日本でも増えている子宮頸がん。ウガンダでは、女性のがんによる死亡が第一位となっています。
ジョイセフは、ウガンダ家族計画協会(RHU)と連携し、2021年8月〜2023年5月の3年間を事業期間としてに「ウガンダ共和国における子宮頸がん検査促進によるSRHサービスの質の向上プロジェクト」を実施しています。質の良いセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス(SRH)サービスと感染症予防対策により、SRHサービスへのアクセスを向上させることを目的としています。
より多くの女性が子宮頸がん検査やHPVワクチンにより早期発見し、早期に治療できる体制を整え、必要なSRHサービスが届けられるよう推進していきたいと思います。
セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス(SRH)へのニーズが高いウガンダ
ジェニファーさんは、ウガンダ・カバロレ県のフォートポルタル地区に住んでいます。これ以上の妊娠を望んでいなかったため、この地区にある、ウガンダ家族計画協会(RHU)が運営するクリニックを訪ねました。
RHUは、国際家族計画連盟(IPPF)の加盟協会であり、ウガンダでSRHRに関する情報とサービスの提供やアドボカシー活動をおこなっている組織です。ジェニファーさんは、保健スタッフによるカウンセリングを受け、子宮内避妊用具(IUD)を装着することを10年前に決めました。
10年前にRHUのアウトリーチチーム(クリニックの保健医療従事者が村に出向いてサービスを行う活動チーム)にIUDを装着してもらいました。今回また新しいIUDに交換してもらうことができて、嬉しいです。避妊もできて、自分の体のことを自分で決めることができ、満足しています
と彼女は話します。
セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス(SRH)へのアクセスを必要としている女性は、ジェニファーさんの他にも多くいます。RHUのクリニックでは、1年間に提供した避妊サービスが4,393あり、そのうち、皮下に埋め込む避妊薬のインプラノンとジャデルがそれぞれ37%と27%、子宮内避妊器具(IUD)が17%でした。
カバロレ県のみならずウガンダ全体でも、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス(SRH)へのニーズが依然として高く、妊産婦10万人に対して、375人が亡くなっています。
出生1000人に対して、55人の5歳未満児が死亡し、15歳から49歳までの女性の年齢別出生率の合計(合計特殊出生率)は4.7であり、自分または性交渉の相手が何らかの避妊を実行している女性の割合(避妊実行率)は34%で、そのうち近代的避妊法を実行しているのは31%と報告されています。さらに15-19歳の思春期の女子1000人あたりの出生率は132%で、18歳までの児童婚34%と高い割合が発表されています(世界人口白書、UNFPA2020)。
子宮頸がんの発症状況も深刻です。ウガンダでの全てのガンの40%が子宮頸がんであり、子宮頸がんの女性の80%が、末期のステージで判明しているという現実があります。女性の死因の第一位になっているにもかかわらず、子宮頸がん検査を受けている女性は、わずか5%以下しかいません。
2021年8月からSRHサービスへのアクセスを向上させるためのプロジェクトをスタート
ジェニファーさんが暮らすカバロレ県は観光地であり、HIV陽性率は16%と国全体の7.3%より高い県です。HIV陽性者が子宮頸がんを発症するリスクはそうでない女性の6倍あり、HIV陽性者ではなくても性感染症でもある子宮頸がんにかかりやすい環境にあるため、早期に発見し治療に繋げる必要があります。
そのためジョイセフはRHUと連携し、サラヤ株式会社のご協力のもと、2021年8月〜2023年5月の3年間を事業期間として「ウガンダ共和国における子宮頸がん検査促進によるSRHサービスの質の向上プロジェクト」を実施しています。このプロジェクトでは、子宮頸がん検査、家族計画、性感染症を含めた質の良いセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス(SRH)サービスと感染症予防対策により、SRHサービスへのアクセスを向上させることを目的としています。
初年度である2021年度は、保健医療従事者10名に対して子宮頸がん検査や簡易な治療に関する研修を開催し、保健医療従事者15名には5S(整理・整頓・清掃・清潔・習慣)の導入を含めた感染対策予防とクオリティケアの研修を行いました。
クリニックやアウトリーチ活動を通して、子宮頸がん検査、HIV検査、家族計画の普及活動を推進し、SRHサービスへのアクセスを強化。またSRHに関する基礎的医療資機材及び感染症予防対策のための個人用防護具(PPE)やアルコール消毒液も供与しました。
研修を受けた医療従事者の一人、ロビナ・ケミレンベさんは、
子宮頸がん検査やクオリティケアの研修を受けたことにより、子宮頸がん検査を行えるようになりました。検査で適切な治療が必要な患者さんを病院へ照会できるようになり、大変感謝しています
と話します。
研修の結果、24〜45歳の女性3,894名が子宮頸がん検査を受け、188名の陽性を発見。そのうち2名が子宮頸がんの疑いがあったため、高次レベルのウガンダ国がん研究所に照会されました。陽性だった188名中182名は、検査同日に熱焼灼を用いた前がん病変の治療を受けました。このように前がん病変は、早期発見、早期治療をすることで、がん発症への進行を防ぐことができます。
HIV検査では、合計544名が検査を受け、そのうち32名が陽性でした。その32名は、抗レトロウイルス治療を含むケアとサポートのための保健施設に照会されました。また、男性546名、女性272名が性感染症(STI)検査および治療を受けています。
家族計画で1年間に避妊を提供できたカップルへの避妊提供数は4,393であり、そのうち、インプラノン37%、ジャデル27%、子宮内避妊器具(IUD)が17%でした。
新型コロナウイルスの影響で10代の母親への支援も必要に
ただプロジェクトをスタートさせた2021年8月は、新型コロナウイルスへの感染が世界的に拡大し、保健サービスへのアクセスの妨げとなりました。10代の妊娠が大幅に増加し、望まない妊娠、安全でない中絶、性感染症の増加に影響しています。
10代の母親はシングルマザーで貧困状況にある女性が多く、医療費の支払いが難しいのみならず、RHサービスを受けられていないのが現状です。このような状況に対して、今後はシングルマザーを対象としたライフスキル支援を計画し、縫製、料理、手工芸の技術向上研修を実施し、収入創出活動支援に取り組みたいと考えています。
活動は広大な地域を対象としていますが、ガソリン代が値上がりし、アウトリーチへ行ける回数が減っています。RHサービスを行き渡らせるため、みなさまのご支援をいただけますと嬉しく思います。
「ウガンダ共和国における子宮頸がん検査促進によるSRHサービスの質の向上プロジェクト」は、サラヤ株式会社のラクトフェリンラボ化粧品の売上からのご寄附を活用し実施しています。
また、サラヤ株式会社母の日特別ギフト企画(”Donation Gift for Safe Motherhood”)も現在展開しています。こちらのご寄附は、ウガンダの10代のシングルマザーのライフスキル支援に活用します。
ぜひ、母の日の贈り物でウガンダの女性を応援していただけるとうれしいです。
「サラヤ ラクトフェリンラボ」、 「RICCI EVERYDAY」、 「ジョイセフ」によるスペシャルコラボレーションにより「母の日」に発売された特別な限定500セット。 日本国内はもとより、途上国や紛争地に暮らす世界中の女性のSRHR(性と生殖に関する健康と権利)を考えるきっかけになってほしいという思いが込められています。 ウガンダの工房で作ったRICCI EVERYDAYのオリジナルポーチと、たっぷり1か月使える人気のラクトフェリンラボ オールインワンジェル&導入ローションの特別セットで、1セットにつき1,000円がジョイセフへ寄付されます。 (限定500個/特別セット価格:5,000円税込・送料無料)
- Author
榎本彰子