SRHRユースアライアンス 2024年度活動レポート

2025.2.6

  • SRHRユースアライアンス
  • 実施レポート

2025年で発足5年目を迎える「SRHRユースアライアンス」は、30歳未満の若者が集まり、SRHR(性と生殖に関する健康と権利)の推進に向けて、政策提言と若者を中心とした知識啓発の活動を行っています。

2024年、SRHRユースアライアンスは、衆議院選挙や自民党総裁選挙、各自治体の選挙に最高裁判所裁判官国民審査と、社会へ声を届ける機会が多い年でした。

SRHRの視点では、国内外で大きな動きがありました。

  • 緊急避妊薬の一部薬局での試験的販売を開始。
  • 「結婚の自由をすべての人に」訴訟の北海道訴訟・札幌高裁、東京第一次訴訟・東京高裁、東京第二次訴訟・東京地裁にて、現行の法制度が同性カップルの結婚を認めていないことが「違憲」もしくは「違憲状態」と判決。
  • 最高裁判所大法廷にて、優生保護法が「違憲」と判決。
  • 第89回国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)で8年ぶりに日本審査を実施。

一方で、「私のからだは私のもの」ー自分のからだに関することを決められるのは自分だけ、という基本的な人権の1つでありSRHRの根幹を揺るがす動きが、国内外のさまざまな場所で散見された年でもありました。

2024年のSRHRユースアライアンスの活動レポートを、メンバーたちが執筆しました。
 


毎月開催「定例会」

月に一度、オンラインで定例会を開催しています。全国各地にいるメンバーがそれぞれの日々の活動や関心ごと、SRHRに関する国内外の動向について情報と意見を共有し合います。定例会で挙げられた話題やアイデアの中から、メンバー主体で活動内容を決めていきます。(ももか)

また、10月にはジョイセフ事務所でリアル定例会も開催しました!チーム全体での近況報告として、ジュネーブで開催された女性差別撤廃委員会(CEDAW)の日本審査についてや、メンバーのネパールでのボランティア活動体験が報告されました。また、10月27日の衆院選についてメンバーそれぞれどんな候補者に魅力を感じたか共有しました。軽食を食べながら、今後のイベントやアクションのアイデアを出し合い、会話が尽きない定例会になりました(しるさき)

1月~現在まで「同性婚の法制化を後押しするアクション」

メンバーの中から同性婚の実現に興味を持つ人たちが集まり、「同性婚の法制化を後押しするアクション」を始めました!現在の、同性婚を認めない状態は違憲であるとを訴えるために、「同性婚法制化を求める要望書」を執筆し、約500名の国会議員にファックスで送りました。その後、議員からの返事がなく悔しい思いもありましたが、北海道訴訟・札幌高裁で同性婚を認める判決がでたことは、市民団体の努力が実ったと大変嬉しかったです。タイなどアジア各国でも同性婚が認められる中で、日本もいち早く法的な同性婚を実現できるように、これからも努力していきます。
(シェヘラザード)

同性婚の法制化を求める要望書

【おすすめの本紹介】
小説、映画、ドラマなどにおいて、同性婚を初めジェンダーが平等は世界観を、ありのままに示す作品を、アライアンスメンバーが計5回、紹介しました。政策のみならず、人々の生活に自然に、同性婚等の価値観が浸透し、話される日本社会を目指し、実施しました。執筆者のお気に入りは、フィクションの英文学、『A Day of Fallen Night』や、『僕の狂ったフェミニスト』、『アルファ男の条件』です!(シェヘラザード)

2月4日「第1回マリフォーアドボケータ―養成講座」(参加) 

「公益社団法人Marriage for All Japan-結婚の自由をすべての人に」の主催イベントで、婚姻の平等(同性婚の法制化)を実現するために、国会議員へ意見を伝える方法についてお聞きしました。直接伝えに行く場合の練習をデモンストレーション形式で行い、婚姻の平等の実現のために行動していく自信を持ちました。(ももか)

公益社団法人Marriage for All Japan-結婚の自由をすべての人に

3月14日、4月26日「『結婚の自由をすべての人に』訴訟」(傍聴)

3月14日は、東京第二次訴訟・東京地裁判決および北海道訴訟・札幌高裁判決のW判決を迎えた、珍しい1日でした。東京地方裁判所には定員を優に超える傍聴希望者が集い、ユース2名が傍聴に参加。その後の「公益社団法人Marriage for All Japan-結婚の自由をすべての人に」主催の期日報告会にも出席しました。札幌高裁の「違憲判決」を聞いたときは、原告側の主張がすべて認められる結果になり、喜びの声がわきあがりました。一刻も早く同性婚が認められる社会になってほしい、と感じた瞬間でした。(しるさき)


続いて、4月26日の東京第一次訴訟・東京高裁 控訴審 第3回口頭弁論では、ユース2名が意見陳述を聞きに行きました。東京地裁では「違憲状態」の判決が下ったものの、具体的な法整備は立法の裁量だとして訴えを退けられています。原告の方々からは、法制化が進まないことで社会的承認を得られない苦しみが語られました。「人としての尊厳を認めてもらえていない」「家族で孤立している」という切実な訴えに、傍聴席からもすすり泣く声が聞こえていました。10月30日に「違憲」の判決が出ましたが、法制化への動きは牛歩のままです。意見陳述で「時間は命の長さである」という言葉が出ていました。今も時間のみが過ぎていっています。(ももか)

「公益社団法人Marriage for All Japan-結婚の自由をすべての人に」による、東京第一次訴訟・東京高裁、東京第二次訴訟・東京地裁、北海道訴訟・札幌高裁の判決詳細についてはこちら

6月10日「緊急避妊薬院内集会」(発言)

「#緊急避妊薬を薬局でプロジェクト」さんの主催の院内集会に参加しました。パブリックコメントを通して、市民の賛同が示されたにも関わらず、緊急避妊薬のOTC 化のための試験販売がうやむやに中止されていた集会当時の状況に対し、望まない妊娠が防げる緊急避妊薬は、人権を守るという意味で、オプションの政策ではなく、必要不可欠なヘルスケアインフラだと話してきました。喫緊に導入されることを、アライアンス一同、これからも訴えていきます。(シェヘラザード)

#緊急避妊薬を薬局でプロジェクト

7月〜9月「SRHRとジェンダー平等の観点による選挙候補者分析キャンペーン」

7月の東京都知事選挙、9月の自民党総裁選挙、10月の衆院議員選挙など、選挙が目白押しだった2024年。3つの選挙において、SRHRユースアライアンスは「SRHRとジェンダー平等の観点による候補者分析」を実施しました。メディアが取り上げたデータや記事を参考にしながら、「選択的夫婦別姓」「同性婚」「男女の賃金格差是正」「女性活躍推進」「パリテ・クォーター制」「緊急避妊薬」「包括的性教育」などの項目ごとに各候補者の回答を取りまとめ、Instagram、X(旧Twitter)で発信(衆院選はメンバーが住む選挙区の候補者を紹介)。SRHRを念頭に置いたまとめ情報はなかったので、私たちらしい取組みとなりました。(しるさき)

9月27日「SRHRスタンディングアクション」(参加・発言)

JSPN (Japan SRHR Promotion Network:公益財団法人ジョイセフ、#なんでないのプロジェクト、一般社団法人Spring、公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパン)の共催で実施された本イベントに、アライアンスメンバーも参加し声をあげました。他団体の方々の熱い思いに感化されると共に、私達はユースを代表する団体として、ユースの声に耳を傾け、責任を持って今後も発信し続けていく意思を新たにしました。(あいりーん)

11月24日「気候変動とジェンダー ~明日からできるアクションを一緒に考えよう~」

気候変動とジェンダー格差という社会問題の交差点について学ぶトークイベントを開催しました。本イベントはSRHRユースアライアンス初のコラボ企画で、環境インフルエンサーのMiyuさんをお招きし、気候変動とジェンダー格差の関連性や明日からできる具体的なアクションについて分かりやすくお話しいただきました。参加者からは「社会問題を自分ごととして考えるきっかけになった」「明日から行動してみようと思った」など前向きな感想を多くいただき、有意義な機会となりました。(えみり)

12月13日「私のからだデモ」(参加)

厳しい寒さのなか東京駅行幸通りに約300人が集まり、「私のからだは私のもの」というSRHRの大原則について想いを共有しました。11月の米国大統領選挙でトランプ氏の当選が決まって以降、オンラインを中心に女性やマイノリティの人たちのSRHRを含む人権を侵害するような言説が国内外で聞かれるようになりました。会場では怒りの声や連帯を求める声が上がり、SRHRユースアライアンス団体メンバーもスピーチでその思いを伝えることができました。(えみり)

#私のからだデモ

12月14日、12月20日「#ED治療薬より早く緊急避妊薬を薬局で パブコメ関連イベント」

11月26日に、日経新聞でED治療薬「タダラフィル」のスイッチOTC化に関するパブリックコメント開始が報じられたことから、「#ED治療薬より早く緊急避妊薬を薬局で」を掲げ、期間限定キャンペーンを実施しました。緊急避妊薬のスイッチOTC化が進まない中、不均衡な差別が生じかねないと多くの反対の声が上がる中、私たちもタダラフィルのメリットやリスクについて考えを広めるため、インスタライブとオンラインイベントを開催しました。イベントでは、タダラフィルのスイッチOTC化の背景や緊急避妊薬の課題にも触れながら解説し、参加者と共にパブリックコメントを書くことに挑戦しました。また、「#緊急避妊薬を薬局でプロジェクト」が主催したXのスペース配信でも一緒に意見を発信させていただき、連帯の意を示しました。この取り組みを通じて「自分たちの声を上げる」ことの重要性を共有し、社会的な意識を高める貴重な機会となりました。(えみり、しるさき)

#緊急避妊薬を薬局で 緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクト

2025年は、1995年の第4回世界女性会議で「北京宣言・行動綱領」が採択されてから30周年という記念の年です。3月にニューヨークの国連本部で開催される第69回国連女性の地位委員会/北京+30(CSW69/ Beijing +30)では、過去30年間に世界でジェンダー平等がどれくらい進んだか、今後どのように実現に向けて活動していくかが話し合われます。SRHRが基本的人権の1つとして初めて国際的な合意文書の中で言及された「北京行動綱領」。SRHRユースアライアンスのメンバーもニューヨークに向かい、世界中でジェンダー平等に向けた活動を続ける人たちと交流します。現地からインスタライブなども行います。ぜひ私たちの活動にご注目ください!

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