正しく「知りたい」HPVや子宮頸がん、ワクチンのこと。3分で簡単キャッチアップ!「HPVってなんですか?」イベントレポート

2022.7.12

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日本の10~20代を対象にSRHR(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ)に関する幅広い情報提供を行い、一人ひとりのアクションのきっかけをつくる プロジェクト:I LADY.では、5月の「女性の健康のためのアクション」国際デーを記念し、オンラインイベントを開催しました。

テーマは、子宮頸がん。

先進国の中では異例で多くの途上国よりも罹患率が高く、また罹患の若年化がすすむ日本の子宮頸がんの現状にフォーカスを当て、その原因であるHPV(ヒトパピローマウイルス)について「知る」「考える」ためのオンラインイベントを約1ヵ月間にわたり実施しました。

1. HPVってなんですか?「知る」ウェビナー

5月25日(水) 19時半~21時

「HPVは一体何ものなのか?」「HPVに感染するとどうなるのか?」そして「予防」のためにできることは何かについて、産婦人科医/I LADY.スーパーバイザーである宋美玄先生にわかりやすくレクチャーしていただきました。

内容を一部ご紹介:

HPVは人から人に感染するありふれたウイルス

性交渉経験のある女性の約80%が、生涯の中で少なくても1回は感染する

デリケートゾーン・外陰部に潜んでいるため、コンドームでも完全には防げない(感染しにくくはなる)

主に性交渉で感染するが、たとえ相手がひとりであっても悪性度の高いHPVを持っていた場合には、子宮頸がんになる可能性がある

男女問わず、HPVは性感染症のひとつ「尖圭コンジローマ」の原因となる

HPVは、悪性度が高いものから異なるものまで無数の種類がある

子宮頸がんワクチンの4価は約7割、9価では約9割の予防効果がある

子宮頸がんワクチンは、女性だけでなく【男性】も罹患する肛門がんなどのいくつかのがんの予防に対しても有効。世界では、公費で男性も接種している。

子宮頸がんは初期症状があるとは限らない

2年に1度の検診と、セクシュアルデビュー前のワクチン接種が望ましい

など

「知る」ウェビナーには、10代、20代の若者をはじめ、親世代、医療、メディア、地方自治体関係者などの幅広い層から79人が参加しました(録画視聴者は202人)。参加者の中には、はじめて「知った」衝撃事実に驚き、ウェビナー後すぐに家族と話し合いを設けたり、ワクチンの接種を検討したり、SNSでシェアしたりと積極的なアクションをする参加者も多く見られ、行動変容がみられました。

参加者の声:(事後アンケートより)

HPVワクチンの正しい情報が知れてほんとによかった。

「事実を知った上で、自分で選択する」とても共感しました

HPVとワクチンについてあまり理解しておらず、なんとなく怖いものという印象を持っていて、母もニュースを見て怖いからワクチンは打たせたくないと言っていましたが、今日の講演を聞いてキャッチアップ制度を利用して、接種券が届いたらすぐに行こうと思いました。すでに性交渉の経験があるので、今までにかかっている可能性もあるし不安ですが、これからの可能性を考え接種しようと思います。

自分の体のことは自分でちゃんと考えて決めないとダメだなと改めて痛感しました、今日のお話は友達とも話せたらいいなと思います。

若い頃にワクチンがあったら打ちたかったなぁと…娘がそのような思いをしなくて済むように対象の年齢になったらワクチン接種をしたいと思っています。

ワクチンで防げるがんを公衆衛生の観点からも男女問わず受けられると良いなと強く思いました。

HPVが子宮頸がんだけの原因ではなく、男性も打ったほうがよいワクチンであること。

尖圭コンジローマが切ってもまた出てきてしまうやっかいな疾患ということに驚きました

2.「知る」「考える」オンラインセッション

宋美玄先生の「HPV」ウェビナーを経て、3週にわたり世代や職種別に「HPV」と「HPVワクチン」について自由に語り合う、オンライン意見交換会を実施しました。
実際にHPVワクチンを接種した方や接種を迷っている方など、さまざまな方々にご参加いただき、活発に意見が飛び交った内容を一部抜粋してお届けします。

【第1部】:HPVや子宮頸がんについて学びたい30歳未満対象

6月1日(水) 19時半~21時

HPVワクチンについて
  • みんな打つものだと思っていた。子宮頸がんのワクチンの知識なかった
  • 親が反対していたので、無料の期間に打てなかった
  • 親に自分の気持ちを伝えて、キャッチアップ接種で打ちたい
子宮頸がん検診について
  • 検診に1度も行ったことがない
     ⇒婦人科にいきづらい、内診が大きなハードル
  • 何もないことがわかることが大事
  • 検診に行くハードルを下げる仕掛けが欲しい
その他
  • 大事だと分っているけど、そもそも婦人科に行きづらい
     病院選びが難しい/待ち時間が長い/若者が行ったら変な目で見られる?
  • 親のSRHRに対する価値観・理解度とのギャップ(情報格差)
     HPVワクチン反対/ピル反対 ⇒親も心配してくれている?どう差を埋めていくか
  • 性別関係なく生理の話などしやすくなっている
  • SRHRの様々なテーマについて同世代(SRHRに関心のない)と話したい
【第2部】:HPVや子宮頸がんについて学びたい30歳以上・保護者対象

6月8日(水) 19時半~21時

ワクチンについて子どもになんと説明する?
  • 打つことは伝えたけど、まだ理解はできてないと思う
パートナーとどう話している?
  • ワクチンを打つことに同意しているが、夫はあまり考えてない
  • 宋先生のレクチャーを受け、夫に「副作用大丈夫なの?」と言われたが、打つメリットの方が大きいと 話したら「打った方がいいね」となった
周囲の人とHPVワクチンについて話す?話さない?
  • ママ友と話したことない。積極的に進めていない時期だったので話す機会がなかった。
  • 接種券が届いたら話してみようと思う。
  • コロナワクチンよりもHPVワクチンを受けさせたいと思っている親が多い気がする。
男性にも関係するガンということをパートナーは知っていたか?
  • 知らなかった。
  • 全く意識してないと思う。
婦人科へ行きにくい問題
  • 婦人科選びの基準が分からない
  • 待ち時間が長い、患者目線ではない、患者の選択肢を広げる提案が欲しい
【第3部】:HPVや子宮頸がんについて情報共有したい医療従事者対象

6月15日(水)19時半~21時

婦人科受診のハードル
  • 高校生が母親と月経困難症などの理由で受診することはあるが、まだまだ最初の一歩にハードルがある
  • 医師の対応によっては、受診者が抵抗を覚えてしまうことがある →自分に合ったクリニックを早めに探しておこう
  • 妊婦検診をきっかけに、はじめて子宮頸がん検診を受ける方も多い中、もっと若い人がかかりつけ婦人科をもつことが大切
  • 婦人科=妊娠してから行くところ、というイメージが大きい、そしてそれは途上国でも同じような傾向がある
HPVおよびワクチンについてどのように伝えたらよいか
  • クリニック内では、厚生労働省がまとめた資料や製薬会社のビデオを教材として使用し院内で研修を実施。それをもとに来院した方にワクチンの意向を聞いたりしている
  • 乳幼児の母親や20~30代の母親たちが接種しているか?どう感じているかをクリニックとしてヒアリングし常に新しい情報を収集している。
  • エビデンスが非常に大切(過去の裏付けの薄い報道で不安をもってしまっている)
  • 検診とワクチン接種の両方が大切である
  • ママたちは、赤ちゃんのことがとても大切。そして赤ちゃんにとってもママが健康であることが大事なんだということを伝えて検診の継続的な受診の重要性を伝えている
課題はなにか?
  • 婦人科受診のハードル
  • 自分から情報を見つけにくい
  • 男性の理解が不足している
  • 子宮頸がんや婦人科に関しての話を身近な人とすることに抵抗がある人が多い→気軽に相談できる存在が必要

この回では、HPVワクチンの話だけでなく、ピルを巡る偏見や理解不足についても話題が広がり、SRHRについて正しい情報を知ることの大切さについて意見が交わされました。

正しい情報を知る機会を増やし、予防のためのアクションを

I LADY.では、引き続き子宮頸がんをはじめとする女性特有の疾患について学ぶ機会を増やし、積極的に「予防」の知識を発信し、情報を知った人が一人でも多く、予防のための選択ができるよう働きかけていきます。

また、ジョイセフが運営する、女性・ママや女性の健康のために活動する様々な人々をつなげるオンラインコミュニティ「私のほっとコミュニティ4H(フォーエイチ)」(無料・登録制)では、子宮頸がんをはじめとするSRHRのテーマについて、関心のある方々が自由に発信し、意見交換できる場を用意しています。

今回HPVについて「知る」「考える」オンラインイベントに参加してくださったみなさま、また、参加できなかった方も、4Hでの交流を通してHPVの理解を深め、アクションしていただけるとうれしいです。

https://joicfp.commmune.com/

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