2021年8月公開中の映画『17歳の瞳に映る世界』では、全米家族計画連盟(PPFA)のクリニックが登場し、どのように女性と少女を支えているかを見られます。
主人公のオータムは17歳。元は炭鉱産業が全盛だったペンシルバニア州の小さな町で学校に通い、スーパーでアルバイトをする高校生です。ある日、体調の変化を感じ、地元の妊娠センター(中絶反対派の運営する施設)で検査をすると、結果は陽性に。
ペンシルバニア州では、未成年が人工妊娠中絶を受けるには親の同意が必要です。親に相談できないオータムは、保護者の同意がいらないニューヨークまで中絶を受けに行きます。映画では、中絶手術を終えるまでの旅路がドキュメンタリータッチで描かれます。
重要な場面で登場するのが、ニューヨークのブルックリンとマンハッタンにある、全米家族計画連盟(PPFA)のセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)クリニックです。YouTubeで公開されているトレーラーと本編動画でオータムに質問している女性は、クリニックで実際に働くカウンセラーの一人です。中絶ケアに注目しがちですが、クリニックではHIV/AIDSを含む性感染症の治療、男性、性的マイノリティ向けのSRHサービスなども提供しています。
PPFAは、ジョイセフの国際連携パートナーである国際家族計画連盟(IPPF)の加盟協会です。IPPFは、各国で活動する独立したNGOである118の加盟協会から成り、英国に本部、全世界に6つの地域事務局、人道支援本部、連絡事務所があります。
原題の “Never Rarely Sometimes Always”(一度もない、めったにない、時々、いつも)は、オータムが治療前に答えるアンケートの選択肢です。「コンドームの使用を拒否されたことがあるか」「暴力を振るわれたことがあるか」など、答えにくい質問に選択肢が設けられています。カウンセラーはこれ以外にもたくさんの質問をしますが、「どうして妊娠したのか」「相手は中絶に賛成しているか」とは聞きません。性行為、中絶についてジャッジ(善悪の判断)をせず、中絶を含む必要なケアを、当たり前に提供する姿勢が求められている。そういう強いメッセージの伝わる映画になっています。
『17歳の瞳に映る世界』8月12日で上映の多くが終わっていますが、9月以降も全国各地の劇場で公開予定です。機会があったら、ぜひ見てみてください。
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コミュニケーション デザイングループ
ジョイセフ コミュニケーションデザイン室メンバーによる投稿です。様々なトピックの情報・写真・動画を紹介していきたいと考えています