ワンストップサイトによる生涯を通した女性の健康づくりプロジェクト

すべてのプロジェクトザンビア母子保健プライマリヘルスケア / 地域保健強化ヘルスプロモーションライフコース・アプローチ3.すべての人に健康と福祉を17.パートナーシップで目標を達成しよう

プロジェクト名 ワンストップサイトによる生涯を通した女性の健康づくりプロジェクト
実施国 ザンビア
活動の目的 プロジェクト対象地域において、若者や妊産婦を含む女性の生涯を通した保健サービス利用へのアクセスが増加する
実施地域 マサイティ郡、ムポングウェ郡、ルフワニャマ郡
対象人口 343,536人(マサイティ郡140,452人、ムポングウェ郡105,000人、ルフワニャマ郡98,084人)
実施期間 2018年1月~2021年1月
スキーム等 外務省 日本NGO連携無償資金協力
共同実施機関(現地) IPPFザンビア(ザンビア家族計画協会:PPAZ)
マサイティ郡保健局、ムポングウェ郡保健局、ルフワニャマ郡保健局
背景 ザンビアでは農村部の貧困率が高く、妊産婦死亡率は2010年以降改善があまり進んでいません。プロジェクト対象地区であるコッパーベルト州マサイティ郡、ムポングウェ郡、ルフワニャマ郡は農村部に位置しており、母子保健を含む保健サービスへのアクセスが困難な地域です。農村地域での施設での出産の割合はザンビア全体で56.3%と、都市部の88.9%と比較すると低く、合併症が起きても保健施設やレファラル(照会)先の病院まで緊急搬送が間に合わず、出血多量や感染症などで亡くなるケースも生じています。また、妊娠や出産、家族計画、性感染症などに関する適切な知識・情報が不足しており、保健サービスの利用促進が進まない理由の一つになっています。全人口の59.5%が20歳以下であり、若年結婚、十代の妊娠、望まない妊娠/出産も課題で、若者や親世代を中心に住民への思春期保健に関する啓発教育活動の強化が求められています。
主な活動
  1. ワンストップサービスサイトの設置・整備:1年次には、マサイティ郡ンジェレマニ保健センターを拠点に、母子保健棟・マタニティハウス・ユースセンター・助産師住居・水タンク・渡り廊下の建設、基礎的医療機材・医薬資材を供与しました。2年次は、ルフワニャマ郡ミベンゲ保健センターを拠点に、マタニティハウス・ユースセンター・助産師住居・水タンクの建設、基礎的医療機材・医薬資材の供与をします。
  2. 生涯を通した女性の健康づくりを目指し、若者や妊産婦また女性特有の疾病(乳がん、子宮がん)の早期発見のための啓発活動を強化します。郡保健局・郡教育局との連携のもと、学校及びコミュニティで、月経教育と統合させた少女の能力強化に向けた活動を行います。
  3. 地域保健ボランティアの活動を継続、発展させるために、前事業で制作した母子保健推進員(SMAG)ハンドブックを活用するだけでなく、新たに、若者ピア・エデュケーター(PE)ハンドブックを制作し、保健省と連携し、研修教材としての活用を目指します。
  4. 事業の持続発展性に向け、郡保健局スタッフや保健医療従事者への指導者研修を行うことにより、母子保健推進員や若者PEへの「行動変容のためのコミュニケーション研修」を彼ら自身が実施し、継続的にモニタリングし、ボランティアの活動を支援していけるよう能力強化をします。
  5. SMAGや若者PEの活動モデル地への相互視察訪問や好事例・教訓を共有するワークショップを開催し、住民同士で学びあうことで住民の主体性と能力強化を図っていきます。
  6. プロジェクトの持続性のためのコミュニティ主体による収入創出活動で、元シニア海外協力隊員(塩野義製薬所属)と連携します。効果的なマーケティングの方法や収入支出計画などの技術的な支援を受けるなど、企業のノウハウを活かした連携を推進し、ワンストップサービスサイトを拠点にしたコミュニティの予防活動としての健診促進や女性特有の疾患に関する啓発のための教材づくりなどを実施します。
現地からの声 ワーナ カレグワ(Waana Kalegwa)、ルフワニャマ郡ムクトゥマ地区の助産師

クトゥマ地区の保健センターに配属され2年半が経過しました。2018年からこのプロジェクトで養成されたSMAGと若者PEが活動を開始し、特に早期に産前健診を受けにくる妊婦が増えました。

先日、SMAGがある妊婦の出血をすぐに発見し、迅速に病院へのリファーラルができ、妊婦の命を救うことができました。残念ながら、生まれた赤ちゃんは亡くなってしまいましたが、もしSMAGの発見が遅ければ、母子の命を奪う結果となっていました。私たち保健スタッフは、人数も限られており、地域でどのような課題があるのかを知ることがとても困難です。しかし、SMAGと活動を行うことにより、地域でのさまざまな母子保健に関する課題が共有され、その課題へ向けた取り組みが具体的に話されるようになりました。
現在では、地区の保健委員会とともに、ザンビア森林協会からの支援により、マタニティハウスの建設がスタートされています。
       
「私たちの地域では、自宅から保健施設までの距離が原因で、未だに自宅分娩が行われています。このマタニティハウスが完成すれば、多くの妊婦が安心して出産まで滞在できる環境が整います。ワンストップサービスサイトが同郡に設立され、私たちの地域でもマタニティハウスを建設したいという住民の願いが強くありました。来年の完成予定へ向け、住民とともに自宅分娩ゼロを目指していきたいと思います。

学校で一緒に保健活動を行う若者PEと

マタニティハウスの建設予定地にて(基礎部分までが完成)