基本情報
国名 | アフガニスタン・イスラム共和国 Islamic Republic of Afghanistan |
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面積 | 652,225平方キロメートル(日本の約1.7倍) |
人口 | 4080万人(出典:世界人口白書2022) |
首都 | カブール |
民族 | パシュトゥン人、タジク人、ハザラ人、ウズベク人など |
言語 | パシュトー語、ダリー語、(公用語) |
宗教 | イスラム教(主にスンニ派。一部、シーア派もいる) |
妊産婦さんの死亡率 | 638(出生10万あたり) |
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18歳までに結婚する人の割合 | 28% |
平均寿命 | 67歳 |
アフガニスタンってどんなところ?
1.乾燥した内陸国(ないりくこく)
イランやパキスタンなど6カ国に囲まれ、海に面していない内陸国のため、雨が少ない国です。乾燥した気候で、木の生えない山や砂漠が広がっています。その上、国土の4分の3は山であるため、人々は山と山の間の谷間(たにま)の土地で作物を育て、丘の上に暮らしています。北部の標高(ひょうこう)が高い地域は寒く、雪が降り氷点下となります。南部は暑く、夏は40度以上になるところもあります。
2.文明の十字路
アフガニスタンはかつて、ヨーロッパと中国などのアジアの国を結ぶ交易(こうえき)の道「シルクロード」の中継(ちゅうけい)地点でした。そのため、ヨーロッパとアジアの人や物が入り混じり、「文明の十字路(じゅうじろ)」と呼ばれ、華やかな文化が生まれました。平和な時代には、日本からも観光客が訪れました。画家の平山郁夫や作家の井上靖もアフガニスタンを旅し、アフガニスタンを舞台にした作品を残しています。
1979年に当時のソビエト連邦が侵攻してからは、争いが繰り返され、美しい街や歴史的な建造物が攻撃を受け、田畑も荒れました。内戦状態が続く時期から2021年の政変が起きるまでは、外国からの援助や支援が入りました。支援の例として、2019年に銃弾に倒れた日本人の中村哲医師は、長年にわたり医療(いりょう)分野のほか灌漑(かんがい)事業にも力を尽くした人です。
3.男女が同じ空間(場所)にいることが禁じられている
イスラム教の影響もあり、男女が分かれて行動しなければならない場所が多くあります。例えば、学校は男子のクラスと女子のクラスに分かれています。家でも男性の客が入れる部屋は決まっており、男性の客がいるときは、女性はその部屋に入りません。農村では、思春期(ししゅんき)になった女性は家族以外の男性に肌を見せないという慣習(かんしゅう)があり、家から出るときは、ブルカという布を頭から足まですっぽりかぶる人もいます。目のところは網のようになっていて、外を見ることができます。女性の中にはブルカに反対する人もいますが、その生活に慣れていてブルカなしで外出したくないと思う女性もいます。
2021年からは、都市部でも女性にブルカ着用の指示が出たり、女子の教育が制限されるなど、もっと厳しい生活に変わっていきます。
今起きている問題
2021年8月に政変(せいへん)(※1)が起き、イスラム主義勢力のタリバン(※2)というグループが政治を行うことになりました。まだそのことを多くの国は認めておらず、アフガニスタンは日本を含む世界の国々から経済制裁を受けました。経済制裁は、国々がまとまってその国に物を売ったり買ったりせず圧力を加える方法です。外からアフガニスタンに資源や食料、お金が入ってこなくなり、多くの人が食べ物を手に入れることさえできない状態となっています。特に女性や赤ちゃん、妊婦(にんぷ)さんの栄養が不足しています。
長く続いた戦争や紛争で、建物が壊されて田畑が荒れ果てています。校舎がなく、青空の下で学ぶ子どもたちも多くいます。紛争で家族を亡くしたり、貧しさが理由で、幼くして結婚する子どもたちもいます。
※1
政変・・・通常はクーデターや争いなどによる政権の転覆(てんぷく)・崩壊(ほうかい)をさす。2021年8月のアフガニスタンでの政変は、選挙を行わず、当時、力が強くなっていたイスラム主義勢力タリバンが勢力争いに勝ち、アフガニスタン各地を支配していった。ガニ大統領は出国、タリバンが首都カブールに入り、アフガニスタンを治める政府となった。
※2
イスラム主義勢力タリバン・・・「タリバン」とはパキスタンで生まれたイスラム神学校の学生の呼び名。1994年に内戦で疲弊したアフガニスタンの国内の治安(ちあん)を取り戻し、安心して暮らせる世の中にするために結成された。しかし、その中にイスラム原理主義という思想を持った過激(かげき)な武装グループができていき、政府と戦うためにテロを繰り返すようになった。1996年から2001年まで政権をとった間は、自分たちで解釈したイスラム法にのっとって政治を行い、女性や反対派に対して残酷な処罰をしたため、世界中から非難を浴びた。2021年8月、米軍の完全撤退後にタリバンが再び統治するようになったが、多くの課題をかかえている。
- Author
甲斐 和歌子
アフガニスタンプロジェクト担当。女性クリニック支援、ランドセルなどの物資寄贈、マンスリーサポーター「ジョイセフフレンズ」の担当も兼務。ジョイセフに入ったきっかけは、九州で育ちながら培ったジェンダーに対する問題意識から。日本そして世界のジェンダー平等を実現したい。将来の夢は日本やアフガニスタンの女性が住みやすい世の中になること。