進化するワンストップサービス地区

2016.12.2

  • 実施レポート
  • ザンビア

マサイティ郡ムタバ地区の進展

ワンストップサービスサイトの第1号(2015年9月3日開所)であるムタバ地区を10カ月ぶりに訪ねました。助産師や運営委員会の皆さんが迎えてくれました。この地区には、大きな進展が5つありましたので、紹介します。

① ムタバ地区が看護師教育のトレーニングセンターに格上げされました

ムタバ地区が、看護大学の実地研修の場として格上げされました。6月~12月の間に3週間滞在コースで1グループ10人が研修するカリキュラムです。実地研修施設としての役割も加わり、ムタバ保健センターの責任も増えてきています。それによって現在働くセンターの職員はさらにインストラクター(指導者)としての資質を磨く絶好の機会となったと考えます。人に教えるには教わる人よりも勉強しなければならない。このことは現場の保健従事者の能力の向上を伴っていると、男性助産師が嬉々として語ってくれました。3年間の看護教育を受けた看護師が各現場に派遣されています。センターでの技能訓練が他の地域でも応用されていると思うと、その広がりに感銘を覚えるほどです。すでに今年だけで135人の看護師が実地教育を受けたとのことです。

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② マタニティハウス(出産待機ハウス)のキッチン(台所)が村の運営員会の人びとが中心となって建設されています

ハウスの付属施設として入所者が自らで食事作りのできるキッチンが増設中です。ハウスに寝泊まりする妊婦さんたちが自分で料理を作るためのスペースとして活用することになります。この建物の材料や人力も地区運営委員会の音頭で村人たちが協力してつくられています。この3カ月間の入所者数は、9月が16人、10月が11人、11月が半月で8人という実績です。

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③ 助産師等の保健医療人材の配置が充実してきています

6月に助産師(男性32歳)が派遣され充実されてきています。ザンビアでは男性の助産師が最近特に増えてきていると聞きました。彼と、2015年着任した看護師1名、新しくクリニカルオフィサー(上級看護師)1名が増員されており、態勢が徐々に充実してきています。また、研修センターとなったことで、チームワークも強化されたと聞きました。

④ 州・郡保健局から救急車が配置されました

プロジェクト開始早々からの念願であった救急車が、ついに州・郡保健局によって2016年7月に運転手つきで配置されました。これで第3次医療施設のンドラ州立病院へのレファーラル(照会)が1時間ほどで可能となりました。24時間の配置がいかに安心感を持てるかということを、助産師が語ってくれました。

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⑤ 地区運営委員会によるマタニティハウスの自立運営のための収入創出活動の成果が出てきています

マタニティハウスの維持管理はムタバ地区の運営委員会に委ねられています。そのための維持管理費の捻出が運営委員会の責任となっています。以前より委員会では、収入創出活動によりその費用を生み出すことを計画していました。最近の成果では、養鶏やヤギの飼育によって、少しずつ実効が出てきているとの報告を受けました。養鶏は着実に収入につながっているとのこと。またヤギの飼育では10頭がそれぞれ1年間に2回、それも2頭ずつ産んでくれて、合計40頭の生産ができたとのことです。村人からの寄附を資本金として始めました。ヤギは1頭200クワチャ(約2千円)で、10頭分で2000クワチャ(約2万円)。それが、8000クワチャ(約8万円)の増収となっています。養鶏もヤギ飼育も放し飼いで餌代はかからないと皆さん笑っていました。また今後の計画では、コミュニティの小さな雑貨屋(ショップ)を運営委員会で起業することも話し合っていると嬉々として話してくれました。次の機会に新たな発展を聞くのが今から楽しみです。

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マサイティ郡カンボア地区で自助努力の成果を見る

コンゴ民主共和国国境と最も近いプロジェクト地区のひとつであるカンボア地区ではさらなる進展を見ることができました。本プロジェクトの直接経費ではなく、地区運営委員会の主導で村人が立ちあがって作られたマタニティハウスがそれです。ムタバ地区で建設されたハウスを見たカンボア地区運営委員会の人びとが自らの力で、地区の古い建物を村人総出で変身させました。村人により壁にペイントを施し、ハウスを10月についに完成させたのです。室内には、妊婦用のベッドが5つあり、まずは最初の受入態勢を整えたところです。今後は、キッチン(台所)やトイレやシャワールームなどの拡張をしたいと運営委員会のムアンガ議長(村の長老)は熱意を込めました。プロジェクトからはペンキやペインティングの指導技術スタッフを派遣し、壁の母子保健向上のメッセージ内容は2日間のワークショップで、自ら決めて総出で描きました。村人の自助努力によって完成したマタニティハウスとなりました。完成したハウスを見ながら、今後の夢はさらに膨らんでいます。これからの展開が楽しみです。

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(ジョイセフ常務理事・鈴木良一、2016年11月、ザンビア・コッパーベルト州にて)