村内放送を使った家族計画の推進
2015.9.15
- ガーナ
- レポート
シェウォホデンという人口約3500人の村で、村内放送を使った啓発活動が行われました
2015年7月1日、シェウォホデンという人口約3500人の村で、村内放送を使った啓発活動が行われました。電気のないシェウォホデン村では村内放送は貴重な情報源であり、村にいるほとんどの人々がじっくりと耳を傾けているようです。
この日の村内放送は、地域保健ボランティア2名とCHPS診療所(村の診療所)に常駐する地域保健師1名が、家族計画とマラリア予防について話をしました。村の人々からの電話相談を含めて1時間弱のプログラムとなりました。
この村の多くの人々が通う教会では、避妊具の使用が禁止されていると強く信じる人々も多く、家族計画はなかなか浸透しないようです。この日の電話相談でも、宗教的な「罪」についての問い合わせがありました。地域保健ボランティアは、家族計画を実施しないと多くの子どもが生まれ、女性の負担が重くなり、子どもの面倒もきちんと見ることができなくなる、その方が罪深いのではないか、私たちは生まれてくる子ども一人ひとりに責任を持つべき、と助言していました。
村民の9割以上が生活の糧を漁業に依存する中、近年の気候変動による川の水位の著しい低下で漁ができなくなり、村民の貧困度合いは悪化しています。2011年にこの村を訪ねたときにはほとんどの家で魚を燻す煙が上がっていましたが、今回の訪問中、全く煙を見ませんでした。多くの人々が漁業を続けるため、他の地域に移住していったそうです。2013年に養成された地域保健ボランティアの中にも、一時的に親戚のいる他の地域に移った人もいます。このような経済状況の中で、ほとんどの家庭は、多くの子どもの十分な面倒を見るのが難しい現状にあり、家族計画はその重要性を増しています。
村を歩いていた複数の男性にインタビューしたところ、村内放送や保健ボランティアの活動により、家族計画の意義が少しずつわかってきた、もうこれ以上子どもを作らないよう、今はコンドームを使っている、という声が多く聞かれました。地域保健ボランティアの粘り強い啓発活動が実を結び始めています。
放送後のボランティアによる村人へのフォローアップセッション
- 目的
- 安全な妊娠・出産に焦点を当てた、質のよいリプロダクティブ・ヘルス(RH)サービスの提供と、住民に対する草の根の啓発活動を通した、対象地域の妊産婦の健康の改善
- 実施地域
- イースタン州コウ・イースト郡ヴォルタ川地区
- 現地協力団体
- ガーナ家族計画協会(IPPFメンバー団体)・ガーナ国家保健サービス
- 資金協力
- 公益財団法人JKA
ヴィリーナジャパン株式会社 他支援者
シェウォホデンの村内放送局(外観)
家族計画について放送する地域保健師とボランティア
家族計画に真剣に取り組み始めたダニーさんへのインタビュー
放送が始まって放送局に集まってきた村民