【終了報告】 ネパール ラメチャップ郡、シンズリ郡における 被災女性・母子支援事業
2015.11.18
- レポート
- ネパール
- ネパール東部のラメチャップ郡とシンズリ郡において実施してきた巡回診療と女性支援キット配付の緊急支援事業を10月下旬に無事終了することができました。
事業実施にあたり助成をいただいたNPO法人「ジャパン・プラットフォーム(JPF)」、そして支援者の皆さまからの寄付金のご支援に心よりお礼申しあげます。
4500人の被災女性に巡回診療サービスを提供
現地協力団体のIPPFネパール(FPAN:ネパール家族計画協会)との協働により、ラメチャップ郡とシンズリ郡の10村において、出産可能年齢の女性4483人を含む6087人の被災者に、産前産後健診、避妊具の提供、子宮頸がん検査、性感染症の治療、子宮脱治療(ペッサリー装着)、カウンセリングおよび他機関への照会等の保健医療サービスを届けました。
クライアント登録の様子。震災の影響でまだ十分に機能が回復していない村のヘルスポスト(保健医療施設)を利用し、巡回医療チームとヘルスポストスタッフが協力してサービスの提供を行いました。
- 問診(産前健診)を行う医師
- インプラントのリプロダクティブ・ヘルスサービス提供(シンズリ郡グゥアルター村)
巡回診療を実施ポイントの選定にあたっては、対象地域の郡保健局およびリプロダクティブ・ヘルス分野で活動するNGOと調整を行い、ニーズが高いにもかかわらず、他の機関や団体の支援がまったく届いていない下記の10村を選び実施しました。
ラメチャップ郡 | ゲル、ゴスゴー、べタン、ドランバ、 コスガー村 |
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シンズリ郡 | ラタンチュラ、ラタマタ・ジャンガジョリ、グゥアルター、カーンサン、カピラコット村 |
事業計画時には各回のクライアント数を100~125人と想定していましたが、実際には予想を大きく上回り、毎回平均140~270人の被災者が巡回診療サービスを求めて訪れ、震災から約半年が過ぎても、いまだに多くの被災者に必要な保健医療サービスが不足している状況がうかがえました。
女性支援キット(Dignity Kit)を600セット配付
特に弱い立場に置かれている妊産婦が精神的安定と尊厳を保って生活再建に取り組めるように、600人の妊産婦に、身の回りを整えるために必要でニーズが高く、日常生活の必需品である生理用ナプキン、歯ブラシ・歯磨き粉、衣類等を詰め合わせた女性支援キットを配付しました。生活物資のニーズが十分に満たされていない中、女性のニーズに応え、被災生活の状況改善に貢献しました。
ジョイセフスタッフより、被災地の妊産婦に女性支援キットを直接手渡しました。(ラメチャップ郡ゲル村)
女性支援キット(全14アイテム;生理用ナプキン、石鹸(手洗い用・洗濯用)、歯ブラシ・歯磨き粉、くし、爪切り、懐中電灯、タオル、下着、ペチコート、ショール、マキシ、ブラウス、サリー)
次期プロジェクト開始に向けて
震災から半年を過ぎた今でも、被災地ではまだ多くの女性や妊産婦がリプロダクティブ・ヘルスサービスを必要としています。ジョイセフは、ラメチャップ郡とシンズリ郡の活動成果をふまえ、12月より、被災地域の中でも特に妊産婦人口を多く抱えるカブレ郡とカトマンズ盆地において、引き続き巡回診療サービスの提供と女性支援キットの配付を行うために、準備を進めています。
今回の地震により精神的なトラウマを抱えた人々が増え心のケアがますます必要となってきている現状が続いています。次期プロジェクトでは、リプロダクティブ・ヘルスサービスにアクセスができていない主に女性と母子の被災者を対象に、地震によるトラウマやジェンダーに基づいた暴力に対するカウンセリング等に重点を置いた巡回診療サービスを実施する予定です。
皆さまの引き続きのご支援をどうぞよろしくお願い申しあげます。