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2023年4月、子宮頸がん予防が大きく前進。9種類のHPV感染を防ぐ「9価ワクチン」が公費で接種可能に

2023.4.13

子宮頸がんを引き起こすHPV(ヒトパピローマウイルス)には、感染を予防するワクチンがあります。これまで定期接種として無料で受けられた2価および4価のワクチンに加えて、2023年4月より、9種類のウイルスを防ぐ「9価ワクチン」も公費で接種できるようになりました。

対象は、小学校6年生から高校1年生に相当する女の子です。また、誕生日が1997年4月2日~2007年4月1日の女性はワクチン接種を逃したケースが多く、この世代も「キャッチアップ接種」の対象となり、2025年3月までの間、期間限定で公費による接種が可能です。

より高い予防効果が期待できる9価ワクチンですが、以前は任意接種だったため、高額な自己負担が必要でした。今回の公費導入は、子宮頸がん予防の選択肢を広げる画期的な一歩として注目されています。

 


HPVワクチン接種が進まず、子宮頸がんが増えていく日本の現状

子宮頸がんのおもな原因は、性行為によるヒトパピローマウイルス(HPV)への感染です。性行為を体験した女性の5~8割が感染し、その中の一部が前がん病変に、そして子宮頸がんへと移行していきます。
WHO(世界保健機関)は子宮頸がんのない世界をめざして、HPVワクチン接種を推奨しています。多くの国々でワクチンの接種が進み、子宮頸がん根絶への道が見えてきました。

しかしこの流れに逆行するように、日本の子宮頸がん患者は増え続けています。発生率はG7参加国*の中でワースト1位。毎年1万人以上が罹患し、約2900人が命を落とすという深刻な状況です。

この背景にあるのは、HPVワクチン接種率の低さです。日本では2009年にワクチンが承認されたものの、接種後に体調不良を訴えたケースに注目が集まり、厚生労働省による接種の勧奨がストップしました。その後の調査でHPVワクチンと体調不良の関連性は見出されず、2022年4月から接種勧奨が再スタートしましたが、長年にわたり接種率が低迷していたため、患者の増加に歯止めがかかっていません。
*欧州連合(EU)を含む

9価ワクチンで8~9割のHPVが予防可能。メリットとデメリットを知り、選択しよう

これまで公費で接種できた2価・4価ワクチンでは、日本人女性の子宮頸がんに関わるHPVの種類のうち、64.9~71.2%が予防可能とされてきました。9価ワクチンは81~90.7%のHPV感染を予防でき*、いっそう高い効果が期待されます。

HPVワクチンの普及が進むと、接種した本人だけでなく、未接種の人も含めて感染リスクが下がることが分かっています。ウイルスを保持している人が減り、性的パートナーを介した感染拡大に歯止めがかかるのです。
また、HPVが引き起こすのは、子宮頸がんだけではありません。中咽頭がん、肛門がん、陰茎がんなど、さまざまながんの原因になっています。性交の経験があれば誰でも感染する可能性があるため、HPVワクチン接種は女性だけでなく、男性も対象となります。
一方で副反応を含めた症状も報告されており、ワクチン接種に際しては、有効性とリスクの両方について正しく理解しておくことが大切です。

いま、自分と大切な人の命と健康を守るために、私たちはどうすればいいでしょうか。一人ひとりが信頼できる情報を得て、みずから考え行動を選択していけるよう、ジョイセフは子宮頸がん予防とHPVワクチンに関する情報提供や啓発に取り組んできました。

9価ワクチンの公費導入は、子宮頸がん根絶に向かう世界から取り残された日本において、現状を変えるきっかけになるかもしれません。ジョイセフは、引き続き最新の状況を注視しながら、一人ひとりの「選択」に役立つ情報を発信していきます。

厚生労働省 9価ワクチン接種のお知らせリーフレット(定期接種版)

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Author

JOICFP
ジョイセフは、すべての人びとが、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利:SRH/R)をはじめ、自らの健康を享受し、尊厳と平等のもとに自己実現できる世界をめざします