国連機関が「妊産婦死亡の動向1990-2015」を発表
世界の妊産婦死亡数は年間30万3000人、 毎日830人の女性が妊娠と出産で命を落としている
2015.11.17
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- ジョイセフコラム
2015年11月12日、世界保健機関(WHO)、ユニセフ、国連人口基金(UNFPA)、世界銀行、国連人口部により、『妊産婦死亡の動向:1990-2015(Trends in Maternal Mortality:1990 to 2015)』が発表されました。
前回の発表からほぼ2年、改善の兆しはあるものの、地域によっては依然として厳しい現実が突きつけられています。
今回の発表では世界の妊産婦死亡数は、年間30万3000人で、毎日830人と報告されています。2010年の妊産婦死亡数は28万7000人、2013年には28万9000人と微増し、今回も数値としては増えています。
妊産婦死亡率(MMR)では、世界平均で、1990年に出生10万対385であったものが、2015年には216に改善されています。しかし、開発途上国だけを見ると239で、先進国(出生10万対12)の約20倍の割合です。そのうちサハラ以南アフリカが最も深刻で546となっています。
ちなみに1990年の妊産婦死亡数53万2000人と比べると、数では約43%、率では約44%の減少となりました。ミレニアム開発目標(ゴール5)の妊産婦の健康改善でターゲット5.Aで提示された「2015年までに妊産婦死亡率を1990年の水準の4分の1に削減する」には、さらなるチャレンジが求められます。
サハラ以南のアフリカ地域はとりわけ状況が悪く、全妊産婦死亡数のうちの66%にあたる20万1000人が亡くなっており、南アジア地域も22%、6万6000人の大きな数値が報告されています。
妊産婦死亡率が最も高い国は、シエラレオネで1360(2年前の1100からさらに増加しています)、以下、MMRが500を超える20カ国は下表の通りで、すべてサハラ以南の国々です。
依然として妊産婦死亡率の削減が遅れている国々は、経済的にも最貧国のグループで、貧富の差や都市と農村などの地域間格差の大きいところであり、さらには内戦、政治的混乱、またエボラ出血熱などの感染症の影響を受けた国々に多いことも分かります。
一方、妊産婦死亡数の多い国は、人口大国であるナイジェリアとインドです。それぞれ実数として5万8000人と4万5000人で、この2カ国だけで全体の約34%の死亡数を占めてしまいます。
今回の発表を受けて、妊産婦や女性の置かれた深刻な状況は依然として多くの課題を抱えております。ジョイセフは、妊産婦の健康改善のために引き続き尽力をしてまいります。みなさまのご支援ご協力をお願い致します。
(2015年11月、東京にて)
ジョイセフ事務局長
鈴木 良一
妊産婦死亡率が出生10万当たり500を超える国一覧
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- 1. シエラレオネ
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1360
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- 2. 中央アフリカ
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882
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- 3. チャド
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856
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- 4. ナイジェリア
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814
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- 5. 南スーダン
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789
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- 6. ソマリア
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732
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- 7. リベリア
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725
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- 8. ブルンジ
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712
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- 9. ガンビア
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706
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- 10. コンゴ民主共和国
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693
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- 11. ギニア
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679
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- 12. コートジボアール
-
645
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- 13. マラウイ
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634
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- 14. モーリタニア
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602
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- 15. カメルーン
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596
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- 16. マリ
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587
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- 17. ニジェール
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553
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- 18. ギニアビサウ
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549
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- 19. ケニア
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510
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- 20. エリトリア
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501
(すべてサハラ以南の国々である。)
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