GIRL meets GIRL College第4回 大崎麻子氏「MORE Happy – 女の子の幸福論」
2014.6.13
- 実施レポート
6月10日に行われた第4回目は、講義の前に、広報グループ甲斐が「ジョイセフが出会った女の子たち」と題して、世界の女の子たちについてそれぞれの小さなエピソードを紹介しました。ザンビア、ネパール、インド、アフガニスタン……。国は違えど、自分たちの置かれた境遇の中で、ひたむきに頑張る女の子たちがいます。時に運命は彼女たちに過酷な試練を課すこともありますが、活路を見出し、自らの力で運命を変えていこうとする女の子たちもたくさんいます。男性に比べ、女性の発言権が少ないインドでは、そうした社会を変えようとする女の子に出会いました。「私たちが何かを変えたいと思っても、家族の反対に遭ってしまう。Change within ourselves. 自分が変わらなくては何も変えられない」。彼女の一言にハッとさせられたと出会った当時の様子を振り返りました。
アフガニスタンの女性は、宗教的な理由からブルカと呼ばれる布で体を頭からすっぽりと隠し、外出するときはもちろん、家族以外の男性がいる場所ではブルカを通してでしか、外を見ることができません。転じて、日本の女の子たちはどうでしょうか。私たちは本当に何もベールを被ってないと言えるのか。見えない障壁の存在を提起する形で、大崎麻子さんの講義に移りました。
大崎さんは、国連職員として貧困と飢餓をなくす活動に従事し、現在はフリーの国際協力・ジェンダー専門家として活躍されています。今回はご自身の著書『女の子の幸福論』でも述べている、女の子へのエンパワーメントの必要性について、その理由とプロセスをじっくりと丁寧に講義していただきました。
お話は、国連による開発の変遷から入りました。かつて開発の中心は、国の経済成長であり、保健・医療・教育などの社会セクターの整備でした。しかし、1990年代からは人間そのものへの開発の必要性が問われるようになり、現在では一人ひとりの人間に着目し、社会の仕組みづくりから携われるよう、その選択肢と機会の幅を創出する人間開発が主流となっています。
そのゴールは、「一人ひとりの人間が持って生まれた可能性を開花させ、社会の一員として尊厳のある人生を送れるようにすること。そのために必要な環境を創ること」。
この目標を達成するためには、私たち一人ひとりが「自分で決め、生きていく力をエンパワーすることが重要」なのだ、と大崎さんは語りました。
エンパワーメントには3つの欠かせないステップがあります。
「自信をつけること」「力をつけること」「連帯すること」
大崎さんはネパールでの事例をあげ、女性へのエンパワーメントが、地域、そして次世代へ着実に波及する様子を示すことで、その効果を示しました。
続いて、話は日本の女の子たちが抱える課題についての話に。
日本は世界経済フォーラムから毎年発表されている世界各国の男女格差に関するレポート「Global Gender Gap 2013」の中で、136カ国中105位と先進国の中でも群を抜いて低いレベルとなっています。また、児童婚(国際社会において18歳未満の婚姻は児童婚)、離婚後の女性に再婚禁止期間が設けられているなど、法律による女性差別がいまだに改善されず、女性を取り巻く環境は決して恵まれていません。
だからこそ、「日本の女の子にもエンパワーする必要がある」と大崎さんは強調します。その力をつけるために、大崎さんが提示した4つの智恵は、
- 健康に生きる
- 判断能力(リテラシー)を身につける
- 経済的・精神的に自立する
- 政治に興味を持ち、参加する
「できないのは私が悪いと考えるのではなく、環境を変えていくべき」。
そのために、まずは健全な心と身体を持ち、自己肯定感を養い、物事の本質を見極める判断能力、生きていくための経済力を身につけることが必要となります。そして、実行分配を決定しているのは誰かを見極める力をつけ、政治に興味を持ち、SNSなどを効果的に利用し、自分の意見を発信することの重要性を訴えました。
受講生の声からは、
- 「自分で決めて行動するということに慣れていないと実感した」
- 「政治への不信感から、参加にどれほどの意味があるのだろうと思っていたが、見て見ぬふりをするのではなく、自分で考えて発信していきたい」
- 「女性ゆえの生きづらさが内輪で話題に上ることはあったが、その先の一歩はなかなか思いつかなかった」
- 「女の子一人ひとりが自信をつけ、自分で判断し、決める力を持ち、仲間と連帯すること」
といった声があがり、大崎さんの言葉にエンパワーされた受講生たちが、講義後も次々と自分の思いや疑問を熱心に質問する様子が印象的でした。
大崎さんの講義後は、協賛企業である株式会社ダッドウェイによるプレゼンテーションがありました。初回に次いで2回目となる今回は、同社の顧客相談窓口マネージャー関さんが登場し、仕事と家庭の両立についてお話しました。4人のお子さんのお母さんでもある関さんの、「育児も仕事も100でなくて良い。合わせて100を目指そう」という言葉に、元気をもらったという受講生たち。20代の受講生からは「いつか訪れる未来に役立てたい」という声も聞かれ、子どもを産み育てながら、働くことに前向きになったと好評を博していました。
その他の講義はこちら
http://www.joicfp.or.jp/jp/2014/03/31/22267/