「世界父親白書2015」(State of the World’s Fathers)初めて発表

2015.6.29

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  • ジョイセフコラム

2015年6月「父の日」を前に、「世界父親白書」が初めて発表されました。耳新しい白書名であると思いますが、この白書は、世界的に男性や男子に対する公平で非暴力の介護者(caregiver)としての参加を促すキャンペーンを行っているMenCare(メンケア)という米国のNGO団体のアドボカシー出版物です。MenCareは、本部を米国ワシントンにおき2011年からキャンペーンを開始。現在約30カ国で女性に対する暴力の予防、妊産婦・新生児保健に関する活動や関連のアドボカシー活動を実施しています。
この白書は、父親と子どもの関係性が子どものすべての成長過程で影響を与えるものであり、介護者としての父親の参加が女性の命や人生にとっても重要な影響となると報告しています。
約80%の男性が生物学的に父親になります。しかし、父親による母親(女性)や子どもに与える影響やあり方について正確な研究が不足しているのではないかと訴えています。父親(男性)のあらゆる意味での参加は、女性のリプロダクティブヘルスの保障や子どもの成長、暴力の予防など幅広い分野で好影響を与えると呼びかけています。
最近の独自の調査研究に基づき、白書はいくつかの結果を報告しています。概要を紹介します。

  • 父親の参加が子どもの成長を促進する。父親の参加は子どもの社会性を開発することにもなる。
  • 父親の参加が将来の世代としての子ども、とくに女児の可能性を広げる。
  • 父親の参加は父親自身もより幸せに、また健康にする。
  • 介護者としての男性の巻き込みは、ある地域では増えているが、未だ女性の介護者としての参加と同等までには至っていない。
  • 実は父親は子どもとの時間をもっと持ちたいと思っている。
  • 男性の参加は、すべての子どもが望まれた子どもであるためにも必要である。2億2000万人の女性が安全で効果的な避妊方法を利用できていない。2012年に約8千500万人の予期しない妊娠があった。これは全妊娠の約40%に及ぶ。
  • 男性が出産前の健診、出産、産後のケアなどに参加することが、母親や子どもに良い影響を与える。予防接種についても父親の決断が必要とされる地域がいまだに多い。
  • 介護者としての父親の参加は、女性や子どもに対する暴力のサイクルも阻止し、予防できる。
  • 父親が育児休暇を取ることが子どもや女性に対して利益となり、よい影響を与える
  • 父親のさらなる参加や巻き込みは、結局、経済的な利益にもつながる

白書は、世界的にMotherhood(母親の役割)については、よく語られることであるが、Fatherhood(父親の役割)についても、さらに世界的に広く議論し、父親がさらに参加しやすいように、先進国のみならず開発途上国においても、各国の政策、行動計画、制度などを早急に整えることを提言しています。
この白書は、日本でも、父親に対する父親の役割の見直しや子育て参加などについて、さらなる呼びかけや支援制度の整備などを考えてみるべきではないかと考えよいきっかけとなるのではないでしょうか。
(MenCare のホームページを参照下さい。
http://men-care.org/what-we-do/advocacy/state-of-the-worlds-fathers/
(2015年6月、東京にて)