30歳未満の若者たちが、国会議員と男女平等参画について意見交換
2020.12.14
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#若者の声届いていますか 国会議員に直接訴え
ジョイセフの支援の下、30歳未満の若者世代が第5次男女共同参画基本計画(以下、第5次計画)のパブリックコメントのために意見を集約した、「#男女共同参画ってなんですか」。集まった意見をまとめて橋本聖子・男女共同参画担当大臣に提出したユース提言は、有識者会議で資料として活用され、論点のいくつかは第5次計画の草案にも盛り込まれています。
政治にもっと若者の声を届けたいという思いから、2020年12月3日、議員会館の会議室に国会議員の皆さまを招き、若者から直接政策への要望を伝えて議論する「#若者の声届いていますか–若者の考えるジェンダー政策–」を開催しました。各政党から出席した国会議員たちは、さまざまな角度からジェンダー政策について訴える若者に積極的に質問するとともに、今後の政策に若者の声をより反映するために協力していきたいとの姿勢を示しました。
意見交換会では最初に、橋本大臣からのメッセージとして「第5次計画に対してユースの皆さんから多くの意見が寄せられ、大臣室でも前向きで率直なお話をいただきました。インクルーシブな社会を実現するために、ユースの皆さんと連携して力を尽くしていきたいと思います」と、若者たちの活動を歓迎する声が紹介されました。
男女共同参画実現に向け、若者自身が政策課題を議論
若者たちからは、ユースの提言やパブリックコメントの内容紹介のほか、ユース世代の関心が高いいくつかのポイントについて詳しい説明がありました。「#男女共同参画ってなんですか」の代表を務めた櫻井彩乃さんは、提言が有識者会議で活用され、就活セクハラ対策や緊急避妊薬のアクセス向上などが専門調査会の第5次計画草案に反映されたことを歓迎する一方で、あくまで「検討する」という表現にとどまっていることから、実現に向けた働きかけを続けていきたいと強調しました。
IT分野のジェンダー格差是正を目指して活動しているWaffleの田中沙弥果さんは、男性を基準に作られた制度や技術は女性にネガティブな影響を与えやすいことや、工学部の女子学生比率がOECD(経済協力開発機構)諸国のなかで最も低い日本では、女性たちが不安や圧力を受けがちであることを指摘しました。
若者の主導で政策提言を行っているJYPSの高橋理都子さんは、国連が「子ども・若者」という世代を設定し、同世代の意見を積極的に政策に反映しようとしていることを説明。今回の提言の内容が第5次計画に反映されていることで、日本でも若者の声が埋もれていないと実感できたと語りました。
他にも、「若者世代の、特に女性にとって、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)に関する知識は重要だが、日本ではSRHRを学ぶ機会が少ない上、知識が得られても、経口避妊薬など自分の体を守るための選択肢を利用するにはハードルが高い。SRHRの普及を社会問題として捉えて欲しい」、「広告の中のジェンダー表現や、オンラインハラスメントの問題などについて、引き続き提案していきたい」といった意見が上がりました。
その後、参加した若者世代が、自分たちを取り巻く課題についてのリレートークを展開。男性の育児参加・育休取得や、地方への移住・定着、性暴力の被害者保護や、女性以外の被害者への支援、男性・LGBTの相談窓口の拡充、性暴力に対する啓発や望まない妊娠・中絶を避けるための性教育の充実などを訴えました。
若者世代を取り巻くさまざまな問題、議員からの関心も高く
参加した議員からも多くの質問や意見が寄せられました(以下、発言順)。
森まさこ参議院議員(自民党 女性活躍推進特別委員会 委員長兼座長)
「子育てしながら働いてきた女性として、多くの悔しい思いをした。次の世代の皆さんには、もっと楽しく仕事をしてほしいと思い、党内で議論を進めている」
矢田わか子参議院議員(国民民主党 男女共同参画推進本部長)
「かつては企業の採用担当として、工学系女性のロールモデルが見つからない、結婚して姓が変わることで業績の継続性が失われるなどの理由で脱落していくのを見てきた。どうすれば理系の進路を望む女性がその道に進んでいきやすくなるか、当事者の声を知りたい」
矢倉かつお参議院議員(公明党 青年委員会委員長)
「若い世代は、自分だけではなく周りの人たちのことも考えていると感じる。我々が若い人の声を届けるだけでなく、若い人たちが直接、行政の審議会などに参画できる枠組みづくりなどにも取り組んでいきたい」
大河原雅子衆議院議員(立憲民主党 ジェンダー平等推進本部長 )
「今日参加しているユース世代の皆さんには女性が多いが、女性はもちろん男性も生きづらさを感じたことがあると思う。男女両方が抱え込んできた生きづらさを解消していくことが大切」
牧島かれん衆議院議員(自民党 青年局長)
「性教育やリプロダクティブ・ヘルス/ライツについて、若い人たちがどこで情報を得ているのか知りたい。私たちの頃は学校だったが、時代に合った情報発信をしていくことが、必要な人に情報を届ける鍵になると思う」
近藤和也衆議院議員(立憲民主党 青年局長)
「自分では気づいていなかったが、多くの人が不平等だと感じていることがあると教えられた。皆さんと定期的に意見交換をし、私たちもこうした機会を生かして学ぶ必要がある」
古屋範子衆議院議員(公明党 女性委員会委員長)
「皆さんの素晴らしい提言に、心から敬意を表したい。私たちは性暴力被害者の支援体制強化に力を入れている。私たちの側でも皆さんと意見を交換する機会を作り、若い方の意見が反映できる政治にしていきたい」
山添拓参議院議員(日本共産党 ジェンダー平等委員会・副責任者)
「DVや虐待被害、自殺者の増加など、新型コロナウイルス感染症のしわ寄せは女性に集まっていると感じる。この危機を乗り越えた先に、ジェンダー平等な社会を作っていくことが、政治の大きな役割だ。政治分野への女性の参加を増やしていくことも重要だ」
倉林明子参議院議員(日本共産党 ジェンダー平等委員会・責任者)
「パブコメに向けて皆さんが声を上げてくれたことが、政府を動かしていると感じる。皆さんの声を政治の場に反映できるように、皆さんと連帯して取り組んでいきたい」
福島瑞穂参議院議員(社民党 党首)
「私は10年前に男女共同参画担当大臣として第3次基本計画づくりに携わったが、当時は若者の意見を拾えていないと感じていた。緊急避妊薬のアクセス向上について、皆さんの活動のおかげで第5次計画に含まれたことは嬉しい驚き。これからも一緒に、もっと多くのことを変えていきたい」
閉会にあたって挨拶した自民党のあべ俊子衆議院議員(衆議院外務委員会委員長)は、「日本にいる女性大使たちから、『なぜ、日本各地で私たちが会う人は60代以上の男性ばかりなのか』と問われて、返す言葉もなかった。皆さんの意見を拾い上げて、実現可能なものから取り組んでいきたい。いっしょに頑張りましょう」と、若者たちにエールを送りました。
意見交換会では、若者が話すさまざまな課題を、議員の方々が真剣に聞いてくれていたのが印象的でした。出席した議員からは、若者たちとの意見交換の機会に対する歓迎の言葉もありました。
メディアも若者の主体的な活動に注目しており、当日は多数の記者も参加。翌12月4日の朝日新聞の朝刊では、「若者の声 政治家に届け」の見出しで早速、取り上げられました。
今後も、ジョイセフは、若者の政策提言活動を支援するとともに、若者と手を携えてジェンダー平等な社会を実現すべく努力していきます。
若者たちが橋本聖子大臣に提言書を手渡したことについては、こちらの記事をご覧ください。