「70億人の世界」を考える

2011.11.24

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70億人の世界

今、国連加盟国は192カ国。その国連が、各国や地域の最新の人口統計や推計をもとに世界人口推計(2010年版)を今年(2011年)の5月13日に発表しました。それによると、この10月31日に世界人口が「70億人」になったという予測です。
私が、ジョイセフに入った時は、40億人という大台に乗って3年目でした。1974年に世界人口が40億人に達し、初めての人口に関する政府間会議である「世界人口会議」もこの年に開催されました。
その頃は、人口と食糧、資源、エネルギー、環境などとのバランスで、「人口が多すぎる」のではないかと、研究者、政治家、マスメディアなどが訴えていました。それから37年が経過した今、その人口増への警鐘のトーンは相当下がっているように思えてならないのです。これは私だけの実感なのでしょうか。
人口が70億人という時代に入り、いままさに人口に関連する様々な課題への取り組みが検証されなければならない「新たな時代」を迎えているのではないでしょうか。

日本は人口減少社会へ

世界人口は、1987年の50億、1999年に60億人、12年後の今年にはさらに10億人が増加することになります。世界の人口増加は今後も続き、国連人口部は2025年には80億人に、2083年には100億人を超えると予測しています。
一方、ご存知の通り、国単位でみると日本は2005年から、すでに「人口減少社会」に入っています。いわゆる「超少子化超高齢化社会」といわれています。ここに人口問題の複雑さが分かります。国ごとのとらえ方が異なるということです。よって192カ国ごとに見解の相違があるのではないでしょうか。

多面的な世界人口

世界の人口に関する諸問題はあらゆる意味で、「有限の地球」をもとにして考える出発点のようなものでした。私たちがそのころよく使った言葉では、「宇宙船地球号」でした。それは、われわれ一人ひとりが地球という宇宙船の乗組員であるという考え方でした。まさしくマクロを見つめミクロから考え、行動するというものでした。
そのような背景で、いま私たちがどのようなアクションができるのか。70億人のアクションが国連人口基金(UNFPA)を中心に世界的に提唱されています。しかし、、超少子化超高齢化の日本では残念ながらあまり浸透していないようにも思えます。

一人ひとりのできること

今日は、少し「ミクロ」から離れた視点でお話していますが、ジョイセフは一人ひとりの視点に立った「ミクロ」からのアプローチをとってきています。地球を支える192カ国(乗組員であり、国連では発言権を持っています)が、人類の将来をしっかりと考え行動することが必要なのではないかと思います。まさに世界的なビジョンやそれを推進する政治力とリーダーシップを、改めて各国のリーダーに求めたいと思います。
日本のリーダーには、国際社会の主導的一員として、自国の問題や課題のみに拘泥するのではなく地球を単位としたリーダーシップを発揮していただきたいと思っています。
いま、70億人を迎えた人類にとって記念すべき年に、私たちは改めて、「宇宙船地球号」と乗組員である国のリーダーの責任、また一人ひとりの乗組員のできることを、考えてみるべきではないでしょうか。
(2011年11月、東京にて)