ケニアってどんなところ?
基本情報
国名 | ケニア共和国 Republic of Kenya |
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面積 | 58.3万平方キロメートル(日本の約1.5倍) |
人口 | 5,403万人(2022年:世界銀行) |
首都 | ナイロビ(Nairobi) |
民族 | キクユ民族、ルヤ民族、カレンジン民族、ルオ民族、カンバ民族 など |
言語 | スワヒリ語、英語 |
宗教 | 伝統宗教、キリスト教、イスラム教 |
※出典:外務省のページ(https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/kenya/data.html, 2024.7.23参照)
妊産婦死亡率 (1) | 530*1 |
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自宅出産における熟練の医療従事者による出産の割合 | 70%(2004年~2020年)*2 |
21.0歳 (2022年)*3 |
妊産婦(にんさんぷ)死亡率:妊産婦が妊娠中もしくは出産してから42日以内に、それに関連することで亡くなる割合(対10万出生)
*1 https://iris.who.int/bitstream/handle/10665/366225/9789240068759-eng.pdf?sequence=1*2 https://www.unfpa.org/data/world-population/KE*3 https://www.dhsprogram.com/publications/publication-FR380-DHS-Final-Reports.cfm(P127)
ケニアってどんなところ?
1. 3つの言語を話す人が多い
ケニアには現在約42の部族がいて、それぞれの部族で話される言語があります。ジョイセフがプロジェクトを行っている場所(以下、プロジェクト地)のニエリでは、キクユという言語を話す人が多いです。さらに多くの人が国語であるスワヒリ語と公用語の英語も話せるため、3つの言語を話せることになります。「地域の言葉とスワヒリ語は複雑ではないから習得が簡単だ」とよく現地の人は言いますが、3つの言語を話せる人が多いのはすごいと思いませんか?
2. 部族や地域ごとの料理がある
ケニアには部族ごとにそれぞれ、地域ならではの料理があります。ニエリの食事でわたし(筆者)が好きなものは「ムキモ」です。ムキモはジャガイモをつぶしたものと、カボチャの葉をすりつぶしたもの、豆、トウモロコシを混ぜて作ります。日本のポテトサラダに少し似ているように感じます。食堂、家庭ごとに見た目や味が少しずつちがうので、いろいろな場所でためすのが楽しいです。
3. 比較的(ひかくてき)過ごしやすい気候
ケニアは、地域によって気候が大きくちがいます。ニエリは比較的すずしい気候です。一年のうちで特に暑いのは12〜2月、寒いのは6〜8月です。暑い時期でも気温が30度をこえることはほとんどなく、寒い時期でも5度を下回ることはほとんどありません。雨が激しく降る時期もありますが、ニエリの気候は過ごしやすいと感じる人は多いのではないかと感じます。
今起きている問題
ケニアでは、妊産婦(にんさんぷ)死亡率(1)が大きな課題となっています。自宅出産をする人の割合が高いことが、理由の一つです。日本では当たり前である医療従事者の介助が無い出産の場合、産時に産婦の状態が急変してもすぐに対応できず、産婦の死亡リスクが上がります。また、生まれてすぐの赤ちゃんへの適切なケアが遅くなるので、新生児死亡のリスクがあります。
それに対してケニア政府が2013年に打ち出したサービスに、リンダママ(Linda Mana)サービスというものがあります。このサービスは、妊産婦の病気と死亡を減らすことを目的に、出産前・出産後のお母さんや新生児(生まれたばかりの赤ちゃん)への健診と医療サービスを無料で提供するものです。このサービスの提供によって、産前・産後ケアを利用する人が増え、家族計画(2)に参加した人や乳幼児の予防接種率が上がり、さらに自宅出産が減ったとの報告もあります*3。
(2)家族計画…カップルまたは個人が、いつ・何人の子どもを持つのか、もしくは持たないのかを決めて実行すること。 (『IPPFセクシュアル/リプロダクティブ・ヘルス用語集』をもとに編集)
*3 Ochieng, B. M., Kaseje, M., Kaseje, D. C. O., Oria, K., & Magadi, M. (2022). Perspectives of stakeholders of the free maternity services for mothers in western Kenya: Lessons for universal health coverage. BMC Health Services Research, 22(1), 226. https://doi.org/10.1186/s12913-022-07632-z
しかしながら、自宅出産を選ぶ人はまだいます。ニエリとナイロビにあるスラムで2018年に行った調査では、35.8%の女性が自宅出産を選択(せんたく)していました。ニエリのスラムで自宅出産をした人たちにアンケートを取ったところ、産科がある施設(しせつ)から遠いことや医療(いりょう)スタッフのサービスが悪い事が理由として挙げられました。ニエリでは、自宅から救急車を利用するにはお金を自分で払(はら)う必要があり、さらに呼んでも到着(とうちゃく)まで時間がかかるそうです。また、約20人の医療スタッフに、「ほかの医療スタッフが患者(かんじゃ)に対して、たたいたり、どなったりした場面を見たことがあるか?」と聞くと、ほとんどが「見たことがある」と答えました。
ジョイセフはニエリで、特にスラムに住む妊産婦がより質の高い保健サービスを受けられるように、産科棟(とう)の建設と医療スタッフのスキル向上のために活動しています。(事業は2024年6月末に終了)
まとめ
- 自宅で出産する人が多く、亡くなる妊産婦(にんさんぷ)が多い
- 自宅出産を選ぶ人が多いのは、出産できる施設が遠いこと、救急車を呼ぶお金がない、医療スタッフの不足、医療サービスの質の悪さなどの理由がある
プロジェクトを「知る」
- ケニア スラムの小さな部屋に住む彼女は、誰の助けもなく、自宅の床で出産した(2024年5月)
- ケニアの現場から。前途多難でも、完成後の施設オープンが待ち遠しい(2023年8月)
- ケニアのスラム街で、女性の過酷な現実を変えるために。(2022年3月)
- アフリカ4カ国の経験と知恵を方法論に。 各国のメンバーがザンビアに集い、学び合った 「持続可能な保健推進プログラム」とは?(2022年3月)