米国最高裁:約半世紀前に認めた女性の自己決定権を否定

2022.6.27

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2022年6月24日、米国連邦最高裁判所は、「憲法は中絶の権利を与えていない」という判決を下しました。最高裁判事9人の中で、保守派のうち1人を除く5人の賛成によるものです。これは、1973年の、ロー対ウェイド判決として知られる「中絶は憲法で認められた女性の権利」であるとした最高裁判決を覆すものです。今回の判決を受けて、アメリカでは女性の中絶権が合衆国憲法で保障されなくなりました。最高裁が半世紀前の判決を覆すことは、極めて異例だと報道されています。

今回の裁判は、妊娠15週以降の人工妊娠中絶を原則として禁止するミシシッピ州の法律が憲法違反にあたるかどうかを争ったものでした。判事9人のうち6人が、この法律は合憲という判決を下しました。最高裁はさらに踏み込んで、前述の判決となりました。

ジョイセフは、この判決は女性の自己決定権を否定するものであり、女性のセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)にとって危機的な状況を生むと深く憂慮し、憤りを禁じ得ません。

ジョイセフが連携している国際家族計画連(IPPF)やホワイトリボンアライアンス(WRA)からも、早速この判決を批判する声明が出されています。

この判決によって、米国では26州が、中絶の条件の厳格化や禁止に向かうとみられています。テキサス州ではすでに、ハートビート法(妊娠6週を過ぎた中絶を禁止とする)という厳しい法律が施行されています。

今回の判決に関わった9人の判事は、保守派の6人を共和党の大統領が指名、うち5人が男性、リベラル派の3人は、民主党大統領が指名し、2人が女性です。政治によって女性の人権が左右される事態が、21世紀に起きていることは、衝撃的でさえあります。

ジョイセフは、今後も、SRHRを推進する国連・国際機関、市民社会と連帯し、「私のからだは私自身のもの」であること、すべての人々の自己決定権を守ることの重要性を強く訴えていきます。

公益財団法人ジョイセフ
業務執行理事・事務局長
勝部まゆみ

ジョイセフからのお知らせ:
この件については、引き続きジョイセフのウェブサイトやSNSの更新情報をご覧ください。


緊急トークライブ(オンライン配信)のお知らせ

~Take Action!「#女性 選択できる世界を」~
今、なにが起きてる?
「アメリカ 中絶禁止:ロー対ウェイド判決の覆し」​​
緊急インスタライブ連続開催

専門家や米国在住のゲストをお招きし、「今、何が起きているのか?」「私たちはなにができるのか?」それぞれに見解を聞く20分の短時間トークライブを実施いたします。ぜひご視聴をお願いいたします。

日時・ゲスト

※敬称略

7月2日(土)21:00~
早乙女智子 産婦人科医、性と健康を考える女性専門家の会 代表理事​​、WAS学術委員、ジョイセフ理事
7月5日(火)21:00~
谷口真由美 法学者、大阪芸術大学客員准教授 
7月8日(金)21:00~
斉藤文栄 ジョイセフ グローバルアドボカシーディレクター
7月16日(土)21:00~
澤井未央 ニューヨークの産婦人科医、I LADY.アクティビスト

*各20分間を予定

開催

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共催:(社)性と健康を考える女性専門家の会

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*上記は予定となり、最新情報はジョイセフ公式Instagramでご覧ください