思春期の若者
思春期の若者(国連の定義では10-19歳)の人口はかつてないほど増えています。全世界で12億人、世界人口の6分の1が思春期の若者です。その数は2050年まで、とりわけ10-19歳人口の90%近くが住む低中所得国で増え続けると予測されています。*1
開発途上国15-19歳の女子の間では、毎年少なくとも1000万件の望まない妊娠が、起きています。その原因の一つが性暴力です。性暴力は世界中にまん延しており、一部の国では、最初の性行為が他人に強制されたものだった女子の割合が3人に1人を超えているという報告もあります。
十分に育っていない思春期の女子が妊娠すると、母親になる女子本人にも、その子どもにも、大きな健康上の問題が発生します。世界では毎年、15-19歳の女子1600万人と15歳未満の女子200万人が出産しており、世界全体で5人に1人の女子が18歳までに子どもを産んでいる計算です。同時に、世界全体の15-19歳の女子の最も多い死因は、妊娠と出産が原因で起こる合併症です。
さらに、毎年390万件もの安全でない中絶が、15-19歳の女子に対して行われています。安全でない中絶は、女性が妊娠や出産が原因で亡くなったり、病気になったり、健康上の問題で長く患ったりする原因となります。また、全世界の15-49歳の女性の妊娠・出産を原因とする死亡の99%は、低中所得国で起きています。*2
いまだに児童婚(男女のどちらかが18歳未満の結婚)の慣習を残す国もあります。もしこの慣習が今のまま続くとすれば、毎年1420万人、1日あたり3万9000人もの女子が、18歳の誕生日を待たずに結婚することになります。18歳になる前に結婚した女性は今、世界に1億4000万人おり、このうち15歳未満で結婚した女子は5000万人に上ります。
児童婚は若い女子の体に大きなリスクを与えるだけでなく、その後もずっと差別の対象になるなどの弊害があるにもかかわらず、根絶に向けた歩みは遅々として進んできませんでした。それどころか、開発途上地域の若者人口が増えるにしたがって、児童婚を強いられる女性の数が増えるおそれがあるのです。*3
*1 WHO, Adolescent health, https://www.who.int/health-topics/adolescent-health#tab=tab_2*2 WHO, Adolescent pregnancy, https://www.who.int/en/news-room/fact-sheets/detail/adolescent-pregnancy*3 WHO, Child marriages: 39 000 every day