海外事業グループ 浅村里紗
「妊婦さんが、食べ物が無いと泣いていた……それを見ても私は何もできなかった」とプロジェクトのスタッフの友人が言ったという。ただでさえウクライナとロシアの戦闘状況の影響で、国際的に米の価格が高騰している中、村が焼き払われてしまい農業ができない地域があり、主食のお米に手が届きにくくなっているとのこと。母子栄養改善で最も必要とされる人生最初の1000日間(妊娠のはじまりから子どもが2歳になるまで)に主食が手に入らないとは……。プロジェクトスタッフは「食の供給は今後最も急を要する課題になると思う」と話す。
母体の栄養状態が悪く、低体重で生まれた場合、子どもの生存が脅かされるだけでなく、そののちの人生での過体重や肥満、代謝障害や、非感染症(NCD)のリスクが高まる。女性は妊娠中も自分より家族に食べさせることを優先することが多く、結果として低体重で生まれる子どもが増え、長期にわたる健康への弊害が想定されるという。
困難な時こそ、地域が支えあうコミュニティサポートの底力が試されている。創設以来、コミュニティのエンパワーメントに平常時から取り組んできたジョイセフの活動は、紛争や災害が多発する今の時代にこそ力を発揮すると感じる。
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浅村 里紗
1984年に入職後、アジア・南太平洋、アフリカ、中南米でSRHRを推進する国際協力プロジェクトに従事。特にコミュニティにおける妊産婦保健、思春期保健、男性参加等の推進活動やヘルスプロモーション分野の教材開発と教材活用研修に係る。また、80カ国を超える約1200名の開発途上国の指導者を対象に母子保健を中心としたSRHR分野の研修事業を実施。趣味は、版画制作、サイクリング(愛車Root One)、ローカル電車の旅、水泳、写真(愛猫2匹)