児童婚(Child Marriage) ― 南アジアの実情:バングラデシュ女性の74%が18歳未満で結婚

2014.6.25

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  • ジョイセフコラム

人口と開発に関するアジア議員フォーラム(AFPPD)が最近まとめた南アジア地域の児童婚の実態の調査結果(Review of National Legislations and Policies on Child Marriage in South Asia)は私たちにとっても衝撃的なものです。

この調査結果は、各国の結婚に関する法律と実態が如何に隔離しているかを明快に示しています。

まずは、法定結婚年齢(法律で定められた結婚可能年齢)では、南アジア地域の9カ国では、男女ともほぼ18歳が多い。例外的には、イランの女性13歳、バングラデシュの女性16歳で、男性では、イランが15歳。ちなみに日本は、先進国の中で最も若く女性16歳、男性18歳となっています。この法定年齢に疑問を持つ人は多いのですが、民法上改正されないまま、今日に至っています。

しかし、問題は実態です。18歳未満の女性の婚姻率を見てみると、バングラデシュでは74%、インドが58%、ネパールが52%、アフガニスタンが49.3%、パキスタンが35.4%などとなっています。また、女性の平均初婚年齢をみると、バングラデシュが15.8歳、インドが17.7歳、ネパールが17.8歳、アフガニスタンが18.1歳、パキスタンが19.8歳などとなっています。大半の女性が法定年齢以前に結婚しているのが現状です。

このような女性たちは、多くの場合早婚であるがゆえに教育を十分受けられず、人生の選択肢が結婚によって狭まってしまうのです。また、若すぎて成長が未熟であるために、妊娠や出産においても弊害が起こります。また、彼女たちは、夫やその家族の前では自分のことを自分で決めことができませんし、暴力の対象にもなります。さらには、経済活動への参加は阻害されます。これらが、社会的・経済的に負の連鎖を生むことになるのではないかと言われています。

どの国も法治国家であり、法律の順守を標榜しながらも、これだけの比率で法定年齢が守れない社会的文化的な高い壁や背景を考えると、今後の政策提言(アドボカシー)活動や行動変容活動が依然として大変な作業となっていくのが明らかです。

私たちは、この現状を踏まえて、今後も継続的に発言していきます。           

(2014年6月、東京にて)