ザンビア スポーツが伝える「女性のリーダーシップ」とは
2019.4.3
- レポート
- ザンビア
太陽が輝く青空の下、若者ピア・エデュケーター女子20名がスポーツを通して、リーダーシップやファシリテーションスキル、そしてチームワークの重要性を学びました。
ザンビアの農村部では、若者の女性がスポーツをする機会は男性に比べて少ないのが現実です。最近は、学校やクラブでサッカーやネットボールなどが行われていますが、家の手伝い、そして両親やコミュニティの理解が低く、スポーツができる環境はまだ整っていません。
若者の女性が、コミュニティの若者のリーダーとなり、10代の妊娠や早婚、性感染症、ジェンダーに基づく暴力などの思春期保健の課題に関わり、女性をエンパワーすることはとても重要です。ジョイセフは2019年2月、スポーツを新たな切り口とし、スポーツを通して女性をエンパワーする現地NGOであるNOWSPARの協力の下、女性のリーダーシップ研修を首都ルサカとプロジェクト対象地で実施しました。
首都ルサカでのリーダーシップ研修
2018年に養成したマサイティ郡の若者ピア・エデュケーター60名の中から女子6名を選出し、首都ルサカで3日間のリーダー研修を実施しました。ルサカからの若者女子14名と一緒に参加し、スポーツやゲームを通して、コミュニケーションの重要性、チームワークの構築、ファシリテーションスキルを学びました。英語や現地語の言葉の壁に、最初は意見を言うことも少なかった6名の参加者は、他のピア・エデュケーターから様々な刺激を受け、そしてNOWSPARのスタッフからファシリテーターとしての心得を学び、最終日には、お金の価値、職業の選択、月経についての発表をしました。
ルサカでの学びを共有
ルサカの研修を終えた若者女子6名は、マサイティ郡に戻り、他のピア・エデュケーターに「スポーツを通した女性のエンパワーメントワークショップ」に参加したルサカの学びを共有しました。
このワークショップでは、専門家の立場から順天堂大学の野口亜弥さんが、「スポーツとジェンダーのエンパワーメント」に関して講義をしました。野口さんは、プロサッカー選手としてスウェーデンで活躍し、現在は、順天堂大学で女性とスポーツの研究活動を行っています。野口さん自身のサッカーでの経験を通して、女性がスポーツをすることの大切さ、そしてスポーツの可能性について語ってくれました。
今回参加した感想
野口亜弥さん
順天堂大学 スポーツ健康科学部助手/女性スポーツ研究センター研究員
スポーツを通じた少女のエンパワーメントプログラムに大きな可能性を感じた1週間でした。特にレクリエーションが少ない農村部において、スポーツは楽しく、全員が参加でき、アクティブに体験的に学ぶことができるツールとなりました。ジョイセフのように妊娠・出産に関する専門的な知識をより深く伝えられる団体と連携することで、スポーツプログラムだけでは包括できない深い知識まで体験を通して学ぶことができ、スポーツプログラムの高い効果を感じることができました。スポーツプログラムを実施したファシリテーターは、参加者と年も近く、少し年上の身近な存在がロールモデルとなり、参加している少女たちにパワーと勇気を与えていたようです。貴重な機会をいただきありがとうございました。
ワークショップ最終日には、若者ピア・エデュケーターがファシリテーターとなり、コミュニティの若者や伝統的リーダーなどを招待し、スポーツ大会を実施しました。
今回の研修で、リーダーとして自信をつけた若者女子ピア・エデュケーターは、自分のコミュニティで、レクリエーションやスポーツ、ゲームを取り入れた新しいセッションを企画しています。思春期保健に関わるさまざまな知識や情報が、スポーツやレクリエーションを用いることによって、チームで楽しみながらともに学べることが期待されます。
■参加者の声
研修に参加した若者ピア・エデュケーター
メモリーさん(17歳)
サッカーというスポーツが何かを伝える、教えるというツールになることは知りませんでした。また、一人ひとりが違う考えや意見を持っていることを学びました。今後は、自分のコミュニティにいる多くの女性へ向け、今回学んだことを伝えたいと思います。
NOWSPAR職員
ファティマさん
今回の研修では、コミュニケーションや自信を持つこと、チームワークなどリーダーとして必要なスキルを若者の女性が学び、自身のコミュニティで実践できることを目的としました。女性がリーダーシップスキルを持つことにより、人生の選択をする上でより良いものを導いてくれ、さまざまな形で社会の変化に貢献してくれます。スポーツは、とても重要なツールの一つだと思います。スポーツをするとき、自分の身体や感情などといったものをどうやってコントロールしていくべきかを知れますし、さらに自信に繋げてくれます。また、とても楽しく身体を使うことにより、若者の女性が普段できないスポーツを体験できることもメリットです。私は、ファシリテーションをしていて、言葉や知識といった壁を恐れず、若者女子が、自分自身の感じていることを自由に表現するのを見るときはとてもうれしい瞬間です。
*この事業は、Sport for Tomorrowの認定事業です。