ミルキーハウス(母子保健棟)が完成しました!
2015.2.2
- 実施レポート
- 企業/行政 連携プロジェクト
- タンザニア
タンザニアのシニャンガ州シニャンガ県にあるムワマカランガ診療所の母子保健棟が、サラヤ株式会社からのご支援により、新たに「Milky House for Mothers(ママたちのためのミルキーハウス)」として建てられました。母子保健棟とは、女性たちが、家族計画や性感染症の相談、産前産後の健診、分娩、そして出産後などに休養や入院ができる施設のこと。元々、この母子保健棟は改修の予定でしたが、あまりにも劣化が激しく、土台から新たに建てなければならないことになりました。
以前の母子保健棟
出産直後に休養を取る産婦
A)天井は抜けてしまっており、屋根裏には、フクロウや大きなハチの巣がある
B)分娩室にあまり日が差さず、木窓を閉じると真っ暗になってしまう
- 【ミルキーハウスができるまで】
ミルキーハウスを建てることは、決して簡単なことではありませんでした。まずは、建築を行う業者の選定も容易ではありません。公平性を保つために、入札方式で大工さんを選定することにしましたが、村人たちのそれぞれの思惑もあり、なかなか合意に達しません。結局、青空会議の中、5時間以上も押し問答し、結果が出たものの、またそれも後日ひっくり返るなど、着工する前の時点から、予測不可能なことが多々起こりました。
そして、着工してからも、ハプニングの連続でした。まず、設計図と見積書に記載されていたドアの数が異なり、予算が変わってきてしまいました。そして蛇口やトイレのタンクなど、次々と不備が出てきました。結局、地元の県保健局や住民たちとの話し合いなどによって決着がつきましたが、ひとつ建物を建てるだけでも、日本とはスピード感も、大変さも想像を超えるものがあります。
- 【現在】
そのような中で、ミルキーハウスは、2014年12月にようやく完成し、現地の県保健局に引渡した後、運用開始しています。
以前は、窓を閉じると真っ暗になる木窓の部屋でしたが、今度はガラス窓が入った建物のため、明るい部屋になりました。タンザニアの村では、このような建物が非常に珍しく、過去に別の村の母子保健棟を改修した際にも、「あのガラス窓がついた建物で出産してみたい」という女性からの声が多く出ていました。恐らくこのピカピカの母子保健棟も、自宅ではなく、施設分娩を推進する上でも大いに役立ってくれるのではないかと思います。
しかしながら、建物だけでは、妊産婦保健の改善には決してつながりません。まずは、なぜ診療所で産むことが大切なのか、自宅で出産をするとどのような危険性があるのか、地域のコミュニティ・ヘルスワーカーが地道に村人たちを啓発してこそ、産前産後の健診率、そして施設分娩率が上がります。また、医療スタッフに対しても、妊産婦や患者たちが来たくなる医療サービスとはどのようなものかというクライアント・フレンドリーサービスの研修も実施しています。(コミュニティ・ヘルスワーカーや医療スタッフの人材育成についてはこちら)このように、物理的環境を整えることと、人材育成を通じて、ジョイセフは開発途上国での母子保健活動を行っています。
ミルキーハウスについては、今後もフォローアップを継続していきます。2015年中にサラヤ株式会社の関係者の方々の現地視察と報告会を実施する予定です。
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※ ミルキーハウスは、サラヤ株式会社の基礎化粧品であるラクトフェリンラボやニュウラ、そしてラクトフェリンラボ スペシャル・コラボリングの収益の一部、そしてジョイセフ・フレンズからのご支援により、建てられました。