GIRL meets GIRL College 第2回 染矢明日香氏 やまがたてるえ氏 「Health-知っておきたい身体のこと」
2014.6.3
- 実施レポート
最初に、ジョイセフが国際協力機構(JICA)の委託事業として行う思春期保健ワークショップに参加している海外からの研修生(ナウル、ウガンダ、スワジランド、レソトの4カ国から9名)を迎え、各国の月経教育についてお話を伺いました。
大洋州のナウル共和国では、女の子たちは月経について、70%は友達から聞き、残り30%は親や兄弟から教えてもらうのだとか。日本のように、学校で話を聞くことはないそうです。スワジランドの研修生からは、女の子たちは月経について前もって誰かに教えてもらう機会はほとんどなく、「ある日突然月経がきてびっくりする」という話が紹介されました。「月経がきたとたん、大人たちは男の子とは遊んではいけない、16時にはおうちに入りなさい、と制約を課します。自分の体の変化によって、女の子はこれまで普通にできていたことができなくなります。私もとても悲しくなったことを覚えています」と、自身のエピソードも交えて語られました。
日本では、一般的に小学校中学年になると学校で月経について授業が行われますが、国によっては、そういう習慣がないことなど、海外の月経教育について触れるまたとない機会となりました。
この日の講義は2部構成で2人の講師にご登壇いただきました。
若者への正しい性の知識の啓発活動を行うNPO法人ピルコン理事長・染矢明日香さんと 助産師であり、NPO法人JASH理事として、思春期前後の女の子と保護者向け性教育に力を入れるやまがたてるえさんに、月経や、望まない妊娠を防ぐための正しい知識、そして自分の心と体を愛するために必要なことなどを話していただきました。
染矢さんは第1部の講義の冒頭で、日本国内で起きている事例として、望まれない命と望んでも宿らない命についての話を数字で示しました。年間、日本で行われる人工妊娠中絶は20万件。この数字は、一年間の出生数の5分の1にあたります。そして、望んでも宿らない命は47万件。人工授精で生まれている命は21万件です。
この数字から染矢さんが伝えたかったのは、自分自身の体を知り、守る力を身につけないといけないということ。そのためには、自分の体を知るために必要な知識として、まずは月経のリズムを改めておさらいし、望まない妊娠を防ぐために避妊をパートナー任せにしない重要性を訴えました。
「セックスは、パートナーとより良い関係を築く上で欠かすことのできないコミュニケーションのひとつです。お互いに何をしてほしいか、またはしてほしくないかを伝え合うことは、二人が良い方向に進めるために、とても大切なこと」と染矢さん。また、自分で自分の体を守るために、世にあふれる性情報の中から正しい情報を読み解く力をつけることの大切さをわかりやすく伝えました。
第2部の講義で登壇したやまがたてるえさんからは、月経を心地よく過ごすコツについてお話がありました。28日周期でやってくる月経を億劫、面倒くさいと感じている女性も多い(いや、ほとんど?)ことにふれ、でもほんの少し考え方を変えるだけで、月経がとても楽しくなることが紹介されました。
そもそも月経とは、-命を受ける器でもある-女性の体になくてはならないシステムです。毎月の月経は、このひと月をどう過ごしたかを知る「カラダの通信簿」とやまがたさんは語ります。女性の体と月の満ち欠けの密接な関係や、月経期、排卵期に訪れる体のサインに抗わず、アロマや布ナプキンを使用して、毎月の月経と仲良くやっていく秘訣についてわかりやすくお話してくれました。「月経を通して感覚を養い、自分の心と体と魂を愛してほしい」とやまがたさん。「たくさん笑って、自分自身を感じて、たくさん幸せになると決めてください」と受講生へメッセージを送り、穏やかな雰囲気に満ちた講義を締めくくりました。
2つの講義後は、やまがたさんと染矢さんに、受講生からの質問にその場で答えていただく時間に。「若者の幸せなセックスのために、具体的なことを伝えるべきだと思うが、どう考えていけばいい?」や「性教育=タブーという、既存の考え方に対し、何かできる活動はないか?」
など、積極的な質疑が飛び交い、講師の二人より一つひとつ応答がなされました。
染矢さんとやまがたさんに共通するのは、性の話はもっとオープンに積極的に、楽しくするべきという立場。街には男性視点の偏った性情報があふれていますが、正しい性情報を読み解く力をつけて、信頼関係があって初めて成り立つセックス(コミュニケーション)をしてほしいという持論を展開しました。
受講生からは、
- 「女の子に生まれたことを前向きに、もっと楽しく生活していきたい」
- 「月経についてポジティブな気持ちになれた」
- 「性教育は人間の大事な基礎だと感じた」
など、性について明るく語るお二人に、女性として自信を深め、自分も明るく性を語れるようになりたいという声が多く寄せられました。
その他の講義はこちら
http://www.joicfp.or.jp/jp/2014/03/31/22267/