ザンビアに第4号目のワンストップサービスサイトが完成
2018.12.10
- レポート
- ザンビア
2018年1月から開始された「ワンストップサービスサイトによる生涯を通した女性の健康づくりプロジェクト(2018~2021) *」により、第4号目となるワンストップサービスサイトが、マサイティ郡ンジェレマニ地区に完成しました。
11月10日(土)のオープニングセレモニーには、待ちに待ったこの日を祝うため、1000人を超す人々が参加し、式典を盛り上げてくれました。また、テレビニュースでも取り上げられました。
式典には、駐ザンビア日本国特命全権大使、村のチーフ(伝統的行政区の首長)、国会議員、保健省そして国際家族計画連盟(IPPF)アフリカ地域事務局、ザンビア家族計画協会(PPAZ)、コッパーベルト州保健局などさまざまな関係者がお祝いに駆け付けてくれました。
駐ザンビア日本国特命全権大使 側嶋 秀展氏
“ここンジェレマニ地区のワンストップサービスサイトが、ザンビアのユニバーサル・ヘルス・カバレッジ促進に向けた重要な役割を担い、日本とザンビアの友好的な架け橋となることを願っています。”
村のチーフ(伝統的行政区の首長) シニアチーフチワラ
“第1号目のワンストップサービスサイトであるマサイティ郡ムタバ地区では、多くの母子の命が救われています。私の地域で2番目となるこのワンストップサービスサイトは、日本の皆さんからいただいた贈り物です。私たちの手で大切に守っていきましょう。”
ジョイセフ事務局次長 浅村 里紗
“このマタニティハウス(出産待機ハウス)には、住民の皆さんが願いを込めて描いた素敵なメッセージが込められています。ワンストップサービスサイトが中心となり、近い将来、地域に暮らす皆さま、特に女性にとって「この地に生まれてよかった、ここに暮らせて幸せだ」と自慢できる日が来ることを願っています。”
若者の思い
オープニングには、若者ピア・エデュケーターによる“Early marriage(早婚)”に関する詩の朗読と寸劇が披露されました。この日のために練習を重ねてきた若者たちの力強いメッセージに、多くの参列者が心を打たれました。
彼女たちの居場所は台所ではない
彼女たちの目的は結婚ではない
彼女たちに必要なものは、教育です。
私たち若者に教育という機会を与えてください。
母子保健推進員の思い
母子保健推進員も若者ピア・エデュケーターに続き、寸劇を披露しました。妊婦健診に行き施設分娩を選択した夫婦としなかった夫婦のストーリーが展開されました。力強いメッセージに、多くの参列者が笑いと涙に包まれました。
住民が心を込めて描いた作品
ワンストップサービスサイトのシンボルの一つであるマタニティハウスとユースセンターのペインティングワークショップでは、母子保健推進員や若者ピア・エデュケーターにより、妊娠、出産、家族計画に関わるメッセージや色鮮やかな絵が真っ白な壁に描かれました。今年のマタニティハウスのテーマは、「妊産婦さんを守るための私たちの使命」。今回は、地名であるンジェレマニ(NJELEMANI)のアルファベット一つひとつに意味を込めてメッセージを描きました。
N=Nutrition (妊産婦さんに栄養の大切さを伝えよう)
J=Join(さまざまな人々が参加する機会を作ろう)
E=Education(啓発教育活動を進めていこう)
L=Long term Family Planning(家族計画を広めよう)
E=Empowerment(エンパワーメントしよう)
M=Male involvement(男性が出産や家族計画へ積極的に参加する環境を作っていこう)
A=Antenatal Care(ANC)(産前健診の早めの受診を促そう)
N=Network(ネットワークを広げよう)
I=I(I(私が)この使命を果たします)
- 完成したマタニティハウス
- 男性参加と産前健診について描いた壁画
ワンストップサービスサイトに新たな命が
ワンストップサービスサイトがオープンして3日後の11月13日早朝に、初の赤ちゃんが誕生しました。
今回8人目となる女の子を出産したシーラさん(34歳)。
母子保健推進員のジェニファーさんに付き添われ、ンジェレマニのクリニックにやってきました。
ワンストップサービスサイト初の出産と聞いて、とてもうれしそうに語るシーラさん。
シーラさんは、この施設から8キロ離れたピンタ村から車を借りてやってきました。
17歳の時に第1子を自宅で出産し、その後はすべて施設での分娩を選択しました。
これまで2回の産前健診を隣接するコンゴ民主共和国で、その後はこの施設で4回の産前健診を受診しました。
ンジェレマニに実家があるとのこと。そこでその地区で活動するジェニファーさんと出会ったそうです。
付き添ったジェニファーさんは、「ンジェレマニにマタニティハウスが完成して、とてもうれしいです。」と語ってくれました。
ンジェレマニ地区のワンストップサービスサイトでは、施設の増設とともに、保健医療従事者が2名から6名に増えました。また、施設の開所に向け、住民自らが資金を集め、クリニック用のトイレを新設しました。
地域運営委員、母子保健推進員、若者ピア・エデュケーターが集まり、施設管理委員のメンバーを選出。さらに、施設管理委員の役割やチェックリスト(施設見回りの際の確認ポイント)などを作成しました。今後は、この施設管理委員会がワンストップサービスサイトの施設の維持、運営管理を行います。
*外務省NGO連携無償資金協力の委託事業