国際女性デー50周年記念 スポーツブランド4社と語る女性の健康・エンパワーメント
【WEBレポート】ホワイトリボンムーブメント

2025.3.25

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2025年3月7日、国際女性デー50周年を記念して、ジョイセフはフェムテックを通して女性のエンパワーメントを応援するイベント「WEHealth」と連携し、パネルディスカッションを開催しました。『健康的なライフスタイルを実現する選択肢 ~Empower myself〜』をテーマに、スポーツアパレル業界を代表する4社が一堂に会しました。

前例のない取り組み

アンダーアーマー、オン、ザ・ノース・フェイス、アシックスという4つの人気スポーツブランドが、それぞれの垣根を超えて語り合う企画は、これまでにない挑戦でした。ホワイトリボンランを10年続けてきたジョイセフが生み出した企画に各ブランドが共鳴し、依頼の際は二つ返事で登壇いただけました。

パネルディスカッションの詳細

ジョイセフ事務局次長 小野美智代がファシリテータを務め、各ブランドから1名ずつ登壇。パネルディスカッションでは、以下のような重要なテーマが議論されました:

  • 女性の運動機会におけるジェンダー課題
  • 各ブランドが取り組む女性のエンパワーメント施策
  • スポーツを通じた女性の自己実現と選択肢の拡大

スポーツを通じた女性の健康と自己実現について、多角的な視点から考察する機会を提供しました。ブランドの枠を超えた対話は、女性のスポーツ参加や健康的なライフスタイルに新たな光を当てる画期的な試みだったと参加者から評されました。

開催詳細
日時 2024年3月7日 11時30分〜12時30分
場所 WITH HARAJUKU
テーマ 『健康的なライフスタイルを実現する選択肢 ~Empower myself〜』

4つのブランドが実践する取り組みと女性のエンパワーメント

1. アンダーアーマー

説明してくださったアンダーアーマーの高見さん

女性向けイベント「Wellness Grow Up」
ヨガやピラティス、ランニングなど、初心者でも参加しやすいメニューを取り入れ、女性が心も体も整えられる場を定期的に提供。「より良くなりたい」というマインドを持った女性たちをサポートするために、様々な取り組みを行っている。

若年層支援の大会やスポーツブラの重要性
高校生女子サッカーチームを招いて、交流戦や体験、学びを提供するイベントを開催。アプリを通じた「UAリワードメンバー」の購入金額の1%を若年層アスリートへ還元するという取り組みを実施。
スポーツブラなど、女性アスリートの身体的ニーズに応じた製品や情報提供も行っており、パフォーマンス面と心のケアの両面をサポートしていている。

2. オン

説明してくださったオンの今村さん

グローバルなジェンダー平等の推進と社内制度
グローバル全体でみると、女性社員の割合が約48%、管理職も約43%と、比較的高い比率でダイバーシティを実現。また、3週間の有給が取得できる「High Five」や、16週間の育児休業給与全額支給など、ライフステージが変わっても働きやすい仕組みを整えています。

初心者でも参加のしやすい「ランニングイベント」
週に2回、5km程度を参加者みんなでゆっくり走るコミュニティ。レンタルバギー(ランニング用ベビーカー)の貸出しもあり、子育て中の親も気軽に参加できると好評です。

3. ザ・ノース・フェイス

説明してくださったTHE NORTH FACEの千葉さん。
今回、ホワイトリボンランの10回目の開催を記念し、THE NORTH FACEとのコラボレーションによる新デザインのTシャツを制作(千葉さん着用)。

女性向けパターン開発とアウトドアへの誘い
“男性用を小さくした”だけでなく、女性の骨格やシルエットに合わせて細部を調整。胸の汗冷え対策や長時間の着用でも快適さを保つスポーツブラなど、アウトドアでの困りごとを解消するための工夫を重ねています。

「SHE MOVES MOUNTAINS」キャンペーン
2019年に女性の挑戦を応援するメッセージを発信するキャンペーンを展開。その後もマタニティウェアの開発やファミリー向けイベントなど、より多様なニーズを拾う活動を続けています。

4. アシックス

説明してくださったアシックスの吉川さん

運動しやすいツール・環境の整備
自社のランニングアプリ「ランキーパー」などで、初心者でも継続しやすいプログラムを提供。性別や年齢、車いすなど多様なバックグラウンドに対応できるよう、マラソン大会のエントリー枠や種目にも柔軟性を持たせています。

女性が運動をやめてしまう理由とは? ~アシックスの調査から見える現状~
アシックスの吉川さんからは、世界40か国以上・約2万5,000人を対象に実施した「女性と運動」に関する大規模調査の結果が紹介されました。

女性が運動を定期的に行っていると幸福感・自信・集中力が高まる
運動をしていない時と比べて、気分やモチベーションが大きく向上することがデータで裏付けられています。

運動をやめる理由のトップは「時間がない」
妊娠・出産、育児や家事、仕事などライフステージの変化で、運動を続けたくても難しくなる女性が多いという現状。一方で男性は「女性は体型や体力への不安でやめる」と考えがちで、そこに男女で大きな認識のギャップがあるといいます。

再開・継続のカギは「身近な女性の存在」と「テクノロジー」
SNSやアプリを使い、運動の記録を楽しくトラッキングすること、そして友人や知人など身近な女性の一声が、大きなきっかけになるとのことでした。

今後に向けて:ブランドの垣根を超えた連携と目標

パネルディスカッションの終盤では、「競合ブランド」という枠を超えて、女性の運動や健康を後押しするためにコラボレーションしていく可能性が議論されました。

国際女性デーをきっかけにしたコラボ企画
3月のホワイトリボン月間の時期に、各社が共通テーマでイベントを実施したり、チャリティと連動した製品を展開したりといったアイデアが飛び交いました。

“自分で選ぶ”がエンパワーメントにつながる
それぞれのブランドの特徴あるウェアやシューズを実際に手に取って、「自分のライフスタイルに合ったものを自分で決める」こと自体が、エンパワーメントの第一歩になるというメッセージも。

15分9秒のマジックナンバー
アシックスの調査によれば、わずか15分ほどでも運動すると気分が上向くといったデータも紹介され、「まずは短い時間からでも運動を始めよう」との呼びかけがありました。

スポーツは女性の未来を切り拓く力となる

「女性が運動を続けるための環境づくり」は、女性自身の健康増進だけでなく、将来的に子どもや家族、そして社会全体の幸福にもつながる大きなテーマです。今回のパネルディスカッションでは、ブランドの垣根を越えて同じ思いを抱く登壇者たちが、「女性のエンパワーメントを支援したい」という熱意を共有し合いました。

今後は国際女性デーのある3月を起点に、各社が連携して新たなチャリティ企画やイベントを開催することも検討されており、さらなる広がりが期待されます。「走ろう、自分のために、誰かのために」を合言葉に、女性はもちろん誰もが健康的なライフスタイルを実現しやすい社会を目指していく――そんな前向きなエネルギーを感じられるイベントとなりました。

ジョイセフとホワイトリボンムーブメントについて

ジョイセフは1968年に日本で誕生した国際協力NGOで、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス・ライツ(性と生殖に関する健康と権利:以下SRHR)を推進し、主に女性が、誰ひとり取り残されることなく健康で、自分の人生を自分で選択できるよう活動しています。かつて戦後の日本でも、不十分な避妊や安全でない中絶によって多くの女性が命を落とす状況がありました。ジョイセフはその経験を踏まえ、望まぬ妊娠を防ぎ、女性の健康と権利を守るための取り組みを続けています。

ホワイトリボンは、すべての女性の健康と人権の大切さを啓発する国際的なシンボルです。大阪マラソン2025を皮切りに、国際女性デーのある3月の月間に開催されるホワイトリボンラン・東京マラソン2025チャリティ・名古屋ウィメンズマラソン2025などの8つの大会が「女性」の健康とエンパワーを願い「ホワイトリボン」で繋がりムーブメントを広げています。

【ホワイトリボン活動の目的】

  • すべての女性が健康で自分らしく生きられる世界を目指す
  • 予期せぬ妊娠や児童婚による教育の機会を奪うことをなくす
  • 性行為や避妊に関してコントロールできず、医療も受けられず、安全でない中絶・出産によって健康や命さえも脅かされる女性たちを救う

国際女性デーのある3月は「ホワイトリボン月間」として、各地のランイベントと連携し、「女性の健康と権利を守ろう」というメッセージを広げています。

“走ること”が支援につながる「ホワイトリボンラン」とは

2016年の国際女性デー(3月8日)に初めて開催したチャリティランイベント。当時、世界では1日約800人の女性が安全でない妊娠・出産や中絶で亡くなっているという現状があり、その数字を「0」に近づけたいと始めました。自分の健康のために走り、参加費や協賛による収益を全額寄付して、世界の女性を支援するという取り組みです。

  • “自分のために走る”ことが、“誰かのための寄付”につながるチャリティラン
  • 国際女性デー(3月8日)を中心に開催し、妊娠・出産で命を落とす女性を減らすことを目指す
  • 収益の全額が支援金として活用され、アフガニスタン・ミャンマー・ザンビアなどの中低諸国の女性支援に充てられてきた
  • 2025年からは日本国内の性教育普及にも支援を拡大

ホワイトリボンランは、こうした意義のもと、年々参加者を増やしながら発展を遂げ、今年で10回目を迎えます。
今年は、2月24日に開催された大阪マラソン2025を皮切りに、東京マラソン2025チャリティや名古屋ウィメンズマラソン2025を含む、合計8つの大会が「女性の健康とエンパワーメント」を願い、ホワイトリボンのメッセージを発信しました。

走ることが、自身の体力向上につながるだけでなく、世界中の女性たちの健康と未来を守るアクションになる。

この思いを胸に、一歩踏み出す人が増えることで、ホワイトリボンムーブメントはさらに広がっていくでしょう。