ジョイセフ支援者の皆さまへ ― キャンペーン「I LADY.」へのご批判と今後について ―
2017.4.24
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このたび、支援者の皆さまには、キャンペーン 「I LADY.」に関して大変ご心配をおかけしましたことを心よりお詫び申し上げます。その後も変わらずのご支援・ご協力を賜り、深く感謝しております。数々の叱咤激励のお言葉をいただき、ジョイセフは支援者の皆さまとともに、世界中すべての人々がセクシュアル・リプロダクティブヘルス/ライツを享受できる社会を目指したいという強い思いを新たにいたしました。
改めてI LADY.についてご説明いたします。途上国の女性支援、特にセクシュアル・リプロダクティブヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)の分野における支援を約半世紀にわたり実施してきたジョイセフが、日本で初めて立ち上げたキャンペーンがI LADY.です。ウェブサイトを立ち上げた2016年3月3日より、始動しました。
日本は世界最長寿の国のひとつであり、保健医療の環境には恵まれています。それにも関わらず、ジョイセフは、広報活動を続けていく中で、日本のとくに若い女性たちの、セクシュアル・リプロダクティブヘルス/ライツに関する認知や理解が必ずしも十分ではない現状を目の当たりにしてきました。
自分の体を知る機会が少なく、女性の体に特有な知識の不足により、大人になってから婦人科系の疾患や不妊、望まない妊娠の結果として人工妊娠中絶の選択に苦しんだり、社会からの「産めよ」のプレッシャーに悩む女性も多く、また女性の性感染症は年々増加しています※。
このように、日本でも課題が多い状況では、途上国や被災地の女性の性と健康(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス)の支援を訴えても賛同、共感を得ることは難しいのではないかと考え、日本でも自分自身のセクシュアル・リプロダクティブヘルス/ライツへの気づきを広めたいとの思いから、このキャンペーンを開始しました。このI LADY.について、2016年11月、ツイッターなどのSNSやメール等で、様々なご批判をいただきました。
※日本で梅毒の女性感染者は5年間で6倍に増えています。(2010年の124件から2015年の763件)
主な批判の内容と対策・改善について
キャンペーン「I LADY.」に寄せられた批判の内容は以下のとおりです。
- プロモーション動画の内容が女性に対する暴力的な行為を連想させ、心理的に傷つき、不快に感じた。
- セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツの問題は女性だけの問題ではない。男性にも普及を図るべきであるのに、ウェブサイトも動画も女性を対象にしている。
- キャンペーンのウェブサイトや動画、広報物に登場する「新・女子力テスト」「真の女子力」という言葉で使われていた「女子力」という言葉は女性蔑視の言葉である。
- キャンペーンのウェブサイトや動画に出てくる情報の出典データが信頼性を欠く(正しい調査方法で抽出していない国際比較のデータを使っている)。
上記の批判を真摯に受け止め、以下のような対応と改善を図りました。
- 批判を受けたプロモーション動画の削除 (2016年11月)
- 社会学、ジェンダー、リプロダクティブ・ヘルス、性科学の専門家に相談、ヒアリング (2016年12月~2017年2月)
- 朝日新聞にI LADY.キャンペーンに関するジョイセフの見解を掲載(2017年1月)
- 「女子力」という言葉の使用を中止(2017年1月)
- 信頼性を欠くと指摘を受けたデータを、信頼できる出典によるでデータに修正(2017年3月)
- 男性誌とのタイアップ企画など、男性への普及に努める(2017年3月)
- 以下のスーパーバイザーによるウェブサイトの記事内容監修(2017年1月スタート)
スーパーバイザー
北村邦夫/産婦人科医
小堀善友/泌尿器科医
早乙女智子/産婦人科医
早田輝子/内科医、循環器専門医、日本医師会認定健康スポーツ医
宋美玄/産婦人科医
高橋幸子/産婦人科医
対馬ルリ子/産婦人科医
中村格子/整形外科医、スポーツドクター
種部恭子/産婦人科医※今後は、ジェンダー、人権問題、男性やLGBTの性、多様性に関する分野に精通する専門家にもスーパーバイザーに加わっていただきます。
キャンペーンの名前の由来でもある、Love Yourself(自分を大切にする)、Act Yourself(自分から行動する)、Decide Yourself (自分で決める)・・・ 世界中のすべての女性が自分の人生を自分で決められるようにとの祈りを込めたI LADY.のキャンペーンは、開始から1年が経ちました。このキャンペーンを通して、まず日本の若い人たちが自分の体や性を意識し、セクシュアル・リプロダクティブヘルス/ライツの重要性を理解し、ひいては途上国の女性の健康問題にも目を向け、一緒にアクションを起こすことができると期待しています。グローバルな視野に立って、ジョイセフならではのキャンペーンを展開することで、日本と途上国の女性双方のエンパーワメントを同時に目指していきます。
皆さまには引き続きご理解とご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。