ザンビアの農村地域で、ジェンダーに基づく暴力 （GBV）の予防に取り組んでいます。

2022.3.11

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女性がスキルを身につけて収入を得られるエンパワーメントプログラムが実を結び、その収益で地域の健康づくりが進められています。

縫製技術やコットン栽培法の習得を通して女性の経済的自立を目指す女性のエンパワーメントプログラムを、株式会社リンク・セオリー・ジャパンの支援のもと、2018年よりザンビアの農村地域で実施しています。

事業が開始されてから約3年。小学校の制服や教会ドレス、マスクなどを製作し、地域で販売してきました。最近では、郡保健局から国旗の注文を受け、現在製作しています。

得られた収益は、地域の妊産婦の緊急搬送のための交通費、マタニティハウス（妊産婦が出産が始まる前から宿泊できる出産待機施設）のメンテナンス費、保健センターの水道修理、ヤギ飼育による収入創出活動などに活用し、コミュニティの健康を守るための活動が続けられています。

新型コロナ禍の社会不安が招く、望まない妊娠やジェンダーに基づく暴力。「なぜ」「どうしたらいいのか」気づきを生むワークショップを通じて、地域から人々の意識や行動が変わり始める。

ジェンダーによる性別役割分担の意識が強い農村地域では、家庭での重大な決断やお金の管理などは男性が行い、女性は家事育児を担うといった男女の役割分担が根強く残っています。

一方、新型コロナ感染症によるロックダウンや学校閉鎖などにより、保健サービスへのアクセス、特に社会的に脆弱な立場にある女性と少女に関わる家族計画サービス、産前産後健診、出産などに深刻な影響が出てきました。

妊娠や出産に関する知識や情報が不十分であり、NOと言えない女性の地位の低さや避妊具を使うことへの決定権が低いことが影響して、10代の望まない妊娠やジェンダーに基づく暴力(GBV)が増加し、深刻な問題となっています。

2020年11月に、それまで行ってきたセクシュアル・リプロダクティブヘルス（SRH）の活動に加えてGBVの予防啓発教育活動も推進できるよう、20名の地域保健ボランティア（SMAG：Safe Motherhood Action Group）およびプロジェクト地区の保健医療従事者を対象とした3日間のGBV予防に関するワークショップを開催しました。

ザンビア保健省、社会福祉省、警察局の関係者が講師として参加し、GBVについての理解を深め、コミュニティにおいてGBV予防啓発活動を連携して推進することを目的としました。

　
ワークショップでは、ジェンダーの基本的な概念や人権について触れ、コミュニティでのジェンダー平等への意識と理解を深め、各々の役割分担についても確認しました。

ワークショップでは、「なぜ男性がパートナーである妻に暴力をふるうか」という質問に対して、「妻が隣人とおしゃべりばかりして食事の用意をしない」「他の男性と仲良くしていた」などの経験談や、「出産に向けた準備として資金が必要だったが、夫がお金を管理していて必要な費用を出してくれなかった」など、コミュニティの身の回りで起きた経験などを事例にGBVについての理解を深めていきました。

また、被害者が相談しにくい現状や、暴力被害者への偏見や差別があることなどが挙げられたことを受けて、SMAGメンバーが地域でGBVの疑いのあるケースも保健医療従事者に報告し、被害を早期に防げるような体制づくりについても話し合われました。ジェンダー平等への意識やGBVについてさらに理解を深め、差別や偏見などの潜在意識を見直すことで人権意識を高め、コミュニティで何ができるか話し合う第一歩となりました。

SMAGや保健医療従事者、地域の伝統的リーダーや宗教リーダー、教師など地域で影響力を持つ人々との連携を強化することが求められています。地域の女性、とりわけ女の子のエンパワーメント、お互いが支えあえる環境づくり、コミュニティの自助・共助を促す支援により、今後も女性が自ら自由に選択や自己決定する力をつけ、意思決定に参画していくための取組みを強化していきたいと考えています。

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