引き継がれるパイオニアの「志」

2016.4.22

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1968年(昭和43年)4月22日にジョイセフは発足しました。
今年で48年目。後2年で半世紀、50周年を迎えます。

家族計画分野の国際協力を実施する団体(NGO)として、日本で設立された初めての組織です。当時は、世界の急増する人口問題を抱え「有限の地球」という大きなテーマも背景にありました。しかし、私たちのパイオニアたちは、地球に住む一人ひとりの人間、とりわけ「妊産婦や女性の命や健康を守る」という個人の健康や人権を基礎に考えるミクロからのアプローチを標榜することが中心課題でした。

家族計画を人口増加抑制のための手段として考えるのではなく、ましてや、人口問題の解決を個人に押し付けるべきではないという考え方をもったパイオニアがジョイセフの中核に思想の根源を作っていたのです。たとえば、國井長次郎(日本家族計画協会創立者)や加藤シヅエ(日本の家族計画の母)という多数のパイオニアがジョイセフの理論的な支柱となっていました。

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ジョイセフの創成期には、元内閣総理大臣岸信介や福田赳夫が、初代と2代目の会長を務めました。この二人は、世界の人口問題に懸念を表明した政治家として国際的にも評価されています。1974年に国会議員による超党派の人口問題に取り組む国際人口問題議員懇談会が発足し、当初、ジョイセフがその事務局を務めました。

マクロの視点の賢人たちとミクロの視点で活動を行うパイオニアがジョイセフの活動の基礎を両面から固めていたのです。私たちは、「マクロを見つめミクロからのアプローチ」で国際協力活動を展開しているのだと、先輩達から薫陶を受けました。

われわれの活動は開発途上国の現状を学び、その足元を見つめて、コミュニティの一人ひとりの人間の生活の場で行なわれる住民参加型の家族計画・母子保健推進アプローチで実施する。そしてコミュニティの中心には、妊産婦や赤ちゃん、子ども、女性そして若者がいるという考え方でした。その後も、変わることのない信念に基づき、今日まで私たちはミッションの達成を目指して運動を継続してきているのです。

すでに創立メンバーの多くは亡くなり、その「志」を受け継いだ次世代が、いま、その次の世代を育てる時期に入っています。ジョイセフのスタッフ一人ひとりの持つ理念や哲学は、創立のメンバーと全く異なるものではありません。もしや國井も加藤も生存であれば、若い世代のスタッフと、同根での議論を交わすことができるでしょう。

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  • s-保健所で出産したばかりの農村の女性

ジョイセフの活動は、早50年近くを経過しましたが、これからのジョイセフのミッションは今後も変わることなく、地球家族の問題に取り組む集団として強い絆で結ばれて、世界に羽ばたくチームとして飛躍していくのではないでしょうか。一人ひとりの命を守るという大きな「志」は衰えることなく、着実に引き継がれていくものであると確信しています。

ジョイセフのこれからの進むべき道を、皆さま方のご支援ご協力でさらに力強く切り開いてまいりたいと思っています。どうぞ引き続きご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げます。

(ジョイセフ常務理事・鈴木良一・2016年4月、東京にて)