VIP諸国と日本
2014.10.3
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- ジョイセフコラム
最近、人口増加が経済成長を支えている国々、いわゆる「人口ボーナス」の効果を上げている国々に注目が集まっています。東南アジアのベトナム、インドネシア、フィリピンの3カ国も含まれます。それらの国の頭文字(V.I.P)をとって、経済の専門家グループがVIP諸国と呼称しているようです。
総人口が最近1億人を突破したと発表されたフィリピン(2013年時点では9840万人)をはじめとして、日本の人口に追い付き、越える勢いを示しています。国連人口基金の『世界人口白書2013』によれば、2013年年央にベトナムが9170万人、インドネシアが2億4990万人、フィリピンは9840万人でした。これらの国々では、巨大人口の持つ効果が確実に表れているようです。
今世紀の半ばまでに、これらの国々が、経済大国になる可能性が高いと予測する専門家もいます。まさに人口成長と経済成長の相乗効果がもっとも顕著に表れているのです。
条件としては、
1) 教育や技術レベルの高い国民がいること、
2) 政治的に安定していること、
3) 投資先としての信頼を得て国家として信用されていること、
4) 労働力と購買力が備わった市場となっていること、などです。
フィリピンは、それに英語力が付加されていて、ITなどを活用した国際的なビジネス・チャンスが加味されるようです。
逆に、もし、これらの巨大人口を扶養できなかった場合、新たな雇用を生み出すことができない場合などに陥った場合は、人口ボーナスどころか、「人口オーナス(負担)」として、国の成長の足かせになってしまうのは歴然としています。大きな人口、特に若者が失業者となり、社会負担となり、犯罪増加やテロリズムの基礎を形成することなどの負の可能性も考えられるのです。健康で教育を受けられ、新しい雇用が生み出される社会の力となる人口増加は人口ボーナスの効果を表わすものだと考えます。
2013年の世界人口白書から、巨大人口国上位15カ国を、以下、一覧表にまとめてみました。
一方、日本は、2008年をピークに人口減少が進んでいて、世界的に注目される国になっています。超少子・超高齢化国家としての、日本の今後の展開が他の国々の学びとなると考えます。日本が人口減少社会にどのように挑み、乗り切り、新たな成長やイノベーションを見せてくれるのかが、国際社会から注目されています。
人口数の落ち込みに、単純に不安を抱くのではなく、この現状をどのように乗り切り、「新たな成長モデル」を構築することができるのかが、今、日本に課せられた使命なのではないでしょうか。
よって、人口を1億人程度に維持するという目標を掲げること以上に、日本人一人ひとりの能力、技術力、そして社会的組織力をどれだけ発揮できるかを目指した取り組みが求められるのです。
超少子・超高齢化社会に挑戦し先鞭をつけることで、日本は、国際社会であらたに尊敬される国際的地位を占めるべきではないでしょうか。
(2014年10月、東京にて)