住民とのマタニティハウス、ユースセンターづくり
2015.10.10
- 実施レポート
- ザンビア
ザンビア、コッパーベルト州マサイティ郡、コンゴ民主共和国との境界線に近い場所に位置するムタバ地区保健センター地域に、一際目立つ第3号目のマタニティハウス(出産待機ハウス)とユースセンターが完成しました。近隣の都市であるンドラ市から車で約2時間、コンゴからも妊産婦さんが訪れる保健センターのムタバ地区には、電気も水もありません。
マタニティハウスを心待ちにしていた母子保健推進員(SMAG)を含む住民のみなさんと一緒にマタニティハウスワークショップを3日間にわたり開催。「妊産婦さんが笑顔でいるためには何が必要だろう」との問いかけに、皆で話し合い、幸せな家族、男性の参加、妊娠中のマラリア対策、妊産婦さんの栄養など、6つのメッセージに絞り込みました。
マタニティハウス2号で活躍しているSMAGメンバーがファシリテーターの一員として参加し、他のSMAGメンバーをリードしながら、外壁に下描き、ペイント作業、葉っぱなどを活用したスタンプ作業など、創造力体を使いワイワイと楽しく協働作業を行い完成しました。
そして、今回のユースセンターの建設はジョイセフとして初の取り組みです。ザンビアの総人口のうち33%(世界人口白書2014)を10~24歳の若者が占め、10代の若年妊娠や望まない妊娠が課題となっている中、30名の若者ピア・エデュケーター(PE)を育成し、10代の思春期や若者への啓発教育活動を強化しています。
妊産婦のみならず、若者が集まれる拠点を作ろうと、ユースセンターを建設し、一級建築士の遠藤幹子専門家の協力のもと、若者PE16名とともにペインティング・ワークショップを開催。若者に向けたたくさんのメッセージが地域の若者によって外壁と内壁に描かれました。
このペインティング・ワークショップを通して、SMAGやPEのモチベーションやオーナーシップが高まり、マタニティハウスとユースセンターを効果的に活用して、啓発教育活動を積極的に推進していこうという意気込みと一体感が感じられました。
また、開所式の後には、プロジェクト地区運営委員会とともに、どのように施設を運営管理していくかを協議し、世帯ごとに寄付を集めたり、収入創出活動を行おうという動きも出てきています。
安全な水と灯りのもとで出産を
このプロジェクトは、外務省日本NGO連携無償資金協力のほかに、市民社会・企業・団体等による支援・協力のもと活動が推進されています。ワンストップサービス地区に設置された水タンクは、グライドエンタープライズの協力により、フェイスマスクの「ルルルン」のデザインにペイントされ、ランドマーク的な存在となりました。また、ヴィリーナジャパン、資生堂、ルミネの支援により、無電化地域の母子保健棟・マタニティハウス・助産師住居にソーラーパネルを設置し、灯りのもとでの出産が可能となりました。
そして、今回ジョイセフのサポーターであるジョイセフ・フレンズツアーを開催し、フレンズのお二人がプロジェクト地区の視察に訪れ、ペインティング・ワークショップや開所式に参加し、SMAGやピアエデュケーターとの交流を通し、笑顔いっぱいに踊る場面も見られました。
多くの方々に支えられることで、日本から遠く離れたザンビアのムタバ地区でも女性がより安心して安全な出産が迎えられるような環境を整えることができています。この大きな変化の背景には、多くのみなさまの温かいご協力とご支援のおかげがあったからだと確信しております。多くのみなさまのご協力にお礼申し上げます。
(ザンビアプロジェクト担当 船橋 周)