西日本豪雨で被災した岡山県で、「被災ママ茶話会」を開催
2020.1.10
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2018年7月の豪雨被災から1年5カ月が経ちましたが、倉敷市真備の町並みはまだ完全には復旧されていません。今回、茶話会を開いた児童館も元あった場所には戻れず、被災した別の行政施設の3階に間借りした形で再開して現在に至っています。
とはいえ、復旧は少しずつでも進んではいるようです。前回(2019年8月)、同じ場所で「ほっとママサロン」を開催した時には、1階の正面入り口は水没した施設の修復中で、先に修理された隣の建物から連絡通路を通って入館していましたが、茶話会を開催した12月20日には1階部分も修復され、正面入り口から入ることができました。
託児は生活再建に不可欠、受け入れが決まらず悩むママも
参加者から、今後に向けての備えや課題、悩みを聞くことができました。その中から、いくつかご紹介します。
「自宅周辺は浸水したことがあるときいていたので、早めに川の反対側の実家へ避難しました。すぐに帰れると思っていたのに数日間戻れず、ようやく帰ったら平屋の家は倒壊していました」というお母さん。災害について地域で語り継ぐことが、早めの避難など、身を守ることにつながることがわかります。
また、「被災後は保育園がなかなか再開せず、仕事に行くことができませんでした」「自宅が被災し、今は実家に住んでいます。真備に帰りたいのですが、今住んでいる総社市で保育園を探せと言われてしまい、真備では保育園が見つかりません」など、お子さんの託児に関する悩みもありました。小さな子どもの世話を引き受けることになりがちなママたちにとって、託児所があるかどうかは日常生活に直結します。地域を限定せずに被災者の保育の受け入れを拡大するような特例措置があると、生活の立て直しもしやすくなるはずです。
一方で、「児童館のような場所が早い時期に再開されたので、他のママたちと話す場になって、助かりました」といった声もありました。被災という異常事態の中で、不安を抱えるママたちが集える場所でもある児童館が大きな役割を果たしたことがわかりました。
子どもたちの様子も伺いました。まだ乳児だったお子さんが何もわからなかったことに安心しているママがいる一方で、小学校の中学年のお子さんを中心に、雨を怖がったり、スクールバスに乗ると吐きそうになったりするなどのケースがありました。また、学校で小学校時代の思い出をまとめようとしたとき、被災にまつわることになってしまうため、「思い出はない」と答えたお子さんもいました。
一方で、今後の災害の備えについては、必要だと思っているが、するべきことが多すぎると感じて、どこから始めてよいかわからない方が多いようでした。同時に、早めの避難を心掛けるという意見もありました。
避難所以外に滞在している人への配慮の大切さ
また、被災者支援についても、改善につながる指摘をいただきました。
今回の支援では、避難所に赤ちゃんのミルクや紙おむつをはじめとした支援物資は届いていましたが、お母さんたちの多くは小さな子どもを連れて避難所にいることが難しく、「みなし仮設」や近くの実家などに避難していました。そのため、避難所で物資をもらうのは申し訳ないと感じて取りに行けなかった」とのこと。物資だけではなく、必要な情報を得るために避難所を訪問するのも気が引けたと話しています。
このご意見を参考に、次に支援を行うときは、避難所ではなく、皆さんが自由に訪問できる児童館などの場所で配付できるよう働きかけていきます。
また、避難所で生活していたお母さんたちの悩みとして、使用後の紙おむつを捨てたくても、一般のごみ箱しかなかったとの指摘もありました。専用のゴミ箱を設置するなど、感染に配慮した対応を、避難所の責任者に提案していきます。
まだ完全には被災前の生活を取り戻せていないお母さんたち。それでも、現状について話し合い、共感してくれる仲間がいることは、心強いと思います。同時に、ジョイセフの力だけでは解決できない課題が多いことを改めて学びました。そんな中で、つかの間でも安心できる場所を提供できていれば幸いです。
*今回の企画は、千疋屋総本店(デーメテール千疋屋)のご協力により実現しました。