助産師×NPO連携の好事例が認められ、事業化へ

2021.4.27

  • 東北の女性支援
  • 実施レポート

ジョイセフと連携し、事業化に成功した「ママ・ファースト」の皆さんにその要因を伺いました。

  • 市の特徴として「実施モデル、事業の受け皿」「庁内への説明がしやすい資料や根拠」があると事業化しやすい。ジョイセフとの連携により、実施のための資源も含めた産後ケアの支援モデルができあがり、産後ケア事業の形について、市が具体的にイメージしやすくなったことが事業化の大きなきっかけとなった。
  • 子育てNPOと助産師がそれぞれに市との連携や事業への関わりを深め、信頼を築いてきた。
  • それぞれの実践の場で見える、コロナによるママたちの孤立について声を拾い、相談対応していた。
  • 国や圏域の産後ケアの実施状況を把握し、市への情報提供を行っていた。
  • 専門家と当時者団体の実施により、市財政の厳しさ、マンパワー不足の中でも実施できる体制ともなっている。
  • 市職員が視察に来て、実施状況、安全面、ママたちのケアによる心身の変化を実感した。
  • 新生児訪問担当者(保健師・助産師)との顔の見える連携。
  • 産後ケア事業が他支援事業と連携し、切れ目ない子育て支援の一環であることについて市との共通認識を持つ。

「ママファースト」では、専門家(助産師)と当事者(子育てNPO)それぞれの専門性が好連携した民間型産後ケアとして、切れ目のない子育て支援の入口のハードルを下げることに貢献できました。
ぜひ、この経験が国内の他地域での活動の参考となれば、うれしいです。

最後に、ジョイセフとともに活動してくださった「ママファースト」スタッフのコメントを紹介します。

助産師 本田由美さん

「ママファースト」は、助産師の私がずっと心に抱いていた「ママにしてあげたいこと」と、「ママがして欲しいこと」を、ぎゅっと詰め込んだ玉手箱のようなものです。
ママたちは、ここに来るのをすごく楽しみにしてくれて、帰り際に「あー、また日常に戻っちゃう」と、ちょっと寂しそうでした。
「ママ、休んでいいよ」は、ママファーストのPRに掲げている言葉です。当日サポートするスタッフにも、ケアを押し付けずに、寄り添うスタンスを徹底してもらいました。
アンケートからも「贅沢な時間」「久しぶりに昼間に横になった」「この事業に救われるママがいると思います」など、嬉しい反応ばかりでした。
この事業は、育児サークルと助産師のコラボ企画です。ママの視点と助産師の視点のギャップを埋め、互いの得意分野を出しあいました。それが内容の充実とコスト削減に繋がりました。
石巻管内では、産後ケア事業に行政が立ち遅れていて、先に「ママファースト」で、このような支援が望まれているという具体的な内容を示す形になりました。新聞やNHK等のマスコミにも取り上げられ、「ママファースト」は、石巻市の事業としての継続に漕ぎ着けました。
理想のケアをママたちに届けるにあたり、活動資金が必要になりました。支援をくださった皆さまには本当にありがとうございました。間違いなくママたちに満足いただけたこと、そしてこの先の育児支援に繋げたことを、ご報告いたします。

ベビースマイル石巻代表理事 荒木裕美さん

写真左が荒木さん

予約の時から、「ママファーストの日だけが今の楽しみです」「出産したばかりで名前もまだ決まっていないけど、予約お願いします」などママたちの切実な気持ちが感じられました。
新型コロナウイルスの拡大で産前産後ほとんどを家で過ごしてきたママたちが子どもといっしょに地域につながるデビューの日をとっておきの日にしたいと願い、毎回丁寧にお迎えしました。
ママの体にやさしくて、見た目も嬉しくなるお弁当を作って欲しいという希望に応えてくれた「こさいの森」さんや、産前産後のママに何かできることをとサンプリングや情報提供をしてくれた企業のみなさんなど、この事業を通して新たにママたちを応援するチームワークが広がりました。
「ママファースト」は、何か手立てはないかと考えていた医療と行政と地域の橋渡しになる、いわゆる「切れ目のない支援」を実現させてくれると期待しています。
「ママファースト」で出会ったママたちはその後、育児相談・授乳アドバイスを継続したり、子育て支援センターや児童館の利用、一時預かりの利用、おさがり交換など地域資源を活用したり、中には「ママファースト」でできた仲間と子育てを楽しむ姿も見られます。
毎回たった数時間のサポートが生きる力、育む力、地域力のエンパワーになっています。ありがとうございました!


 
「ママファースト」は、Readyfor新型コロナウイルス感染症:拡大防止活動基金および市民社会からの寄附金を活用し実施いたしました。皆さまのご支援に、心より感謝申し上げます。