ミャンマーのユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC):母子保健事業の強化拡大へ

2015.4.15

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  • ジョイセフコラム

世界銀行から1億ドル、400万人の妊産婦・乳幼児の健康のために
2015年2月5日付の世界銀行の発表は、ミャンマーの母子保健事業を長く支援してきたジョイセフにとって朗報でした。UHCを推進するためにも、まずは、母子保健事業を強化し拡大することが肝要であるとして、世銀が支援を表明したのです。世銀はミャンマー政府と妊産婦と乳幼児保健の推進の一環で、1億ドル規模(約120億円)の基礎的な保健サービスへのアクセス推進事業を提供するために、全国の330全タウンシップでの母子保健サービスを確保することを目指しています。この支援により約400万人の妊産婦・乳幼児が更なるサービスを受けることが期待できます。
これを受けて、Dr.ティン・ティン・テー保健副大臣は、母子保健事業の拡充により、ミャンマーはさらにUHCに近づくことができると述べています。これらの資金はタウンシップレベルの基礎的保健医療サービスに活用されますが、農村保健所の助産師を含む基礎保健従事者が、妊産婦や家庭へのアクセスをさらに強化し、それにより、タイムリーな予防接種や衛生教育が可能となるとしています。ミャンマーがすべての人々の普遍的な保健サービスの普及のために欠くことのできない、コミュニティでの保健サービスや情報の提供にさらに寄与すると考えられます。
ジョイセフがミャンマー保健省と進めてきている母子保健推進員制度への好影響も期待できます。世銀はアジア地域でも相当立ち遅れていたミャンマーの保健状況の改善に本格的に支援の手を差し伸べています。
2015年は大統領選挙の年
母子保健や予防接種を推進するためには、まずは地域の治安と平和が必須条件であることは言うまでもありません。しかし、最近になってミャンマーの各所で少数民族問題に端を発する地域の治安を揺らぐ出来事が頻発するようになっています。そのことが大変危惧されます。
2015年11月頃には大統領選挙が控えており、「政治の年」と位置付けられています。そのようなタイミングでもあり、小さなぶつかり合いが大きな内紛に発展することのないようにしなければなりません。すべての人々の努力によって2015年こそは、ミャンマーにとって「母子保健向上の年」であることを掲げるしっかりとした政治目標を打ち立ててほしいと願うのは私だけではないと思います。
(2015年4月、東京にて)