2019年12月17日に発表された世界経済フォーラム(WEF: World Economic Forum)による19年の「ジェンダー・ギャップ指数」(the Global Gender Gap Report 2020)。日本が前年の110位から順位を下げて153カ国中121位に甘んじたというニュースは、「予想通り」の結果であったと、ジョイセフは考えています。
世界全体では、18年時点で108年掛かるとされていた男女格差の完全解消までの期間、99.5年に縮小したそうです。その主な要因は、世界的に女性の政治参加が著しく進んだからだと報告されています。では、日本はどうでしょうか。
日本が大きく順位を下げた理由のひとつは、相変わらず女性の政治参加度の低さです。WEFの評価対象時期は2019年1月ですから、現在2人いる女性閣僚の数が評価当時は1人。そのため、今回、政治分野の順位は144位で、みごとにワースト10に滑り落ち、世界最低の水準と評価されました。また、19年3月発表の列国議会同盟(IPU)の報告書による日本の衆議院議員に占める女性比率は10.2%、193カ国中165位でした。閣僚が2人となったことは、喜べることではありません。政策決定の場に、女性の声が反映される状況ではないのですから。世界基準から見た日本国内のジェンダー格差は深刻で、世界の格差解消への歩みの足を引っ張っています。
ジェンダー・ギャップ指数
2019年の日本の状況
グローバル・ジェンダー・ギャップ指数(The Global Gender Gap Index:GGGI)とは、 世界経済フォーラムが、毎年発表している、世界男⼥格差指数。各国を対象に、政治・経済・教育・健康の 4 部門について、男⼥にどれだけの格差が存在しているかを分析してスコア化し、そのスコアを元に各国の男⼥平等の順位をつける。(指数は⼥性/男性で算出、平等なら1、最低は 0)
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分野 ギャップ指数 順位 政治 0.049 144位 経済 0.598 115位 教育 0.983 91位 健康 0.979 40位 総合 0.652 121位
数々の課題を抱える厳しい環境の日本ですが、18年は、教育の世界でも女性であるために医学部から締め出されるというほぼ慣習化されていた差別的状況が明るみに出て、改善を迫られました。#MeToo、#KuToo などの運動の盛り上がりは、当事者の女性だけでなく、ジェンダーを超えた共感の声も集めています。声を上げれば遠くまで届く環境が整いつつあるのではないでしょうか。徐々にですが、法整備も進んでいます。「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」の施行によって、19年3月の統一地方選挙では、わずかながら女性候補者が増えました。
持続可能な開発目標(SDGs)は、ジェンダーの平等と女性のエンパワーメントが実現されない限り、達成できません。そして、ジェンダーの平等と女性のエンパワーメントの実現には、ジョイセフが推進するセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)の実現が不可欠です。今回の評価が突き付けた、言い逃れの余地などないジェンダー面での後進性を直視する以外に、改善の道はありません。
まもなく2019年が終わります。新しい年に向けて、私たちジョイセフは、この順位をバネにして前進する努力を続けていきます。
- Author
山本 あつし
ジョイセフ デザイン戦略室 チーフクリエイティブオフィサー。ジョイセフのWEBサイトの管理や更新を行っている。ザンビアのプロジェクトではマタニティハウスのペインティングワークショップのサポートを担当。