2020年7月、グットマッハー研究所より、2015年から2019年の世界の人工妊娠中絶の状況が発表されました。この期間、世界では毎年、約2億5040万件の妊娠があったと推計されますが、その48%は意図しない妊娠でした。
この48%のうちの61%、年間に約7300万件が、人工妊娠中絶で終わったと考えられます。世界の妊産婦死亡のうち実に4.7-13.2%は安全でない人工妊娠中絶によるものです(2020年、WHO)。
1990-1994年では世界の意図しない妊娠は15-49歳の女性1000人当たり79件でしたが、今回は64件まで減少しました。意図しない妊娠のうち、中絶となる割合は1990-1994年には51%で、これは15-49歳の女性1000人当たり40件に相当します。1990-2004年の期間を通じて世界の中絶率は減少しましたが、2010年以降は1990年代の水準まで戻っています。
世界的に意図しない妊娠が減ったのは、高所得国を中心に避妊法へのアクセスが拡充したからです。意図しない妊娠が減っても中絶が減らないのは、中低所得国で意図しない妊娠と中絶が増えているからだと考えられます。最貧国では、意図しない妊娠の発生率が富裕国と比べて3倍近くになります。
意図しない妊娠と中絶を減らすには、さらなる投資により、幅広く、質の高いSRHサービスを人々に提供することが必要です。セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)への各国のコミットメントを守ることで、人々の健康を守れるだけでなく、グローバルな目標の達成に貢献できます。
出典
Unintended Pregnancy and Abortion Worldwide
New Estimates Show Worldwide Decrease in Unintended Pregnancies
- Author
JOICFP
ジョイセフは、すべての人びとが、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利:SRH/R)をはじめ、自らの健康を享受し、尊厳と平等のもとに自己実現できる世界をめざします