7月11日は世界人口デー: 2015のテーマは「緊急時における脆弱な人々」

2015.7.2

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7月11日は「世界人口デー」です。2015年のテーマは、“Vulnerable Population in Emergencies“と国連人口基金(UNFPA)は発表しています。和訳では「緊急時における脆弱な人々」となります。とりわけ社会的弱者として最も影響を受けやすい女性や少女への緊急時の支援が重要であると呼びかけています。緊急時とは、自然災害のみならず、紛争等によってつくられた状況下における緊急時も含まれます。自然災害時において女性の尊厳が守られない事象は、国内外で数多く報告されています。日本で2011年3月11日に起こった東日本大震災の際も女性への支援が遅れたり、女性の視点が支援活動で欠けていたりと、さまざまな教訓がありました。海外においても、紛争や難民などの発生とともに、女性や少女が性的暴力の被害者となり、その結果としての望まない妊娠や性感染症への感染などの報告がされています。民族間の紛争においては、他民族の女性や少女を蹂躙しレイプすることが軍事的戦術のひとつとみなされ女性や少女が最も深刻な犠牲者となります。

女性の尊厳、リプロダクティブヘルス/ライツを含む保健・福祉などの視点で、私たちは、平時のみならず緊急時においても、保護や支援、さらには保健や福祉サービスの提供などに取り組んでいかなければならないと考えます。

2015年3月に仙台市において第3回国連防災世界会議が開かれ「仙台防災枠組2015-2030」が採択さればかりです。世界人口デーの2015年のテーマとして、緊急時における女性や少女が取り上げられたことはまさに時宜を得たものであると思います。さらには、戦後70年の今年、私たちは平和について考え、不戦の誓いを新たにするだけでなく、過去の戦争下における日本国内や近隣諸国において、女性や少女がおかれた状況について改めて歴史を振り返り反省し、それらを教訓として、次世代につないでいく意味からも2015年は重要な年なのではないでしょうか。

女性や少女の健康と権利について、国際社会、各国政府、地域で活躍するNGOが改めて考え確固とした支援体制を構築していくきっかけとしていきたいと思います。そのために今年の世界人口デーに、われわれが今何をしなければならないのか、また、今後何ができるのかを改めて考える大切な一日としたいと思います。

(ジョイセフ事務局長 鈴木良一)

世界人口デーとは

1987年7月11日、ユーゴスラビアで生まれたマテイくんが50億人目の赤ちゃんとして、国連人口基金(UNFPA)によって認定され、当時のデクエヤル国連事務総長が、「マテイちゃんと同じ世代の人々が平和に暮らせるように」と祝福の言葉を贈りました。世界人口が50億人になったことを記念して、国連人口基金(UNFPA)は1989年から、7月11日を「世界人口デー」と提案し、1990年に国連総会で正式に国連デーのひとつとして決められました。


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