日本で女性の梅毒感染者が増えています
―性感染症について再び喚起
2015.12.22
- お知らせ
- ジョイセフコラム
最近気になることのひとつに、日本における性感染症患者の増加があります。
梅毒患者が1999年以降初めて2千人を超えたことを、最近、国立感染症研究所が報告しました。その中でも、女性の感染者が増えていることが見逃せません。今年の新たな感染者のうち76%が15歳~35歳の若い女性です。
厚生労働省は、最近「女子の梅毒、増加中!」というリーフレットを作成し、配付し始めました。女性の梅毒患者が増加傾向にあることを喚起する、広報啓発用に作ったものです。その中で、女性の感染者が、この5年間で約5倍に増えたことにも言及しています。梅毒だけでなく、性器クラミジア、性器ヘルペスなど、女性が感染すると死産や胎児の障害、不妊症や流産の原因になるなどの問題にも触れています。
12月1日は、「国際エイズデー」でしたが、国連エイズ合同計画によると、世界でHIVとともに生きる人口が、現在3690万人であると報告されています。そのうち41%が治療法にアクセスがあるとされていますが、多くはそれさえもできない状態におかれています。新規感染者では、世界的に見てその約38%が、25歳以下の若い世代で占められていると発表されています。
一方では、幸運にも治療法が進歩していることもあり、HIVであっても死に至る病ではなくなってきているのは事実です。死に対する不安が消えたとはいえ、先述したように性感染症は、いろいろな後遺症や悪影響があることを忘れてはなりません。
先進国の中でも、新規のHIV感染者の増加が懸念されています。梅毒もHIVも性感染症であり、感染症ごとの予防の処方箋はありません。それは、「リスクの高い不特定多数との性的接触を避け、コンドームを適切に使用すること」に尽きるのではないでしょうか。
このような状況下で、再び、性教育や性感染症対策の強化が必要であるのは言うまでもありません。知識や情報のみならず、性行動の責任と相手への思いやりなどについての行動変容のためのコミュニケーション(BCC)が今、さらに必要であることを再認識しなければならないと訴えたいと思います。他人事ではなく自分の問題であるという意識が重要なのです。また予防教育はできるだけ早期の、性交渉を始める前の、年齢から始める必要があることも強調したいと思います。
(2015年12月、東京にて)