーメントのためには、男性の協力が不可欠です」、「男性が変わらなければ、女性の健康や権利は守れません」というメッセージでした。男性の積極的な参画が女性の地位や立場を変えることができるということです。ましてや、男性中心の社会を形成している国々では、さらに強調されてしかるべきであると私は思っています。
「男性の参加」とか「男性の巻き込み」は、リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(RH/R)を推進するためには欠かせない最重要課題です。しかし、残念ながら、それを阻害しているのが実は「男性」や「男性中心の社会」であり、そこに原因があると言えます。
「男性を変えなければ女性をとりまく環境は変わらない」ということに、一言で言うと尽きるのではないでしょうか。女性は、男性中心の社会の中で、常に厳しい状況におかれています。女性は、妊娠や出産について自分で決められないことが多いのです。たて続けの妊娠を招いたり、家庭内暴力(DV)として現れたり、育児と家事や労働とのバランスがとれずに心身ともに負担となったりしているのではないでしょうか。
私がジョイセフに入ってから、今日まで、フィールドで活動する際に、私の役割は、常に「男性教育」でした。それには前述した背景があったからです。ジェンダー(文化的・社会的性別)という言葉を使うまでもなく、開発途上国の町であろうと村であろうと、この問題に出会わないときはありませんでした。長い間、男性が作り上げてきた社会は、男性に都合の良いように作られているのです。それを是正するには、社会的に影響力のある人々、たとえば、政治家、宗教指導者、そして村の指導者たちの協力を得て、支援の輪を拡大することが必要であると信じています。また、家庭にあっては、父親や夫の教育を行うなどの地道な努力を通して「行動変容」を促していくことしか、現実的な解決方法はないとも実感しています。男性が男性を変えるほうがよい場合が多いのではないかと思います。
夫や父親によって緊急時に妊婦を病院に運ぶなどの意思決定が行われることの大切さ、また、父親のコミットメントが変われば、女子の早婚を減らし、彼女たちに、将来の生活設計をするしっかりとした機会と時間を与えることができます。 それは、彼女たちの将来をさらに明るくすることにもつながるはずです。
男性の行動変容のための努力を私たちは惜しむべきではないと強く信じて、今後も、日々の活動を行っていきたいと思っています。
ジョイセフ事務局長
鈴木 良一
(2014年6月、東京にて)