2014年活動報告①:ボンクラセCHPS診療所と母子健診スペースの建設
2015.6.2
- ガーナ
- レポート
完成したボンクラセCHPS診療所(右手前)とスタッフの宿舎(左奥)
2011年11月より外務省の日本NGO連携無償資金協力事業としてジョイセフが実施していた、妊産婦の健康改善を目指したリプロダクティブ・ヘルス向上プロジェクトは2014年12月に終了しました。
最終年となった2014年は、ボンクラセ村に、CHPS(*)診療所とリプロダクティブ・ヘルス(RH)センターの敷地内に併設する母子健診用のスペースを建設しました。計画した保健施設の建設を終え、すべてのプロジェクト対象地域で住民が施設分娩や妊婦健診、産後ケアなどの母子保健サービスを身近に受けられるようになりました。
<これまでの実績>
1年目(2012年):RHセンター建設(建設地:コトソ村)
2年目(2013年):CHPS診療所の建設(建設地:シェウォホーデン村、センポア村、アグアジクロム村)
- (*)CHPSとは
- Community-based Health Planning and Servicesの略。ガーナ政府が2000年より国の政策として推進している基礎的な地域保健サービスを住民に届けるための政策。コミュニティに地域保健師が派遣され、診療所や家庭訪問を通したサービス提供や啓発活動を行うとともに、住民もその運営に協力・参加する。
- 目的
- 安全な妊娠・出産に焦点を当てた、質のよいリプロダクティブ・ヘルス(RH)サービスの提供と、住民に対する草の根の啓発活動を通した、対象地域の妊産婦の健康の改善
- 実施地域
- イースタン州コウ・イースト郡ヴォルタ川地区
- 実施期間
- 2011年11月~2014年12月
- 支援機関
- 外務省(日本NGO連携無償資金協力事業)
- 現地協力団体
- ガーナ家族計画協会(IPPFメンバー団体)・ガーナ国家保健サービス
ボンクラセCHPS診療所の開所式
ボンクラセCHPS診療所では、2014年6月19日に開所式が行われました。連日の雨によりなかなか準備が進まず、当日の天気もどうなるかと心配しましたが、その日は朝から快晴でした。式は、イースタン州保健局、コウ・イースト郡保健局、IPPFガーナ(ガーナ家族計画協会)、在ガーナ日本大使館等の協力機関の代表者のほか、地域の伝統的首長、地元住民など多くの人たちが参加して盛大に執り行われました。また、診療所の目の前にある小学校の子どもたちが、平日にもかかわらず授業を中断して飛び入り参加し、とても賑やかな催しでした。
テープカットの後は、診療所内部が公開されました。女性たちは興味津々の様子で施設を見学していました。ボンクラセ村に住む、コトソのRHセンターで出産したばかりの女性も赤ちゃんと一緒に訪れ、「これからはここに来られるのがうれしい」と喜んでいました。
これまでこの地域では、雨期になると村の外に出るためには大きな水たまりの中を歩くか、川を渡らなくては診療所まで行けませんでした。この診療所ができたことにより、女性たちが妊婦健診や産後ケア、母子健診のサービスを気軽に受けられるようになったのです。また、近隣の地域の住民にも家族計画やリプロダクティブ・ヘルスに関する相談や出張診療などの様々なサービスを提供できるようになりました。
ボンクラセ村では、診療所が建設される前から地域の保健運営委員会や保健ボランティアが活動しており、完成後は診療所を拠点としてさらに本格的な活動が展開されています。
母子健診スペースのオープニングセレモニー
利用者の増加により、母子健診専用のスペースを確保する必要が出てきたため、RHセンターの敷地内に母子健診スペースを建設しました。2014年1月に建設が始まり、6月中旬に完成しました。10月に改めてオープニングセレモニーを行い、たくさんのお母さんや赤ちゃん、子どもたちが健診を受けに訪れました。
週に2日行われる母子検診では、母親への問診、乳児の体重測定や予防接種、栄養指導、また必要に応じた栄養補助食品の提供が行われています。
この母子健診スペースができたことにより、母親たちは気軽に健診が受けられるようになりました。また、健診の際に啓発用ポスターを見て情報を得たり、保健スタッフから健康教育などを受けたりすることもできるようになりました。そして、コトソRHセンターでの安全な出産を計画したり、家族計画カウンセリングを受けたりする人が増えました。このように、母子健診スペースができたことで、母親たちのリプロダクティブ・ヘルスサービスの利用は着実に増えています。